喫煙の影響をわかりやすく解説!~デメリットを理解してたばこをやめよう~
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喫煙による健康への影響は、体のいたるところにあらわれるため「百害あって一利なし」といわれています。さらに、長年喫煙し続けると有害物質の蓄積によりさまざまな疾患のリスクが高まってしまうのです。
そのため世界保健機関(WHO)は、喫煙による影響と禁煙の重要性を啓蒙することを目的に、毎年5月31日を「世界禁煙デー」としています。
ところが、悪い影響があるのはわかっていてもやめられないのが「たばこ」です。
何度も禁煙にトライしたけど、結局我慢できずに吸ってしまったという経験は、喫煙者なら誰しも1度は経験すること。
そこで今回は、喫煙による体への影響を再確認して、今日から始められる禁煙方法をご紹介します。
さらに、最近何かと話題の加熱式たばこや水たばこの影響についてもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
喫煙により体に現れる影響
喫煙によって発症するリスクが高いとされている疾患は、主に以下の通りです。
そもそもたばこの煙は大きく3つに分類されます。
呼出煙:喫煙者が吐く煙
副流煙:たばこから立ち上る煙
喫煙はたばこの煙を吸って吐く行為なので、喫煙者本人は口や肺など空気の通り道にかなりの確率でダメージを受けます。
それ以外にも、喫煙により交感神経が刺激され、血糖値を下げるインスリンというホルモンの効きが悪くなってしまいます。そのため、喫煙は糖尿病のリスクをあげる要因になるのです。
また、のちほどご紹介しますがたばこに含まれるニコチンは、少しの量でも血圧を上昇させる働きがあるので、高血圧も引き起こします。高血圧はさまざまな生活習慣病の合併症として知られており、動脈硬化や脳卒中といった疾病につながります。
ここでご紹介したものは、喫煙によるリスクのほんの一部です。同時に、たばこを吸って体によい影響があったという報告は、一つもないことをぜひ覚えておいていただきたいです。
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周りにいる人は受動喫煙のおそれがある
喫煙者本人はもちろん、周りにいる人も呼出煙や副流煙を吸う「受動喫煙」という形で悪影響があります。
直接的にたばこを吸っているわけではありませんが、受動喫煙する煙にもニコチンなど多くの有害物質が含まれています。
その証拠に厚生労働省の資料によると、副流煙は主流煙よりもニコチンが2.8倍、タールが3.4倍、一酸化炭素が4.7倍も含まれているのです。
自分が喫煙することで、家族や友人、同僚など大切な人たちを危険にさらしているかもしれませんよ。
たばこを吸うと筋肉が減るのか
たばこを1度吸っただけで筋肉が減ることはありませんが、長期的に吸い続けるとそのリスクは上がります。
高齢男性を対象に喫煙が筋肉量と筋力に与える影響を調べた研究によると、喫煙歴が長いほど筋肉量と筋力の低下した割合が大きいと判明しました。
一方で、過去に喫煙歴があった場合でも、禁煙期間が長いほど筋肉量と筋力の増加がみられたという報告もあります。
今すぐ影響がでないにしても、将来たばこを吸っていない人に比べて筋力の衰えを感じる可能性はあるようです。
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体に悪影響のあるたばこの三大有害物質
たばこが体に悪影響を与えるとわかりましたが、これはニコチン、一酸化炭素、タールというたばこの三大有害物質が原因としてあげられます。
それぞれどのような影響があるのか、解説しましょう。
依存性が強いニコチン
ニコチンはたばこの原材料であるたばこ葉に含まれ、神経毒性が強い猛毒です。
「たばこをやめたくてもやめられない」という感覚は、ニコチンの依存性によるものなのです。
また、ニコチンには血管を縮める働きもあり、一時的に血圧が上昇します。たばこ1本を吸うと約10mmHg、人によっては20~30mmHgも血圧の上昇がみられ、上がった血圧は喫煙後30分程度持続するといわれています。
喫煙し続けると、血管を痛めて動脈硬化を引き起こしたり、高血圧につながるおそれがありますよ。
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血液をドロドロにする一酸化炭素
たばこの煙に1~3%含まれる一酸化炭素は、血管内の赤血球と結びつき体中に酸素を運ぶ働きの邪魔をします。すると、私たちの体は低酸素状態となり、より多くの赤血球を作るため血液の粘度が上がりドロドロになるのです。
血液がドロドロになると、動脈硬化や高血圧になりやすく、先ほどのニコチンの働きも相まって、よりリスクが高まります。
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発がん性物質を含むタール
一酸化炭素やガス状の物質を取り除いた成分であるタールには、じつに70種類もの発がん性物質が含まれています。
とくに、たばこは肺との接触があるため肺がんになる確率があがります。実際、たばこを吸う人は吸わない人に比べて約4倍も肺がんのリスクが高いのです。
紙巻きたばこ以外は影響がないのか
2013年から本格的に販売がはじまった加熱式たばこや電子たばこ、また最近バーなどで話題の水たばこ(シーシャ)についても、一定の悪影響はあります。
【加熱式たばこ】
火を使って燃焼させる紙巻きたばことは異なり、電子的に加熱し発生した煙を吸うため、ニコチン以外の有害物質は少ないといわれています。
