すぐ効く二日酔いの対処法一覧~吐き気・頭痛・胃もたれ解消に~

当記事の執筆は、臨床心理士・公認心理師 石倉美希が担当しました。
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楽しい時間を過ごすうちに、ついつい飲み過ぎてしまうと待ち構えているのが「二日酔い」。
次の日が仕事だったり、大切な予定が入っていたりしたら、できるだけ早く症状を落ち着かせたいですよね。
二日酔いの代表的な症状に合わせ、対処法を見つけやすくまとめました。二日酔いになりにくい工夫も一緒にご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
目次
二日酔いの症状別!対処法一覧
二日酔いの症状は人によってさまざまですが、多くの方が悩まされているのが
・頭痛、めまい
・胃痛、胃もたれ、胸やけ
といった症状です。
これらの症状は、体内でアルコールを分解する際に作られるアセトアルデヒドが体内に残るのが原因といわれています。
大体24時間経てばアルコールが代謝され、回復する方が多いですが、早めに対処したい方は以下の方法を取り入れてみてください。
気持ち悪い・吐き気
二日酔いの症状としてよくある辛い吐き気。嘔吐してしまうほどではなくとも、気持ち悪い状態が長引くのは、生活への影響も大きいものです。
水分を摂る
吐き気が強いときは、水を飲むことさえ辛いという場合もありますよね。無理に大量の水分を摂る必要はありません。一口ずつゆっくり口に含むことから始めてみましょう。一口飲んでみて嘔吐しなければ、少しずつ飲む量を増やしてみましょう。
スポーツドリンクや経口補水液など、風味があると飲み込みやすい場合もあります。
吐き気止めを服用する
水は飲める状態だけれど、気持ち悪さが続いているという場合には、吐き気止めの薬を服用してみましょう。
本来、嘔吐は体を守るための反応なので、無理に止めない方がよいとされます。しかし、繰り返すと脱水症状がひどくなったり、食道が傷ついたり、体力も消耗するため、薬で症状のコントロールをするのも必要です。
アルコールの代謝を促進する食材を食べる
アセトアルデヒドの分解を助ける働きを持つ成分として有名なのは、オルニチンです。オルニチンが多く含まれる食材としてしじみがあります。
嘔吐によって水分が失われるだけでなく、電解質のバランスも崩れますので、しじみの入った味噌汁で塩分(ナトリウム)を補えるのもメリットですね。
また、タンニンという成分もアセトアルデヒドと結合し、体外へ排出するのを助けてくれます。食べ物では柿、飲み物では緑茶にも多く含まれています。
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頭痛・めまい
アルコールを分解したときに生成されるアセトアルデヒドは血管を拡張する働きがあり、頭痛の原因となっている可能性があります。また、脱水症状や低血糖でも頭痛が起こる場合があります。
水分を摂る
脱水症状による頭痛の可能性もありますので、吐き気がある場合と同様に、水分の摂取は頭痛の場合も大切です。低血糖が関連している可能性もあるため、スポーツドリンクなど糖分の含まれる飲み物を摂るのもよいでしょう。スポーツドリンクは糖質も高めですので、飲み過ぎには注意が必要です。
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頭痛薬を服用する
辛いときは我慢せず、頭痛薬も服用しましょう。解熱鎮痛剤としてよく用いられるロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム水和物)は、副作用として胃腸の不快感が出る方もいます。
胃腸の弱い方はイブプロフェンやアセトアミノフェンを選ぶと安心です。
コーヒーなどでカフェインを摂る
カフェインには血管を収縮させる作用があるため、コーヒーや緑茶などカフェインを含む飲み物で拡張した血管が収縮され、頭痛が和らぐ可能性があります。ただ、カフェインには利尿作用もあり、コーヒーの摂取だけでは脱水が悪化する場合もありますので、一緒に水を飲むようにしましょう。
胃痛・胃もたれ・胸やけ
アセトアルデヒドが血中に蓄積していくことで、胃痛や胃もたれの症状が出るといわれています。また、アルコールそのものも胃の粘膜を刺激するため、胃酸の分泌が多くなり、荒れる原因となるのです。
水分を摂る
アルコールで胃が荒れているときに、冷たい水を飲むとさらに胃に負荷をかけてしまいます。胃の不調を感じているときは、冷たい水ではなく白湯や常温の水を飲むようにしましょう。
胃腸薬を服用する
お酒を飲むとき、ついつい脂質の高い揚げ物などをおつまみとして食べがちですよね。お酒の飲み過ぎだけでなく、食べ過ぎが胃腸の不調につながっている可能性もあります。
どちらが原因だとしても、胃酸の分泌を抑えたり、胃の粘膜を保護する作用のある胃腸薬を服用することで、症状を和らげられますよ。
消化を助ける働きのある食材を食べる
胃の症状が少し落ち着き、食事を摂るときは、胃腸への負担が少ないものを食べるのがオススメです。
「消化によい」といわれる食べ物には
・食物繊維が少ないもの
・加熱したもの
・やわらかいもの
という特徴があります。
「何を食べたらよいかわからない」「手軽に手に入るものはあるか」を詳しく知りたい方は、関連記事をぜひチェックしてみてください。
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飲み過ぎによるリスク
お酒を飲む前は「今日は二日酔いにならないように気を付けよう」と思っていても、ついつい飲み過ぎてしまうのがお酒の怖いところです。知っておきたい飲み過ぎによるリスクをまとめました。
急性アルコール中毒
大量のお酒を時間で飲み、血中のアルコール濃度が急激に高まると、脳や内臓にさまざまな影響を与えます。血中アルコール濃度がどれくらいになると、急性アルコール中毒になるのか明確な基準はありません。しかし、意識レベルが低下し、命に関わることもあります。
特にアルコールに慣れていない若い方は自分の適量を把握していない、付き合いのために周りの飲酒ペースに合わせようとしてしまうことなどから、リスクが高いため注意が必要です。
糖尿病
飲酒量が多いと、上昇した血糖値を下げる働きをするインスリンが効きにくくなったり、肝臓に脂肪が蓄積し、血糖値が高くなってしまう可能性があります。お酒だけでなく、おつまみで揚げ物などを多く摂ることで、カロリー過多になるのも要因です。
また、最近の研究(※)によると、アルコールへの耐性が強い遺伝子を持つ人は、糖尿病になりやすいと明らかになっています。「自分はお酒に強い」と感じているとついつい飲酒量も増えがちなので、気を付けたいですね。
(※)Takeno et al. (2021). ALDH2 rs671 is associated with elevated FPG, reduced glucose clearance and hepatic insulin resistance in Japanese men. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 106(7), e2802–e2813.
