世界が注目!キヌアの栄養を大公開〜スーパー穀物と呼ばれる理由とは~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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「キヌアってどんな食べ物?」
「キヌアは何が優れているの?」
スーパーフードとして注目を集めている一方で、まだまだキヌアについて知らない方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、キヌアの栄養や注目されている理由について解説していきます。
ダイエットにも活用できるキヌアレシピをご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
そもそもキヌアとは
キヌアは、南米アンデス地方を原産とする穀物です。
栄養バランスが優れているキヌアは、宇宙飛行士の食料としても利用されています。
そんなキヌアがスーパーフードとして注目されるようになったのは、2013年に「国際キヌア年」と国連が定めてからです。
キヌアは栄養価が高いだけでなく栽培時の環境適応に優れているので、世界の食料問題、栄養問題を解決する切り札になると期待されています。
キヌアの栄養と効能
キヌアには、健康に嬉しい栄養素がたくさん含まれます。
さっそく順に見ていきましょう。
体を作るもととなる「たんぱく質」
キヌアのたんぱく質量は100gあたり13.4gと、精白米の2倍以上です。
これは一般的な穀物の中でも、トップクラスの含有量です。
また量が多いだけでなく、キヌアのたんぱく質は「質が高い」といわれています。
なぜなら、キヌアは必須アミノ酸を網羅しているからです。
アミノ酸はたんぱく質の構成要素で、中でも私たちの体内で合成できないものを必須アミノ酸と呼びます。
一般的な穀物は必須アミノ酸である「リジン」が少ないです。
しかし、キヌアにはリジンが多く含まれています。
たんぱく質は、筋肉や臓器、肌、毛髪など私たちの体を作る主要な栄養素です。
必須アミノ酸を網羅しているキヌアも活用しつつ、たんぱく質を十分に補いましょう。
病気の発症リスクを下げる「食物繊維」
キヌアには、食物繊維も豊富に含まれます。
その量は、ヘルシー志向の方に人気がある玄米と比べても圧倒的に多いです。
食物繊維はお腹の調子を整える栄養素として有名ですが、それ以外にもさまざまな働きがあります。
・血糖値の急激な上昇を抑える
・腸内細菌である善玉菌を増やす
そのため欧米では、食物繊維を1日24g以上摂ると、心筋梗塞や2型糖尿病などさまざまな病気の発症リスクを下げるとの研究結果も報告されています。
しかし、日本人の多くは食物繊維の摂取量が少ないです。
日々の食事でキヌアを積極的に取り入れて、食物繊維の摂取量アップを狙ってみてはいかがでしょうか?
キヌアはサラダやスープに入れたり、白米と一緒に炊くなどさまざまな楽しみ方ができますよ。
参考記事:玄米は理想的な健康食?~管理栄養士が栄養成分と効能効果を解説します~
DNA合成に関わる「葉酸」
キヌアには、ビタミンB群の1種である葉酸が含まれます。
葉酸には赤血球やDNAを作る役割があるため、年齢や性別に関わらずすべての方に必要な栄養素です。
また葉酸は、胎児の正常な発育にも欠かせません。
そのため妊娠の可能性がある方や妊娠中の方は、とくに意識して葉酸を摂りましょう。
ちなみに妊娠中は妊娠前よりも、たんぱく質の食べる量を増やすことが望ましいです。
たんぱく質も葉酸も含まれるキヌアは、妊娠中の方にオススメの食材といえますね。
キヌアのカロリー
キヌアは100gあたり344kcalと、精白米や玄米と同程度のカロリーです。
キヌアはダイエット中の方にも好まれるため「もう少しカロリーが低いと思っていた」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
実はキヌアと同じく注目を集めている穀類「オートミール」も、100gあたり350kcalとどの穀類も似たり寄ったりなカロリーです。
ダイエット中の方やヘルシー志向の方が好む食べ物だからといって、必ずしも低カロリーとは限りません。
「今話題のキヌアを食べてみようかな」と考えている方は、食べすぎに注意しましょう。
参考記事:オートミールとは〜美味しい食べ方・ダイエット効果・簡単レシピをまとめて紹介〜
キヌアの食べすぎは健康によくない?
