シンクヘルスユーザーインタビュー① 「25歳で突然1型糖尿病になってから日本一周するまで」
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください
みなさんは「糖尿病」ときくと、どのようなイメージがありますか?
「生活習慣の乱れからなるもの」
「自己管理ができていない証拠」
このようなイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、糖尿病には大きく分けると1型と2型に分けられます(※)。
(※)その他にも妊娠糖尿病や他疾患が原因による2次性糖尿病などがあります。
1型は原因不明で生活習慣に関係せずに発病し、生涯にわたってインスリン注射が必要になります。また、2型糖尿病も約55%が遺伝的な要因であると言われており、世の中のイメージと異なる部分も多いのが現状です。
そのため、糖尿病の間違ったイメージは食事管理や血糖コントロールを頑張っている糖尿病の方を深く傷つけてしまうことも。
今回は25歳で1型糖尿病になり、人生のどん底を経験された糖尿病インフルエンサー・本間太希さんのストーリーをご紹介します。
1型糖尿病の当事者として伝えてきたいことや、インスリン注射を打ちながら自転車で日本一周をしようと決心した経緯についてもお話しいただきました。
いま、苦しみながらも糖尿病と向き合っている方には希望の光となるお話が満載です。ぜひ最後までご覧ください。
目次
プロフィール
本間太希(ホンマタイキ)さん
1996年新潟生まれ。大学在籍中に飲食業を立ち上げるも、25歳で1型糖尿病を発症。
現在はフリーのWebデザイナーに転身して、YouTubeやTikTokなどSNSで自身の闘病の様子を発信し、同じく1型糖尿病で苦しんでいる方を勇気づけている。
1日4回以上のインスリン注射をしながら日本全国を自転車でまわり、1型糖尿病患者同士のネットワーク形成と正しい糖尿病の知識の啓発活動中。
本間さんと1型糖尿病
本間さんは25歳のある日、会社に出勤する途中で倒れ緊急搬送されました。
主治医から告げられた病名は「1型糖尿病」
先ほど、1型糖尿病の原因は不明とお伝えしましたが、本間さんもまた原因がわからないまま1型糖尿病と診断されました。突然、食事の管理とインスリン注射が一生必要な体になってしまったのです。
食事管理とインスリン注射の日々
1型糖尿病と告げられてからは、食事管理とインスリン注射の毎日だったそうです。
「退院後、最初に感じたのはバランスの良い食事づくりの大変さです」と語る本間さん。
病院と同じように栄養バランスの整った食事を作ろうと思い、レシピや糖質量を確認しながら作っていたそうですが、初めの頃は食事の時間だけで2時間もかかっていたとのこと。
そして、本間さんがいまだに慣れないというのがインスリンの注射です。
低血糖への恐怖
食事管理とインスリン注射の苦痛、これを続けなくてはいけないと思うだけでも心が折れそうですが、さらに本間さんを悩ませたのが「低血糖」です。
1型糖尿病の場合はインスリンがほとんど出ていないため、食事量に合わせてインスリン注射をしますが、インスリンの量が多いと血糖が下がりすぎて低血糖をおこします。
低血糖の主な症状は、
・動悸
・手の震え
・冷や汗
などです。重度の低血糖の場合は意識障害を起こし昏睡状態になることもあります。
また、低血糖が怖くてインスリンの量を少なくすると、食事で上がった血糖が下がりきらず高止まりし、HbA1c(※)の数値が悪化したこともあったようで、いまだに血糖コントロールの難しさを痛感しながらも試行錯誤しているそうです。
(※)HbA1cとは、過去1~2か月の血糖コントロールを評価する指標。
SNSでの配信をスタート
毎日の食事管理とインスリン注射による血糖コントロールに追われ、身も心も疲弊していたころ、ふと「他の1型糖尿病患者の人はどうしているんだろう?」と思い、SNSを覗いてみました。すると、思いのほか1型糖尿病でSNS発信をしている方が多く、とても参考になったのと同時に、患者同士でつながるために自分でも発信を始めました。
心無い批判から鬱に
ある日、投稿した動画が多くの人の目に留まり大きな反響がありました。ところが、後日投稿した動画では、1型糖尿病の正しい知識がない方から誹謗中傷を受けたのです。
辛い治療と日々の自己管理、そして見えない相手から受ける誹謗中傷が引き金となり、本間さんはついに鬱病を発症し、生きていく意味を見失います。
どん底の僕を救った1通のメッセージ
批判的なコメントを受けたことで、絶望感から人生のどん底にいた本間さんですが、ある1通のメッセージに救われました。
それは、同じ1型糖尿病の男の子の母親からでした。インスリン注射の苦手な男の子に苦労していた母親は本間さんの動画が目に留まり男の子に見せました。すると、「僕も頑張る!」といい、自ら注射をするようになったのです。
そのことを知った本間さんは、自身のやってきたことに意味があると初めて実感できたそうです。
メッセージの一件から、本間さんはこれからの人生を同じ糖尿病に苦しむ人のために生きようと決心しました。
インスリン注射しながら自転車日本一周の旅をスタート
2023年6月1日、本間さんは新しい挑戦をスタートしました。それは「インスリン注射をしながら、自転車で日本一周をする」という前代未聞のチャレンジです。
自転車に乗り、約半年間をかけて北は北海道から南は九州まで、1型糖尿病患者の人たちとの交流や、糖尿病についての正しい知識を広める活動に励んでいます。
また、旅の最中はシンクヘルスアプリを活用し血糖コントロールをしているとのことです。
普段の生活とは異なり、自炊できないため食事は購入したものや外食が基本です。さらに自転車を長時間こぐと運動量が増えるので、いつもよりインスリンの量を抑えないと低血糖を起こしてしまいます。
食事の記録と運動量、CGMを使った血糖測定をアプリ内で管理し、血糖コントロールを良好に保っているそうです。
地方で患者交流と情報共有の場が必要
自転車の旅をスタートさせてから、あることに気づいたという本間さん。
それは、地方で患者同士の交流する機会が少ないことでした。
「孤独な思いを抱える患者は、地域に限らずどこにでもいる」と本間さんはおっしゃいます。
実際に現地へ赴き、自身が現状を発信をすることで「患者の孤立」という問題を解決する糸口が見つかるのではないか、と期待しているそうです。
活用しているシンクヘルスの機能
本間さんは、血糖管理が必要になってからずっとシンクヘルスアプリを使っています。
(※)CGMとは、持続グルコース測定(Continuous Glucose Monitoring)の略で、腕やお腹などに細いセンサーを刺し、皮下の間質液中のグルコース値を持続的に自動で測定する。
まとめ
25歳で突然「1型糖尿病」と診断され、食事管理やインスリン注射の毎日が始まった本間大希さん。
挫折や苦悩を乗り越えて、自分と同じように1型糖尿病に苦しんでいる患者のために、いま第2の人生を歩んでいます。
シンクヘルスは、「インスリン注射をしながら自転車で日本一周の旅」に挑戦中の本間太希さんを応援しています。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。