マンゴーの栄養と驚くべき効能とは?健康や美容への効果をポイント解説
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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世界三大フルーツの1つであるマンゴー。
濃厚な甘さととろけるような食感は、まさに完成されたスイーツそのもの。マンゴーの唯一無二の味わいは、一度食べたらとりこになる方も多いでしょう。
南国のイメージが強いマンゴーですが、近年ではなんと北海道でも温泉熱を利用して栽培されています。
また、最近では冷凍のマンゴーも目にする機会が増えました。
そこで今回は、身近な果物になりつつあるマンゴーの栄養成分と効果効能について詳しく解説していきます。どうぞ最後までお付き合いください。
目次
マンゴーの栄養成分と効果効能
さっそく、マンゴーの栄養と効能について見ていきましょう。
エイジングケアには「ビタミンE」
ビタミンEは、体内の酸化を防ぐ働き(抗酸化作用)をもつ栄養素です。
酸化することで加齢とともに発症しやすい病気の予防、たとえば動脈硬化の進行や血栓症、そして血圧の低下などに役立ちます。
そのためビタミンEは「若返りのビタミン」と呼ばれることもあるようです。
またビタミンEには血行を促したり、肌の新陳代謝を活発にする働きもあるため、アンチエイジングや美肌をうたう商品によく配合されています。
ゆえに、ビタミンEが不足すると血行不良により冷えや肩こりを招いたり、肌の新陳代謝が落ちて肌がくすむ原因になることも。
ビタミンEは体に蓄積されにくい性質があるため、通常の食事では過剰症の心配はありません。
しかし近年の研究の研究によると、ビタミンEの摂りすぎは骨粗しょう症のリスクを高める可能性が指摘されているため、過剰摂取は控えましょう。
造血ビタミン「葉酸」
マンゴーの葉酸含有量は、可食部100gあたり84㎍と果実の中ではトップクラスです。
葉酸はビタミンB群の一種で、ビタミンB12と共に赤血球を作るので「造血ビタミン」と呼ばれています。
また、わたしたちの体の設計図となるDNAの合成や、たんぱく質の合成にも関わる成分です。
これらのことから、とくに胎児の成長にとって重要な栄養素とされており、厚生労働省は妊娠を希望する女性に対して妊娠前から摂取することを推奨しています。
抗酸化作用のある「βカロテン」
マンゴーのβカロテン含有量は可食部100gあたり610㎍と、こちらも果物の中では多量に含まれています。
さて、βカロテンは自然界に存在する赤または黄色の天然色素で、強力な抗酸化作用を持つのが特徴です。
そして強い抗酸化作用により、老化や動脈硬化、シミやシワの原因となる活性酸素を除去します。
活性酸素は体内に侵入したウイルスなどと闘う働きがあるため、健康維持には必要な物質ですが、増えすぎると人体に害を及ぼす厄介な物質でもあるのです。
残念ながら活性酸素は加齢と共に増える一方で、抗酸化の働きは加齢によって低下します。そのため、βカロテンは積極的に摂りたい栄養素です。
整腸作用のある「食物繊維」
食物繊維は水に溶けにくい不溶性と、水に溶けやすい水溶性に分けられ、どちらにも整腸作用があります。
不溶性食物繊維の特徴は保水性が高いことです。胃や腸で水分を吸収して大きく膨らむことで、腸を刺激し便通を促します。
一方で水溶性食物繊維の特長は、粘着性と吸着性があることです。粘着性により腸内をゆっくりと移動することで、糖質の吸収を緩やかにし、食後の血糖値の急上昇を抑えます。そして吸着性によりコレステロールをくっつけて体外へ排出します。
マンゴーには不溶性と水溶性、どちらの食物繊維もバランスよく含まれているため、優れた整腸作用が期待できるでしょう。
マンゴーの栄養を効率的に摂る方法とは
マンゴーの特性を考慮し、栄養を効率よく摂るポイントを3点紹介します。
・脂質と一緒にとる
・細かくする
造血ビタミンである葉酸は加熱に弱いため、できるだけ生の状態で食べるとよいです。