しかし、ニコチンは含まれているため、喫煙者自身のニコチン依存は紙巻きたばこと同様にあります。また、発売されてまだ日が浅いので健康への影響がどれほどなのかは未知数なのが実情です。
【電子たばこ】
加熱式たばこと同じく電子的に加熱して発生した煙を吸いますが、日本で販売している電子たばこにはニコチンが含まれていません。
ただし、発生する煙には有害な物質が含まれているという報告もあり、喫煙者本人の健康にも影響があると考えられています。
【水たばこ(シーシャ)】
近年シーシャバーの増加により身近な存在になった水たばこは、特殊な器具を使いたばこの煙を水にくぐらせて吸うものです。
水をくぐらせていても、ニコチンや一酸化炭素などたばこの有害物質を吸っていることに変わりはないため、紙巻きたばこ同様に健康へ悪影響があるといえます。
たばこをやめる方法とは
たばこによる健康への影響を知って「明日こそやめよう!」と思っていたのに、我慢できずに1本吸ってしまった…という経験は、喫煙していれば誰しも一度はありますよね。
禁煙失敗の原因は、もしかすると禁煙方法があなたに合わなかったからかもしれません。
ここからは、禁煙方法についてご紹介します。
禁煙外来に通う
禁煙は医療機関に頼ることもできますよ。現在、紙巻きたばこに加えて加熱式たばこの禁煙も保険適用となっています。なお、保険が適用されるのは以下4つの条件にあてはまる方で、12週間で5回の治療とされています。
2.35歳以上の場合、グリンクマン数値(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
※34歳以下の場合は喫煙本数や喫煙年数を問わない
3.直ちに禁煙することを希望している方
4.「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方
お近くに禁煙外来を行っている病院がある方は、一度相談にいってみてはいかがでしょうか。
なお禁煙外来を行っている病院をお探しの方は、日本禁煙学会が提供している「全国禁煙外来・禁煙クリニック一覧」をご参照ください。
禁煙補助薬を活用する
パッチやガムといった「禁煙補助薬」も、禁煙したい方の手助けになりますよ。
これらは、薬剤師がいる薬局やドラックストアで購入できます。禁煙補助薬には少量のニコチンが含まれており、皮膚や口の粘膜からニコチンを摂取します。禁煙中のイライラを緩和しながら、少しずつ量を減らしてニコチンを絶つことができるのです。
近所に禁煙外来をやっている病院がなかったり、忙しくて通院できない方の禁煙方法として役立ちます。
どれくらいで完全にたばこを辞められるのか
完全にたばこやめられる期間には個人差があります。一方で、禁煙外来での治療は12週間を一区切りとしているので、ひとつの目安として覚えておくとよいでしょう。
また、禁煙期間が長くなればなるほど喫煙する前の状態に近づくこともわかっています。10年~15年後まで禁煙を続けられると、さまざまな病気にかかるリスクが非喫煙者のレベルまで近づくのです。
完全に喫煙する前と同じ状態に戻すことはできませんが、将来健康な体で元気に過ごしたい喫煙者は、すぐにでも始めたほうがよいですよ。
※厚生労働省 e-ヘルスネット 禁煙の効果より
禁煙中にイライラしたときはどうする?
イライラはじっと我慢しようとすると、かえってストレスを溜めてしまうこともあるため、
「たばこを吸う」以外の行動に置き換えることが大切です。
ここからは臨床心理士・公認心理士の石倉美希さんに、禁煙中のイライラをやわらげる対処方法についてわかりやすく解説いただきます。
イライラを落ち着ける行動
離脱症状によるイライラを落ち着けるには、以下のような行動をとりましょう。
・水を飲む
・ガムやタブレットを食べる
・歯を磨く
・ストレッチをする
・音楽を聴く
・掃除に没頭する
禁煙中のイライラは、実はニコチン切れによる離脱症状です。
「たばこを吸うとストレス解消になる」と感じるのは、たばこを吸うことで離脱症状が緩和されるためです。
たばこを吸うことでストレスをむしろ作り出してしまっていると言えます。
離脱症状は、禁煙3日以内がピークとなり、1週間から10日程度で落ち着く方が多いようです。
しかし、離脱症状が治まってからもたばこを吸いたい欲求は長く続くのが一般的です。
再び吸いたい気持ちがわいてきたら、以下のような方法を試してみましょう。
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まとめ
喫煙による健康への影響は、動脈硬化やがん、高血圧など多岐にわたることがおわかりいただけましたでしょうか。
また、喫煙者の周りにいる方も受動喫煙という形でたばこの煙による影響を受けるため、自分のためにも周りにいる大切な人のためにも、禁煙をオススメいたします。
禁煙する際は、禁煙外来や禁煙補助薬を活用すると、吸いたい気持ちを緩和しながらたばこを絶つことができますよ。
禁煙中にイライラしてきた場合は、喫煙以外のストレス発散法に置き換えましょう。
それでは、当記事があなたの禁煙成功に役立てれば幸いです。
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参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット 5月31日は「世界禁煙デー」 喫煙と健康ー喫煙の健康影響に関する検討会報告書ー
国立長寿医療研究センター 以前はたばこを吸っていましたが、どんな病気になりやすいでしょうか?
公益財団法人健康・体力づくり事業財団 健康ネット|最近タバコ情報
東京都福祉保険局 禁煙治療について
野上 他(2021).地域在住高齢男性における喫煙と筋肉量減少および筋力低下との関連 日本衛星学会誌.76.1-9