キャベツに栄養がないってホント?~胃腸に効果的な栄養素の正体も簡単に解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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キャベツには、胃腸に効果的な働きをもつ栄養素を含んでいたり、食物繊維が豊富だったりとさまざまな栄養が含まれています。
しかし、一方で「キャベツには栄養がない」という声もしばしば聞きます。たしかに、栄養価が高いといわれる緑黄色野菜と比べて、キャベツは淡色野菜に分類されるので、一見栄養がないように思えますよね。
そこで今回は、栄養が少ないと思われがちなキャベツの栄養素とその効果についてわかりやすくご紹介します。
さらにキャベツの栄養を効率よく摂り入れる方法についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
キャベツは栄養素の数が多い!
「キャベツには栄養がない」という話を聞きますが、それは大きな間違いです。キャベツにはさまざまな栄養素が含まれており、代表的なものは以下のとおりです。
ビタミン
(ビタミンC・ビタミンK・葉酸)
ミネラル
(カリウム・カルシウム)
その他
(食物繊維・ビタミンU)
それぞれについて簡単に説明しましょう。
キャベツはビタミンが豊富
キャベツにはビタミンC・ビタミンK・葉酸が主に含まれています。それぞれの働きは以下の通りです。
・ビタミンC:免疫力を高める、コラーゲンの生成に関与
・ビタミンK:出血時の血を固める、丈夫な骨作りに関与
・葉酸:赤血球の生産を助ける、胎児の正常な発育を助ける
皮膚や骨、血液成分を作るために欠かせない栄養素ばかりなので、特に成長期の子供にオススメです。
体の機能を調整するミネラル
キャベツに含まれるミネラルは、カリウムやカルシウムで、それぞれの働きは以下の通りです。
・カリウム:むくみ予防、血圧を下げる
・カルシウム:骨の形成
カルシウムは骨の材料になるだけではなく、筋肉の収縮などにも関与しています。また、カリウムは体にある余分なナトリウム(塩の主成分)を水と一緒に排出する働きがあるため、血圧が高めの方にオススメですよ。
参考記事:五大栄養素の働きとは?管理栄養士がわかりやすく解説~主な役割も紹介~
キャベツ特有の栄養素
キャベツに含まれる特徴的な栄養素といえば「ビタミンU」です。
ビタミンUは厳密にはビタミンではありませんが、ビタミンに似た働きをする「ビタミン様物質」です。
別名「キャベジン」とも呼ばれ、胃腸の粘膜を修復したり、胃潰瘍などの予防にも役立つため、胃腸薬の成分にも使われています。
またキャベツは食物繊維を豊富に含んでいるため、腸内環境の改善に役立ちます。ダイエット中で食事制限をするとどうしても便秘になりがちですが、そんなときは食物繊維が豊富なキャベツを取り入れましょう。
参考記事:腸美人も叶うキャベツダイエット!~効果が期待できるレシピも紹介します~
カロリーや糖質は多い方なのか
さまざまな栄養素が含まれるキャベツですが、100gあたり21kcalとカロリーは低いです。参考までに、ご飯は1膳(150g)234kcalで、キャベツ1玉(約1.2kg、252kcal)とほぼ同じカロリーです。
また、キャベツの糖質は100gあたり3.9gととても少ないため、糖質制限をしている方でも取り入れやすい食材だといえます。
参考記事:キャベツのカロリーと糖質は低い〜ダイエットの活用を含めシンプルに解説〜
キャベツの芯には栄養があるのか
キャベツの芯は葉に比べて食物繊維が1.5倍多く含まれています。かたさが気になる方は、繊維を断つようにそぎ切り(※)にすると食べやすいですよ。
※そぎ切りとは、食材に包丁の刃を寝かせるように入れて、そぐように切る方法のこと
芽キャベツや紫キャベツはどうか
キャベツにはいくつかの種類があります。その中でもスーパーでよく見かける芽キャベツ、紫キャベツの栄養成分を見てみましょう。
上の表から芽キャベツは他の種類に比べてビタミンCと葉酸、カリウムがとくに多く含まれているとわかりますね。
参考までに、表にはありませんが芽キャベツはβーカロテンが100gあたり710μgと多く含まれており、人参やピーマンなどと同じ緑黄色野菜(※)に該当します。
(※)可食部100g中にカロテンを600㎍(マイクログラム)以上含む野菜を緑黄色野菜と呼ぶ
また、紫キャベツはキャベツよりもビタミンCや食物繊維、カリウムが多いとおわかりいただけると思います。紫キャベツは色が鮮やかなので、食卓を華やかにしてくれるのも嬉しいですね。
市販の千切り・カットキャベツには栄養があるのか
結論から申し上げますと、市販の千切り・カットキャベツにも栄養が含まれています。
ちなみに加工調理によって損失が大きいとされるビタミンCを基準に比べても、カット野菜と生野菜の栄養価は、ほぼ同じケースが多いように見受けられます。
忙しい時などには市販の千切り・カットキャベツも活用してみてください。
【なぜ】キャベツは健康に悪いといわれるの?
