豆乳の栄養と効果は牛乳より優れているの?~ダイエット効果についても解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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今流行りのプラントベースミルクの先駆けである豆乳は、私たち日本人にとって最も馴染みのある食品です。
海外では健康志向の方々が好んで買っており、日本では豆乳を牛乳の代替品と捉えている方も多いようです。
そこで今回は、豆乳の栄養と効果について牛乳と比較しながら詳しく解説します。ダイエット効果についても触れているので、どうぞお楽しみに!
目次
豆乳の栄養素と効果
豆乳と牛乳の栄養を比較する前に、まずは豆乳の栄養についてご紹介します。
ここでは、砂糖などが添加されていない大豆と水だけで作られた「無調整豆乳」の栄養価について解説します。
それでは見ていきましょう。
たんぱく質
豆乳の原料である大豆に含まれるたんぱく質の「質」は、植物性食品の中でダントツです。
一般的に、動物性食品に含まれるたんぱく質のほうが体内で効率的に利用されるため、質がよいと言われていますが大豆は別格です。さらに大豆たんぱく質は血中の悪玉コレステロール値を下げる働きがあるため、気になる方は積極的に摂りましょう。
参考記事:コレステロールを下げる飲み物ランキング~選び方からオススメ商品までご紹介~
大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンと構造が似ています。そのため、体の中でエストロゲンに似た作用をし、更年期症状をおだやかにするなどの効果が期待できるのです。
ところで、エストロゲンは女性特有のホルモンだと思われがちですが、骨からカルシウムが溶けだすのを抑える働きがあるなど、男性の体の中でも重要な働きを担っています。
よって、女性だけでなく男性にも大豆イソフラボンが豊富な豆乳はオススメの食品です。
参考記事:【医師監修】更年期のイライラはなぜ起こるの?〜更年期とホルモンとの関係や対処法を紹介〜
大豆レシチン
レシチンは細胞膜を構成する主要成分です。
そのため、私たちの体が健康でいられるのはレシチンのおかげと言っても過言ではありません。
その他にもレシチンには乳化作用があるため、血管壁にくっついた悪玉コレステロールを血液に溶かすのに役立ち、動脈硬化予防に効果を発揮します。
大豆は調理が必要で忙しい時に食べるのは難しいですが、豆乳はコップにあければサッと摂ることができ便利です。
参考記事:大豆の栄養価は高い!~子どもにも大人にも嬉しい成分が豊富~
鉄分
豆乳には鉄分が含まれています。
鉄分は血液の主な成分なため、不足すると貧血になるので積極的に摂りたい栄養素です。
そして鉄分は牛乳にほとんど含まれていないため、鉄分の補給源として豆乳を活用するのもよいでしょう。
また鉄分には、体に吸収されやすいものとそうでないものがありますが、豆乳に含まれる鉄分は吸収されにくいものです。しかしビタミンCがあると吸収率が上がるため、キウイやイチゴなど一緒にスムージーにしたり、じゃがいもとあわせてポタージュにするのがオススメです。
参考記事:まさにフルーツの王様!キウイの栄養と効能効果~管理栄養士が徹底的に解説~
豆乳の栄養は牛乳よりすごいの?
冒頭でも触れましたが、毎日飲む牛乳の代替えとして豆乳を飲む方もいらっしゃいますよね。
見た目はそっくりでも、含まれる栄養にはいくつか違いがあります。
まずはカロリー、糖質、たんぱく質、脂質についてみていきましょう。
※100mlあたり | カロリー(kcal) | 糖質(g) | たんぱく質(g) | 脂質(g) |
豆乳 | 44 | 1.0 | 3.7 | 2.9 |
牛乳 | 63 | 4.9 | 3.4 | 3.9 |
※豆乳100ml=102g、牛乳100ml=103.2g
豆乳の方がカロリーやたんぱく質・脂質が低いので、ダイエット中の方には豆乳がオススメです。
続いて、その他の栄養素についても比較します。
※100mlあたり | 鉄(mg) | カルシウム(mg) | カリウム(mg) | コレステロール (mg) |
豆乳 | 1.2 | 15 | 190 | 0 |
牛乳 | 0 | 110 | 150 | 12 |
※豆乳100ml=102g、牛乳100ml=103.2g
上の表の通り、豆乳は牛乳よりも鉄、カリウムが豊富です。カリウムにはナトリウム(塩分)を排出する作用があるため、豆乳を飲むことは高血圧予防になります。
一方、牛乳は豆乳に比べてカルシウムが豊富です。カルシウムは骨の材料となるため、成長期のお子さんや骨粗鬆症が気になる年代の方々に摂っていただきたい栄養素といえます。
以上のことから、飲む方の目的によって豆乳・牛乳どちらが優れているのかはとらえ方が変わるため、無条件にどちらかが優れているとは言えないでしょう。
参考記事:糖尿病の方に豆乳はオススメできるか〜栄養素を含め丁寧に解説〜
豆乳は種類によって栄養価が違うのか
「豆乳」と一口にいっても、大きく3種類に分かれています。
「無調整豆乳」「調製豆乳」違いを解説
無調整豆乳とは、原料に大豆以外のものを使用せずに作られた大豆固形分が8%以上のもので、大豆の味がダイレクトに感じられる濃厚な味わいです。
一方で調製豆乳とは、無調整豆乳に砂糖・食塩・油脂などを加えて飲みやすく作られた大豆固形分6%以上のものです。
余談ですが、無調「整」豆乳と調「製」豆乳、「せい」の漢字が違うのは面白いですよね。
味付き(フレーバー付き)豆乳に栄養はある?
