そら豆の栄養や適量について解説!美味しく食べるオススメの方法とは?
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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豆の中でも粒の大きなそら豆。
もしかすると、他の豆類と比べてそら豆になじみのないように感じる方もいらっしゃるかもしれません。
それもそのはず、そら豆の旬は春で4~6月と短いです。そして鮮度が落ちるのが早いため、スーパーなどで見かける期間が短くなっています。
そんなそら豆にはどのような栄養が含まれていて、どのように私たちの健康と関係しているのでしょうか。
当記事ではそら豆の栄養成分と効能について解説します。そら豆の選び方や茹で方、保存方法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
そら豆の栄養成分と効果効能
そら豆は、たんぱく質や食物繊維をはじめとして、健康に重要な栄養素が多く含まれています。
では、具体的にどのような栄養素が含まれているのでしょうか。さっそく見ていきましょう。
体を作るもとになるたんぱく質
たんぱく質は私たちの体を作っている栄養素で、臓器や筋肉、ホルモン、抗体、酵素のもとになっています。
またたんぱく質は、炭水化物や脂質とあわせて「エネルギー産生栄養素」と呼ばれ、体に不可欠なエネルギー源となる大事な栄養素です。
そしてそら豆(茹で)に含まれるたんぱく質の量は、100gあたり10.5gになります。
参考までに、よく食べられている枝豆(茹で)に含まれるたんぱく質は100gあたり11.5gです。
枝豆は、たんぱく質が豊富なため「畑の肉」と呼ばれる大豆を未成熟な状態で収穫したものです。
そのような枝豆と比較してみても、そら豆のたんぱく質が豊富だということがわかりますね。
参考記事:枝豆の栄養成分と効能〜気になる黒枝豆についても管理栄養士がポイント解説〜
お通じ改善効果のある食物繊維
そら豆は、食物繊維も豊富です。
食物繊維は水溶性と不溶性にわけられ、そら豆に多いのは不溶性食物繊維になります。
不溶性食物繊維は、便秘の改善に効果的です。なぜならば、腸内の水分を吸収することで便のカサを増やして、排便をスムーズにするからです。
なお、水溶性食物繊維には栄養素の吸収を穏やかにすることで、食後血糖値の急上昇を抑えたり、血中コレステロール値を低下させる働きがあります。
肌荒れ・口内炎の改善に効果的なビタミンB1・B2
ビタミンB1の働きは、糖質からエネルギーを作り出す手助けをすることで、疲労回復効果が期待できます。
そのため運動量が多くよりたくさんのエネルギーを必要とする方や、糖質やアルコールをよく摂る方にとって、ビタミンB1は積極的に摂りたい栄養素です。
一方、ビタミンB2は糖質、脂質、たんぱく質の代謝に必要な栄養素です。そして、髪や皮膚などの再生にも関わります。
ところで、肌荒れ・口内炎の治療薬にはビタミンB1・B2が多く配合されていることをご存知でしょうか。
つまりビタミンB1・B2が豊富なそら豆は、肌荒れや口内炎が気になる方にもオススメの食材といえます。
肌や血管を健康に保つビタミンC
ビタミンCには抗酸化作用があり、動脈硬化の予防や老化防止が期待されています。また、コラーゲンを作る時に必要な栄養素です。
なお、コラーゲンは美容化粧品に含まれているイメージがあるかもしれませんが、実は骨の材料にもなります。
ビタミンCは体内で作りだすことも、貯蔵することもできない栄養素ですので、日常的に摂取しましょう。
体内の反応をスムーズにするミネラル類
ミネラル類は、体の中の細胞や臓器の働きをスムーズにする栄養素です。
ミネラル類は体内で作ることができないので、食事から取り入れる必要があります。
それでは、そら豆に含まれる主なミネラルと、その効能を以下に示します。
・カルシウム:骨や歯の構成成分で、筋肉の収縮や神経の伝達にも関わる
・カリウム:ナトリウム(塩分)を排出することで、高血圧やむくみを予防・改善させる
・亜鉛:細胞や酵素の中にあり、たんぱく質やDNAを作り出す反応や免疫に関わる。欠乏すると味覚障害になる恐れも
【食べすぎ注意】そら豆のカロリー
そら豆は、茹でたもので100gあたり103kcalです。
下の表のようにほかの茹で野菜と比べてみると、そら豆のカロリーは高めであることがわかりますね。
そら豆 | キャベツ | にんじん(皮付き) | かぼちゃ | ブロッコリー | |
カロリー | 103kcal | 19kcal | 29kcal | 80kcal | 30kcal |
※100gあたり |
ほかの野菜と同じ感覚でたくさん食べると、摂取カロリーが多くなり肥満につながる可能性があります。
したがって、そら豆の食べすぎには注意しましょう。
参考記事:かぼちゃのカロリーと糖質は高い〜その他の栄養素と共にポイント解説〜
参考記事:ブロッコリーのカロリーと糖質量〜とっておきのレシピと共に解説〜
1日のベストな摂取量は何粒?