キャベツが「健康に悪い」と言われる理由は、食べすぎると腹痛や下痢を引き起こすことがあるからだと考えられます。
これはキャベツに食物繊維や水分が多く含まれるためで、体質や他の食材との食べ合わせも関係しますので、そこまで気にしなくて良いでしょう。
食べ過ぎによる体への影響
先ほど申し上げたように、キャベツを多く食べると腹痛や下痢を引き起こす場合もあります。
キャベツに限ったことではありませんが、1つの食材を過剰に食べると体に良くありませんので、いろいろな食材をバランス良く食べるようにしましょう。
キャベツの栄養を効率よく食べる方法
キャベツの栄養を効率よく食べる方法は、「生で食べる」です。キャベツに含まれるビタミンCやカリウムは水に溶け出しやすく、とくに食材の断面から損失します。
そのため食べやすい大きさに切ってから洗うのではなく、洗ってから切ると栄養の損失を抑えることが可能です。
生・蒸す・ゆで・レンジなど加熱で栄養に違いはあるのか
ビタミンUやビタミンCをはじめ、キャベツには水に溶けやすい、熱に弱いといった性質を持つ栄養素が多く含まれます。
そのためすでにお伝えしたよう、キャベツはサラダなど生のまま食べると効率よく栄養を摂り入れられます。
ただ、加熱するのは栄養素が減ってしまうものの、キャベツのカサが減り生の時より量が食べやすくなるのはメリットの一つです。
そこで熱する際は、熱に弱い栄養素を壊しにくいように、できるだけ短時間で加熱するとよいでしょう。また、茹でる場合は水に溶けだした栄養素をゆで汁ごと食べられるスープなどがオススメです。
参考記事:【1週間】脂肪燃焼スープでダイエット〜作り方や痩せる方法をシンプルに紹介〜
まとめ
以上、キャベツの栄養成分について解説しました。
キャベツにはビタミンU、ビタミンC、ビタミンK、葉酸、食物繊維、カリウム、カルシウムなどさまざまな栄養素が含まれています。
なかでも代表的な栄養素としてビタミンUが挙げられますが、これは別名キャベジンとも呼ばれ、胃腸の粘膜を修復したり、胃潰瘍などの予防にも役立つため、胃腸薬の成分にも使われています。
なおキャベツには水に溶けやすい、熱に弱いといった性質を持つ栄養素が多いため、効率よく栄養を摂り入れるには生で食べるのがオススメです。
市販の千切り・カットキャベツにも栄養が含まれてる傾向にありますので、忙しい時にはぜひ活用してみてくださいね。
それでは当記事が参考となり、胃腸の働きを維持する為にもキャベツを積極的に摂り入れていただけたら嬉しいです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
独立行政法人 農畜産業振興機構 今月の野菜 キャベツ
文部科学省 食品成分データベース
Jstage 未利用資源「キャベツの芯」の成分と そのギョウザたねへの活用