さらに、ビタミンEとβ‐カロテンはともに脂質と一緒に摂ると体への吸収率がアップします。
したがって、マンゴーはヨーグルトなど脂質が含まれた食材と一緒に食べましょう。
また、β‐カロテンは細かくするほどより吸収しやすいので、マンゴーピューレもオススメですよ。
ちなみに、手軽にマンゴーをとれるマンゴージュースの場合、不溶性食物繊維は取り除かれています。
不溶性食物繊維の効果を期待する場合には、何も手を加えていない生のマンゴーがオススメですよ。
マンゴーはカロリーが高い果物なのか
マンゴーのカロリーはバナナよりは低いですが、りんごやみかんよりやや高め。
下の表は、マンゴーと、スーパーでよく見かける果物のカロリーを比べたものです。
カロリー | |
マンゴー | 68kcal |
バナナ | 93kcal |
りんご | 56kcal |
みかん | 49kcal |
※100gあたり |
なおマンゴーは、大きいもので1個あたり350~450gほど、小さいものでも200gくらいあります。
たくさん食べると当然カロリーも高くなりますので、食べすぎないようにしましょう。
関連記事:マンゴーのカロリーと糖質は高い〜その他の栄養素・注意点など含め解説〜
1日あたりのオススメ摂取量
厚生労働省の「食事バランスガイド」によると、健康増進の観点から、果物摂取目標量は1日あたり200g程度とされています。
つまり1日に食べる果物の目安は、小さめのマンゴー1個分となります。
ただしお伝えしているように、マンゴーは果物の中ではカロリーが高めです。
ゆえにカロリーが気になる方は、マンゴーと低カロリーの果物を合わせて200g程度食べるのがオススメです。
また果物を食べる時間に決まりはないですが、できればおやつ(15時頃)までの時間帯に食べた方がよいでしょう。
なぜなら夕方以降に果物を食べると、エネルギーとして使われずに中性脂肪として蓄えられてしまうからです。
血糖値が気になる方はどうか
果物は基本的に、血糖値が高めの方でも食べられます。なぜなら果物は嗜好品と異なり、ビタミンやミネラルの重要な供給源となるからです。
ただし血糖コントロールに影響を与える可能性があるため、通院中の方は果物を食べる量や時間について主治医に相談しましょう。
参考記事:糖質の多い果物ランキング~糖質制限中にオススメの果物もご紹介~
妊婦が食べても大丈夫?
マンゴーには胎児の発育に重要な葉酸と、便秘になりがちな妊娠中に進んで摂りたい食物繊維が含まれているので、妊婦にオススメの食材といえます。
ただしマンゴーには妊婦にとってとくに重要な、たんぱく質やカルシウムがほとんど含まれていません。
そのため、マンゴーだけでお腹を満たすのではなく、通常の食事もしっかりと摂りましょう。
ドライマンゴーの特筆すべき栄養素
ドライマンゴーの一番の魅力は、なんといっても食物繊維が豊富なところです。
乾燥させて水分が減ったことにより、重量あたりの食物繊維が生のマンゴーよりも凝縮されています。
日本食品成分表に記載されている果物の食物繊維量ランキングを見てみると、ドライマンゴーは12位(100gあたり6.4g)、生のマンゴーは76位(100gあたり1.3g)です。
参考までに、生活習慣病予防の観点から食物繊維は1日24g以上摂取するのが理想といわれています。
しかし実際の食物繊維摂取量は、1日18.8g程度と不足しています。
そこで理想に近づけるために、当面は1日あたりプラス3~4g程度の食物繊維を摂ることが勧められています。
そこでオススメなのがドライマンゴーです。ドライマンゴーは1枚がおおよそ10gですので、3枚食べると1.9gの食物繊維が摂れます。
当面の摂取目標であるプラス3~4gの半量を通常の食事から、残り半量をドライマンゴーで補えば効率的に食物繊維を摂れますよ。
ただし、ドライフルーツには糖質が多いため、ドライマンゴーのみで食物繊維を補うことはおすすめできませんので、ご注意くださいね。
【生vsドライ】便秘に効果的なマンゴーはどちら?