個人差はありますが、1日に50g(8〜9粒)にとどめるのがオススメです。
8〜9粒というのは、おつまみや食事にもう一品ほしいときなどに丁度良い量です。
たしかにそら豆には健康によい栄養素が詰まっていますが、そら豆ばかりを食べていると栄養が偏ってしまいます。
あくまでもバランスの良い食事を心がけましょう。
そしてもう1つ、そら豆は鮮度が落ちやすい食べ物でもあります。野菜は鮮度が落ちると栄養価も落ちるので、できる限り早めに食べきりましょう。
参考記事:ダイエット中に食べたいおつまみを大公開~選び方のコツも解説します~
そら豆の薄皮には毒があるのか
そら豆の薄皮に毒はありません。
むしろ薄皮には食物繊維やポリフェノール(※)が豊富に含まれているので、積極的に食べていただきたい部分です。
(※)ポリフェノールには抗酸化作用があり、動脈硬化の予防や老化防止に期待できます。
少し固いそら豆の薄皮ですが、スープにしたり蒸したりすることで十分柔らかくなりますので、ぜひ試してみてくださいね。
太りやすい?揚げそら豆(いかり豆)の栄養
いかり豆とは、「乾燥させたそら豆を揚げたもの」のことで、フライビーンズの名前で売られていることが多いです。
まずカロリーについては100gあたり436kcalとかなり高いです。
いかり豆のカロリーが高いのは、油で揚げたからであるのはもちろんですが、乾燥させたことにより水分が抜けて成分が凝縮したのも原因となります。
続いてビタミンB群やビタミンCに着目しましょう。これらは熱に弱い栄養成分なので、揚げることにより損失します。
ですので、先ほどそら豆にはビタミンB1、B2やビタミンCが豊富と解説しましたが、いかり豆には少ないです。
反対に、食物繊維の量は茹でたものが100gあたり4.0gに対し、いかり豆は14.9gとかなり多くなります。
こちらも水分が減ったことにより成分が凝縮されたことが要因です。
いかり豆はカロリーが高いので食べすぎは禁物です。よく見かける小袋タイプのいかり豆は100g容量のものが多いので、2~3回に分けて食べるとよいでしょう。
乾燥そら豆にも栄養はあるの?
乾燥そら豆も水分量が減るため、100gあたりのカロリーは高くなり323kcalです。
また食物繊維量は100gあたり9.3gで、ビタミンCはほとんど含まれていません。揚げそら豆と似たところがありますね。
異なる点としましては、油であげていないのでカロリーや脂質量が少ないということです。
そうはいっても、乾燥そら豆も一般的な食品の中ではカロリーが高いので、食べすぎに気を付けましょう。
注目!新鮮なそら豆の選び方
そら豆は鮮度が落ちやすい野菜です。
そうなると、いかに新鮮な状態で購入するかが大事になります。
・緑色が濃く、つやがある
・粒がそろっている
・ふっくらしている
以上の条件が鮮度のよい証ですので、スーパーなどで買う際に参考にしてみてくださいね。
栄養素が減りにくい茹で方
水に溶けやすいビタミンB群やビタミンC、カリウムが含まれているそら豆。やはり余すところなく栄養素を摂取したいものです。
こちらが栄養素が流出しにくい茹で方となります。
②さやから取り出し、薄皮がついたままのそら豆と塩を入れる
③蓋をしたまま3分間加熱する
少ない水で茹でることによって流れ出る栄養素を最小限にできます。
鮮度をキープできる保存方法
ここまでそら豆の選び方と茹で方について解説してきました。最後に、鮮度を保つ保存方法をご紹介します。
保存方法には大きくわけて「さやのまま」か「さやから取り出して」の2つがあります。
さやのまま保存する場合は新聞紙などで包み、冷暗所で保存しましょう。
さやから取り出す場合は、取り出してすぐ固めに茹で、冷蔵保存か冷凍保存を行います。
なお、食べる際は一度火を通してあるのでそのままでも召し上がれます。
冷凍保存している場合や、もう少し軟らかいものを召し上がりたい時には電子レンジで加熱したり、追加で茹でたりするとよいです。
繰り返しになりますが、そら豆は鮮度が落ちやすいのでどちらの場合にせよ、早く食べきりましょう。
まとめ
当記事ではそら豆について解説してきました。要点は下記の通りです。
・カロリーはほかの野菜類と比べて高いので、1日8〜9粒にするなど食べすぎに注意するとよい
・揚げそら豆(いかり豆)や乾燥そら豆は、カロリーが高く、ビタミンCなど一部の栄養素量が減っている
・鮮度が落ちるのが早いので新鮮なものを買い、早めに食べきるようにする
旬の短いそら豆ですが、スーパーなどで見かけたらぜひご賞味ください。それでは、この記事があなたの食生活のお役に立てれば幸いです。
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参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット
文部科学省 食品成分データベース
独立行政法人農畜産業振興機構 そらまめ