しじみの栄養を徹底解説~健康に役立つ成分はあさりよりも多い!?~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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1年に2回も旬を迎える、しじみ。
夏は産卵を控えているので実が大きく、冬は寒さに耐えるため身が締まってうま味は増すそうです。
また旬の時期は、しじみの栄養が豊富とも言われます。
ではしじみに含まれる栄養には、どのような効果が期待できるのでしょうか?
そんな疑問を解決すべく、今回はしじみの栄養について詳しく解説していきます。
見た目が似ているあさりとの栄養価も比較しましたので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
しじみの栄養と効能
しじみは小さいながらも、健康に嬉しい栄養素が詰まっています。
さっそく見ていきましょう。
肝臓の働きを助ける「オルニチン」
しじみには、アミノ酸の一種である「オルニチン」が含まれます。
古くから「酒を飲んだ後にはしじみ汁を飲むとよい」と言われるのは、このオルニチンの効果によるものと考えられます。
なぜなら、オルニチンには肝臓の働きを助ける役割があるからです。
オルニチンの主な働きは、肝臓で有害なアンモニアを無毒化することです。
そのためオルニチンは飲酒後だけでなく、肝臓の機能を高めたい方にも嬉しい栄養素といえますね。
ほかにも、オルニチンには次のような効果が報告されています。
・傷を早く治そうと促す
このようにオルニチンは、子どもにも大人にも嬉しい栄養素です。
貧血予防に欠かせない「鉄」
しじみの可食部(食べられる部分)100g中には、8.3mgの鉄が含まれます。
参考までに、18~74歳の男性が1日に摂りたい鉄の量は7.5mgです。
これだけで考えると、しじみには非常に多くの鉄が含まれているように見えますね。
しかし殻付きで提供されることの多いしじみ汁の場合、しじみの可食部は7g前後、鉄は0.6mg程度です。
それゆえしじみの鉄を効率よく摂りたい方は、しじみをむき身で食べる佃煮やクラムチャウダーなどがオススメです。
また、しじみは冷凍保存もできます。
小分け保存しておけば、煮物や炊き込みご飯に加えるなど手軽にしじみが食べられて、こまめに鉄を補えますね。
細胞の成長に関わる「亜鉛」
しじみには、ミネラルの一種である亜鉛も豊富です。
亜鉛はたんぱく質の合成や、細胞の成長など私たちの健康を維持する上で重要な役割を持っています。
そのため亜鉛が不足すると、次のような症状が起こります。
・皮膚炎
・食欲不振
・成長障害(子どもの場合)
一方で令和元年に行われた国民健康・栄養調査では、18〜74歳の男性は推奨される亜鉛の摂取量に対して1日あたり1.8mg不足しているとわかりました。
なお、しじみ汁1杯に含まれる亜鉛の量はおおよそ0.2mgと、鉄と同じくあまり多いとはいえません。
しじみ汁だけで不足している亜鉛を補うのは難しいですが、ほかの食べ方や食材とも組み合わせながらうまく活用していきましょう。
しじみが健康によいと言われる理由
しじみは、古くから滋養食として親しまれてきました。
どのような効果が期待できるのか、順に見ていきましょう。
肝臓の機能を助ける
実のところしじみには、オルニチン以外にも肝機能を助ける働きがあるアミノ酸を含みます。
それは「アラニン」です。
アラニンは、肝臓でのアルコール分解を促進する働きがあるとわかっています。
疲労回復に役立つ
しじみに含まれる疲労回復に役立つ栄養素は「タウリン」です。
タウリンは栄養ドリンクの成分としても利用されているため、耳にしたことのある方もいらっしゃるでしょう。
実は、タウリンがどのようなメカニズムで疲労回復に役立つのかは、明らかになっていない点が多いです。
一方で運動前にタウリンを摂ると、持久的な運動のパフォーマンスを高めるとの報告があります。
ちなみにタウリンは体内でも作られますが、十分な量ではありません。
また体内で作られるタウリンの量は加齢とともに減少するため、食事から摂る必要があります。
子どもの成長に嬉しい
しじみにはたんぱく質やカルシウムといった、子どもの成長に必要な栄養素が含まれます。
体の成長が著しいこの時期には、発育に必要な栄養素が不足することのないようにしたいですよね。
もちろんしじみに含まれるたんぱく質やカルシウムだけで、成長期の子供に必要な量を満たすことはできません。
ただし佃煮として食べたり、シチューに加えたりと普段の食事にしじみを加えれば、栄養価が高まりますよ。
しじみの味噌汁は汁だけで栄養が摂れるのか
しじみの味噌汁は、身まで食べた方が栄養を余すことなく摂れます。
もちろん汁だけであっても一部の栄養は摂れますが、汁に溶けださない栄養までは得られません。
一方で「しじみに入っている砂が苦手」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
しっかりと砂抜きすれば、砂を気にすることなくしじみを楽しめますよ。
しじみの砂抜きには1%の塩水(1リットルの水に対して、塩を10g)が適しています。
1%の塩水に浸すことで、砂が抜けるだけでなくうま味成分が増すので、しじみがより美味しく感じられるでしょう。
【しじみVSあさり】栄養価が高いのはどっち?
しじみとあさりは見た目や食べ方こそ似ていますが、栄養価はしじみの方が高いです。
ただしあさりはしじみより身が大きいので、1個あたりで換算すると同程度のカロリーになることもありますよ。
参考記事:あさりの栄養がすごい!~適量や食べ過ぎの注意点まで解説します~
まとめ
以上、しじみの栄養について解説しました。
しじみにはオルニチンやアラニンなど、肝臓の働きを助ける栄養素が含まれます。
また鉄や亜鉛といった、私たちに不足しやすい栄養素も含まれています。
しじみは身が小さいために、殻から外して食べるのが大変と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、この機会に味わってみてはいかがでしょうか?
それでは当記事を参考に、あなたの健康維持にしじみを役立てていただけたら幸いです。
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参考文献
東北農政局 令和4年7月
J-STAGE オルニチン 酒粕による飲酒後のアルコール濃度低減 効果 運動時の疲労および運動後の疲労回復に対するタウリン摂取の効果
文部科学省 食品成分データベース