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脂質異常症になったら卵は控えるべき?~コレステロールとの関係も解説~

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脂質異常症になったら卵は控えるべき?~コレステロールとの関係も解説~

当記事の執筆は、管理栄養士  松原知香が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

昔から「卵にはコレステロールがたくさん含まれるから、コレステロール値が高い人は食べてはいけない」と思われています。

しかし、「食べてはいけない」という考え方はもう古いのです。

脂質異常症のようにコレステロール値が高い方でも、正しい知識を身につければ卵も食べられますよ。

そこで今回は、脂質異常症と卵、そしてコレステロールについて解説します。

「どのくらい食べてもいいの?」
「鶏卵だけではなく魚卵もいいの?」

などの疑問にもお答えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

卵は脂質異常症を悪化させるのか

卵を食べると脂質異常症は悪化するのか

結論から言えば、卵を食べたからといって必ずしもコレステロール値が上がり、脂質異常症が悪化するわけではありません。

たしかに、私たち日本人のコレステロール摂取源はほとんど卵であるといわれており、そのせいでコレステロールの話題になるたび、卵は悪者扱いされてきました。

しかし、さまざまな研究結果よりコレステロールの摂取量が多くても、血中のコレステロール値が必ずしも上昇しないことが分かったのです。このことから、2015年には日本におけるコレステロール摂取量の上限が撤廃されました。

ただし、これはあくまでも血中コレステロール値に異常がない方にあてはまることです。

脂質異常症のように、コレステロール値の異常が見られる場合には重症化を防ぐために引き続き摂取量の制限が必要となります。

参考記事:脂質異常症とコレステロールの関係性~診断基準や注意する食品をシンプルに解説~

卵の食べすぎはよくないってホント?

脂質異常症の重症化を予防する観点からみると、1度に卵を2個3個と食べすぎてしまうのはよくないといえるでしょう。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020」によると、脂質異常症などのLDLコレステロール値が高い方は、食事からのコレステロール摂取量を200mg/日以下に留めるのが望ましいとされています。

鶏卵1個(約60g)に含まれるコレステロールは230mgなので、脂質異常症の方が1日1個の卵を食べると目標の200mgをオーバーしてしまうのです。

1日何個まで食べていいのか

1日何個まで食べていいのか

脂質異常症の場合、卵の摂取量は1/2個(約30g)程度に留めるとよいです。

先ほど鶏卵1個のコレステロールは230mg、脂質異常症のコレステロール摂取は200mg以下が望ましいと申し上げましたが、それなら1/2個以上食べてもよいのではと感じるかもしれません。

しかし、コレステロールを含む食材は他にもあります。

「バランスのよい食事」を目指しさまざまな食材を食べるために、卵以外の食材に含まれるコレステロール量を考慮し、卵の量は1日1/2個までとしましょう。

魚卵はどうか

魚卵はどうか

ここまで鶏卵についてお伝えしてきましたが、いくらなどの魚卵もコレステロールは高めです。

そこで、鶏卵100gといくら(鮭の卵)100gに含まれるコレステロール量を比較してみました。

100gあたりのコレステロール量コレステロール200mgに相当する食材料
鶏卵380mg53g(約1個弱)
いくら480mg42g(寿司4巻分)


鶏卵よりもいくらのほうがコレステロールが多い
という結果でした。

注目したいのは、脂質異常症の重症化予防目安であるコレステロール200mgに相当する食材量です。

いくらは42g、寿司にすると4巻分であり、回転すしで2皿以上食べるとコレステロールの上限量をオーバーしてしまいます。

寿司でいくらを食べる際は、2皿以下までと決めておくとよいですよ。

参考記事:お寿司のカロリーと糖質は高め?〜代表的なネタとともにポイント解説〜

卵は栄養バランスが抜群

卵は栄養バランスが抜群

コレステロールにばかり焦点があてられる卵ですが、実は栄養バランスがよいといわれています。

理由は、必須アミノ酸の配合バランスがよいからです。

必須アミノ酸は体内で作り出せないため、食べものから摂る必要があり私たちの体を作るうえで重要な役割を担っています。卵には、この9つの必須アミノ酸がバランスよく含まれているため、栄養バランスがよいといわれているのです。