コーヒーや抹茶などの味が付いている豆乳は豆乳飲料(大豆固形分が4%以上、果汁入りの場合は固形分2%以上)と定義されています。
豆乳飲料は無調整豆乳や調製豆乳などと比べると大豆固形分が少ないため、「大豆の味」がマイルドで豆乳に慣れていない方にも飲みやすいです。
原材料に大豆を使っているためもちろん栄養はありますが、一方で飲みやすくするために砂糖を使用しています。そのため、豆乳飲料はジュースなどと同じ嗜好食品にはいるので、飲む量には注意が必要です。
豆乳ヨーグルトの栄養はどうか
豆乳ヨーグルトは、牛乳の代わりに豆乳を使って作られたヨーグルトです。
「コレステロール0」「カルシウム少なめ」という点が、牛乳からできたヨーグルトとの大きな違いです。
さて気になる味についてですが、牛乳からできたヨーグルトの味に慣れていると、豆乳ヨーグルトは少し独特に感じるかもしれません。味に抵抗がある方は、フルーツと一緒に食べると美味しく食べられるのでお試しくださいね。
参考記事:ヨーグルトの栄養と効能~選び方や食べ方のコツまで徹底解説~
豆乳の栄養素は加熱すると無くなる?
豆乳は温めても栄養価は変わりません。
さて豆乳を加熱すると膜(湯葉)ができますが、この膜は豆乳の栄養がギュッと濃縮されたものです。そのため、残りの液体部分の栄養価は加熱前よりも減っています。
豆乳を毎日飲むとどうなるの?
もちろん毎日飲んでも体に悪い影響はありません。
むしろ、うれしい効果がたくさんありますので以下にご紹介していきます。
ダイエットに効果的か
豆乳を飲むと体重が落ちるワケではありませんが、食事量を減らすと不足しがちなたんぱく質がしっかりと摂れるためオススメです。
また、大豆のたんぱく質は消化スピードがゆっくりなため腹持ちがよく、間食防止に役立ちます。
よって豆乳は、「縁の下の力持ち」となってダイエット中に体を支えてくれる食材といえるでしょう。
参考記事:【簡単】豆乳ダイエットのやり方は?〜効果的な飲み方・レシピなどを紹介〜
筋肉にはよいのか
答えはYESです。
その理由は、たんぱく質の「質」にあります。
一般的に動物性たんぱく質(肉・魚・乳製品など)は、体内での利用効率がよいため「良質なたんぱく質」と言われていますが、豆乳の材料である大豆のたんぱく質も植物性の中で唯一良質と言われています。
さて、筋肉によいたんぱく質として牛乳由来と大豆由来のものが有名ですが、違いは体への吸収スピードです。
大豆のたんぱく質は腹持ちがよいため、ダイエット中の筋力トレーニングの相棒としてピッタリといえますよ。
まとめ
以上、豆乳の栄養と効果について解説しました。
豆乳には、たんぱく質・大豆イソフラボン・大豆レシチン・鉄分など、健康にとってよい成分が含まれているとお伝えしました。
また豆乳は腹持ちがよいため、ダイエット中にもオススメの食品だとおわかりいただけたかと思います。
それでは、当記事を参考にして健康的な毎日を過ごしていただけたら幸いです。
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参考文献
健康長寿ネット レシチン・コリンの効果と摂取量
厚生労働省 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
キッコーマン よくあるご質問