肝障害
アルコールの影響が最も出やすい臓器といわれているのが肝臓です。飲酒量が多い・飲酒期間が長い程リスクが高まります。
飲み過ぎによってまず起こるのが肝臓に中性脂肪が過剰に溜まった状態である、脂肪肝です。飲酒が原因の脂肪肝はお酒をやめることで、比較的短期間で改善するといわれています。
脂肪肝の状態のまま、さらに飲み過ぎが続くとアルコール性肝炎や肝硬変に至る可能性もあるのです。肝臓の病気は自覚症状が出にくいといわれていますので、飲酒量をセーブするだけでなく、定期的に血液検査を受けるようにしましょう。
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二日酔いにならない方法はある?
実は二日酔いになるメカニズムははっきりわかっていません。胃や小腸で吸収されたアルコールが肝臓で分解され、アセトアルデヒドという物質に変わります。このアセトアルデヒドが分解しきれず、体内に残ることで二日酔いの症状が出るのが通説です。
そのほかにも脱水や電解質のバランス異常、免疫系の活性化、低血糖など、二日酔いの発生は複合的な要因によるものといわれています。
原因が1つでないことから、絶対に二日酔いにならない方法があるとはいいきれませんが、二日酔いになりにくくする工夫はあるので、ぜひ試してみてください。
空腹時を避ける
アルコールの吸収は胃や小腸で行われます。空腹のままお酒を飲むと、アルコールの吸収スピードが早くなり、酔いやすくなる可能性があるのです。おつまみを先に食べてからお酒を飲むなど、食べる順番を工夫してみましょう。
飲酒量を調整する
二日酔い予防には、お酒の量を控えるのが一番なのはご想像の通りです。
適量の目安は表の通りですが、アルコールに対する耐性は元々持っている遺伝子によって決まるといわれています。日本人はアルコールに対する耐性が弱い人が多く、適量を守っているから二日酔いにならないとも限りません。
お酒の種類 | ビール | 清酒 | ウイスキー・ブランデー | 焼酎(35度) | ワイン |
アルコール度数 | 5% | 15% | 43% | 35% | 12% |
純アルコール | 20g | 22g | 20g | 50g | 12g |
(参考文献 厚生労働省 アルコール)
最初に飲む量をある程度決めて、それ以上の注文はしないようにしておきたいですね。一緒にお酒を飲む仲間にも「翌日朝から予定がある」と、飲酒量をセーブしたい理由を伝え、協力してもらいましょう。
お酒の飲み方を工夫する
飲酒の合間に水を飲むと、アルコールの吸収スピードを穏やかにできます。さらに、炭酸水にすると、満腹感も得られるので飲み過ぎ、食べ過ぎを防ぐのにも役立ちます。
水割りで飲むお酒は、水を多めにして薄くしておくのもよいでしょう。
さらに、食事を摂ったり周囲と会話しながら、お酒を飲むスピード自体もゆっくりにするとよいですよ。たくさん飲むことよりも、宴席の雰囲気を楽しむのを優先していきたいですね。
睡眠不足を避ける
寝不足の状態でお酒を飲むと酔いやすいと感じる方は多いのではないでしょうか。睡眠不足になると、肝臓に脂肪が溜まったり、肝臓の働きが悪くなるという研究(※)もあります。
二日酔いを避けたい場合には、睡眠を十分に取り、体調を整えておくようにしましょう。
(※)Sung et al.(2019). Short sleep duration is a risk of incident nonalcoholic fatty liver disease: A population-based longitudinal study. Journal of Gastrointestinal and Liver Diseases, 28(1), 73–81.
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まとめ
お酒を楽しんだ翌日を健やかに過ごすためには、アルコールが体の中でどう働くかを理解し、症状に合ったケアを行うことが大切です。
吐き気には肝臓の働きを助ける「しじみ」や「柿」などの食材、頭痛には水分やカフェインの適度な摂取、胃の不快感には白湯や消化にやさしい食事が効果的とされています。
症状に合わせて、水分の摂り方を工夫したり、薬の服用も検討してみてください。
また、
・飲酒量を調整する
・飲み方を工夫する
・睡眠不足を避ける
などのちょっとした工夫が、二日酔いそのものを防ぐ大きな助けになります。
アルコールへの耐性は人によって異なります。自分の体質やコンディションに合わせた飲み方と対処法を知っておくことが、お酒との上手な付き合い方につながりますよ。
本記事が二日酔いの症状に早く対処し、お酒とうまく付き合うためのヒントになりますと幸いです。
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