キヌアを食べすぎれば、摂取カロリーが過剰となり肥満につながります。
お伝えしているように、キヌアは低カロリー食材ではありません。
それゆえご飯やパンなどと同じように、個人の活動量に合わせて食べる量を調節する必要があります。
またキヌアは食物繊維を多く含むので、体質によってはお腹が緩くなったり、消化不良を起こしたりすることもあるでしょう。
キヌアは「健康によい食材だから」「スーパーフードだから」といって、やみくもに食べないよう気を付けましょう。
1日に食べる量の目安
キヌアを食べる量に、厳密な決まりはありません。
また摂取量の目安も、ご飯などの主食代わりにするか、サラダのトッピングにするかなどキヌアの食べ方によっても変わるでしょう。
ここでは参考までに、肥満者を対象にした研究結果をご紹介します。
【肥満者が12週間キヌアを食べた場合】
・キヌア1日25g:メタボリックシンドロームの有病率が40%減少
・キヌア1日50g:メタボリックシンドロームの有病率が70%減少、中性脂肪が低下
このことから、メタボリックシンドロームの改善を期待してキヌアを食べる方は、1日25〜50g摂ればよいとわかりますね。
糖尿病の方はどうか
キヌアは、糖尿病の方でも食べられる食材です。
糖尿病の方は、血糖値が上がりやすい食べ物に注意が必要です。
したがって血糖値を上げやすい「糖質」を多く含む穀類には、とくに気をつかわなければいけません。
キヌアにも糖質は含まれますが、食後の血糖値が上がりにくい性質をもっています。
なぜならキヌアは低GI食品だからです。
そもそもGI値とは食後血糖値の上昇度を示す指数のことで、この値が低いと食後血糖値の上昇が緩やかになります。
ただし低GI食品もたくさん食べると血糖値は大きく上がりますから、キヌアも食べすぎないようにしましょう。
参考記事:血糖値とダイエットの関係~急上昇を防ぐ食べ方で太りにくい食生活に~
【ダイエットにも!】キヌアレシピを紹介
今回は、プチプチ食感を楽しむ「キヌアのトマト煮込み」をご紹介します。
具材を小さく切って、キヌアの量を増やせばリゾットのようにも食べられます。
具材を旬の野菜に変えて、季節ごとの味を楽しむのもオススメです。
【キヌアのトマト煮込み】
・キヌア 大さじ3
・トマト缶 1缶
・鶏むね肉 1枚分
・玉ねぎ 1個
・にんじん 1個
・にんにく 1かけ
・ローリエ 1枚(あれば)
・顆粒コンソメ 小さじ2
・塩 少々
・こしょう 少々
・オリーブオイル 大さじ1
・水 100ml
【作り方】
①鶏むね肉は皮を取り、食べやすい大きさに切る
②玉ねぎ、にんじんを食べやすい大きさに切り、にんにくはみじん切りにする
③鍋ににんにくとオリーブオイルを入れて、火にかける
④にんにくの香りが強くなったら、鶏むね肉、玉ねぎ、にんじんを入れて炒める
⑤④にトマト缶、キヌア、水、ローリエ、顆粒コンソメを入れて蓋をし、15分煮込む
⑥時々混ぜながら、キヌアがふっくらしてきたら、塩こしょうで味をととのえて、完成
まとめ
以上、キヌアの栄養について解説しました。
キヌアは穀類の1種で、たんぱく質や食物繊維、葉酸などが豊富に含まれます。
糖質も多く含みますが、キヌアは食後の血糖値を上げにくい食材ですから、糖尿病の方やダイエット中の方にもオススメの食材です。
ただしキヌアのカロリーは精白米や玄米などと同程度で、100gあたり344kcalです。
ゆえに、食べすぎれば肥満につながりますから注意しましょう。
それでは当記事が参考となり、健康維持にキヌアを活用していただけたら幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
国連食糧農業機関 世界の農林水産 2013年夏号(通巻831号)
国立研究開発法人 科学技術振興機構 スーパー作物キヌアの遺伝子機能解明への道を切り拓く
国際キヌア年公式サイト 栄養価
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 e-ヘルスネット
PubMed Quinoa Seed Lowers Serum Triglycerides in Overweight and Obese Subjects: A Dose-Response Randomized Controlled Clinical Trial
国際農研 4. ウユニ塩湖のキヌア -「スーパーフード」孤児作物研究の意義