ただし、便通改善が期待できる食物繊維やコラーゲン合成に必要なビタミンCは少ないため、卵を食べる時にはこれら不足している栄養を補うよう心がけましょう。

参考記事:ゆで卵の栄養はすごい!~体に良い理由を徹底解説~

脂質異常症は食事で改善できる

脂質異常症は食事で改善できる

ここまで、脂質異常症と卵、コレステロールについてお伝えしてきましたが、脂質異常症は食事内容を見直すことで、数値的な改善が期待できるのです。

そのためには、コレステロール以外にご覧のようなポイントに注意する必要があります。

①適切なカロリー量を守る
②悪玉コレステロールを増加させる飽和脂肪酸の制限
③中性脂肪の増加につながる糖質の制限
④アルコールを控える
⑤食物繊維を積極的に摂る


とくに、②の飽和脂肪酸は肉の脂質に多く含まれているため、肉を食べるときは脂身の少ない部位を選ぶようにするとよいです。

参考記事:脂質異常症の食事改善ポイントとは?~管理栄養士がわかりやすく解説~

卵以外に気を付けるべき食材

卵以外に気を付けるべき食材

脂質異常症の方が卵以外に気を付けるべき食材は、レバーなどの臓物(ぞうもつ)があります。レバーをはじめとする臓物は、コレステロールも多いですがプリン体も多く含みます。

プリン体が体内で分解されると、尿酸という物質ができるのですが、尿酸が増えすぎると足の親指の付け根に激痛が走る「痛風」を引き起こすのです。

じつは、脂質異常症のように高コレステロール状態の方は、腎臓で尿酸の再吸収を促進させる物質に働きかけて、血中尿酸値を上昇させることが分かりました。

脂質異常症の方がレバーなどの臓物を食べる際は、コレステロールだけでなくプリン体も気にして、食べ過ぎないようにしましょう。

参考記事:レバーの栄養と効能~牛・豚・鶏レバーの違いや食べやすくなる工夫も紹介~

食べてはいけないものはあるの?

食べてはいけないものはあるの?

脂質異常症の人が食べてよいかという疑問に度々あがるのがアボカドとヨーグルトです。

結論からいうと、アボカドもヨーグルトも脂質異常症の方が食べてもよい食材です。

ただし、アボカドは脂質が高いことから量に気を付ける必要があります。また、ヨーグルトは砂糖や甘味料を使っていない無糖タイプで、かつ低脂肪や無脂肪といったヨーグルトを選ぶと、糖質と脂質の量を抑えつつ食べられますよ。

一見控えたほうがよさそうな食材でも、量や種類を工夫すれば食べられる場合もあるので、気になる食材があればかかりつけ医や栄養指導担当の管理栄養士に相談するとよいでしょう。

参考記事:【医師監修】脂質異常症になったら食べてはいけないものってあるの?~コンビニ食の活用方法の解説付き~

まとめ

「食べるとコレステロール値が上がる」と思われがちな卵ですが、血中コレステロールの高い脂質異常症の方でも量に気を付ければ食べられる、ということがわかりましたね。

脂質異常症の重症化予防の観点から、コレステロール摂取量は200mg/日以内が望ましいとされています。これを踏まえバランスよく食事を作る場合、卵は1日1/2個程度とするとよいでしょう。オススメの食べ方は、油を使わず作れるゆで卵ですよ。

また、魚卵や脂質異常症の方が気になるアボカド・ヨーグルトなども工夫次第で食べられますので、ご安心ください。

それでは今回お伝えしたことが、健康的な日々を過ごすためのヒンになれば幸いです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。

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【参考文献】
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020
厚生労働省 e-ヘルスネット 脂質異常症(実践・応用)
文部科学省 食品成分データベース
27‐Hydroxycholesterol regulates human SLC22A12 gene expression through estrogen receptor action – Matsubayashi – 2021 – The FASEB Journal – Wiley Online Library
痛風・尿酸財団 食品中のプリン体含有量

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