便秘の改善を期待したい方にオススメなのは、ドライマンゴーです。
その理由は、ドライマンゴーは乾燥して水分が抜けているため、効率よく食物繊維を摂取できるからです。
さて、食物繊維には不溶性と水溶性がありますが、どちらにも整腸作用があり、便のカサを増やして便通を促したり、善玉菌(腸内環境を良くする菌)の増殖に効果があります。
ただし不溶性食物繊維は十分な水分を一緒に摂らないと、便のカサが増えるばかりで便秘が悪化しますので、水分も一緒に摂りましょう。
ドライマンゴーはヨーグルトに一晩漬けてから食べると、水分を吸ってプルンプルンの食感となり美味しいです。
漬けるために使ったヨーグルトも一緒に食べれば、乳酸菌のパワーも加わり、さらに便秘解消期待ができます。
参考記事:食物繊維を多く含む食べ物をランキング形式でご紹介~ダイエット中にオススメな理由も解説~
マンゴージュースはどうか
先ほどお伝えしたように、マンゴージュースは製造過程で不溶性食物繊維が減少します。
そのため一般的なマンゴージュースには、便秘解消の効果は期待しにくいでしょう。
それだけでなくマンゴージュースは、砂糖が添加されている商品が多いため、生のマンゴーと比べてカロリーや糖質も高くなります。
ゆえにマンゴージュースの飲みすぎは、肥満につながりますので注意しましょう。
参考記事:体にいいけど太りやすい飲み物とは?~特徴や要注意の飲料一覧も紹介~
マンゴーの栄養は冷凍しても大丈夫なのか
マンゴーは冷凍しても栄養素はほとんど壊れません。ただし誤った冷凍方法をしてしまうと、栄養素の損失に繋がります。
冷凍するときのポイントは、切り口を空気に触れさせないことです。断面が空気に触れると酸化して鮮度が落ちます。また食べ物は鮮度が落ちると栄養価も落ちます。
大きめにカットしたものは切り口にラップを密着させてから、一口サイズにカットしたものは密閉袋に入れてしっかりと空気を抜いてから、それぞれ冷凍室へ入れましょう。
少し手間に感じるかもしれませんが、栄養素を無駄にしないポイントですのでぜひ試してくださいね。
また冷凍マンゴーは完全に解凍すると、細胞が壊れて水っぽくなり、せっかくの濃厚な味わいが台無しに。そのため、半解凍のタイミングで食べると、シャーベットのような食感になり美味しく頂けます。
一般的に果物に多く含まれる糖(果糖)は、冷蔵室で冷やした温度(5℃前後)のときにもっとも甘味を強く感じます。したがって、その温度から離れるほど甘味は弱く感じます。
ゆえにマンゴーの甘い味わいが苦手な方は、冷蔵室で冷やしたものよりも甘みの弱い、冷凍したものをお試しくださいね。
冷凍マンゴーは毎日食べると体に悪いの?
食べる量が適量であれば、毎日食べても問題ありません。しかし冷たい物を食べすぎることにより、お腹をこわす心配があります。
市販の冷凍マンゴーは1袋が100〜200g容量のものが多いです。さきほど「果物は200g程度食べましょう」とご説明しましたが、一度に冷凍マンゴーを200gも食べるとお腹をこわす可能性もあるでしょう。
ご自身の体調に合わせて、食べる量を調整してくださいね。
まとめ
以上、マンゴーにはビタミンE・葉酸・βカロテン・食物繊維が豊富だとわかりましたね。また、妊婦にとって重要な栄養素が豊富に含まれていることもお伝えしました。
今回の記事により、日々の食生活にマンゴーをうまく取り入れていただけると嬉しいです。
なお、弊社の開発する無料の人気アプリ・シンクヘルスでは食事、体重、運動、血糖値の記録がとてもカンタンにできます。日々の健康管理・維持にぜひ活用してみてくださいね。
参考文献
J-STAGE ビタミン A と β- カロテンによる疾病の予防と治療 甘味の基礎知識
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
厚生労働省 e-ヘルスネット 「食事バランスガイドについて」
農林水産省 FACT BOOK 果物と健康 六訂版
文部科学省 食品成分データベース
神奈川県 秋のお食より