糖尿病の薬「DPP4阻害薬」とは 〜種類や副作用などシンプルに解説〜

「今日からDPP4阻害薬という薬を服用し始めたけど、これってそもそもどんな薬なのかしら?もう少し知ってみたい。」
そんなあなたの疑問に答えるため、『DPP4阻害薬』について解説していきます。
当記事でDPP4阻害薬の基本がつかめますので、ぜひ最後までお付き合いください。
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目次
DPP4阻害薬とは
DPP4阻害薬は『DPP4を阻害してインクレチンの不活性化(活動しない状態)を防ぐ薬』になります。
インクレチンとは食事を摂取すると消化管から分泌され、すい臓からのインスリン分泌を促進するホルモンのことです。
インスリンは血糖値を下げるホルモンですので、分泌を促すインクレチンは糖尿病治療の味方となるホルモンともいえますね。
そしてDPP4は、インクレチンを分解し活動できない状態にしてしまう酵素(※)です。
(※)酵素は私たちが生きていうく上で必要不可欠なもので、生命活動のために身体のあらゆる箇所で働いています。
つまりDPP4阻害薬は『すい臓からのインスリン分泌を促進するホルモン(インクレチン)の活動を、邪魔するもの(DPP4)を抑えるための薬』となります。
参考記事:糖尿病の薬「SGLT2阻害薬」とは 〜種類・注意点・ダイエット効果を解説〜
特徴は?他の糖尿病薬との比較
DPP4阻害薬の特徴として、
・低血糖を起こしにくいので、食前・食後のどちらでも使える
・体重が増加しにくく、肥満の方でも使える
・毎食ではなく、1日1~2回や1週間に1回などの内服で良いものが多い
といったことが挙げられます。
ただし、他の種類の血糖降下剤と併用して内服する場合は、低血糖を起こすこともあるので注意が必要です。
DPP4阻害薬の種類を一覧で紹介
DPP4阻害薬は2型糖尿病に効果のある薬です。主な一般名と商品名を紹介します。
ジェネリックもあるのか
DPP4阻害薬は、現在のところジェネリックはありません。
腎機能に障害がある場合
DPP4阻害薬の中には腎機能の影響を受けやすく、腎機能に障害がある場合に減量や調整が必要なこともあります。
ただし、薬の調整に関しては主治医があなたの腎機能も考えた上で処方をしてくれるので、処方通りに内服していただければ大丈夫でしょう。
体重減少するって本当?
DPP4阻害薬については、体重減少するというよりも体重を増加させにくいと考えていただければよいかと思います。
インクレチンには食欲を抑える効果があるといわれていますので、食べ過ぎによる体重増加を防ぐことができるという考え方です。
DPP4阻害薬とよく併用される薬を紹介
DPP4阻害薬は基本的に他の全ての血糖降下剤やインスリンとの併用が可能です。
2012年に発表された研究では、スルホニル尿素薬(商品名:オイグルコン、ダオニール、グリミクロン、アマリール)やビグアナイド薬(商品名:グリコラン、メトグルコ、ジベトス)との併用が多かったといわれています。
またSGLT2阻害薬(商品名:スーグラ、フォシーガ、デベルザ、アプルウェイ、ルセフィ、カナグル、ジャディアンス)との相性が良いとして併用を取り入れているクリニックもあるようです。
インクレチンはスルホニル尿素薬のインスリン分泌作用を増やす働きがあります。そのため、DPP4阻害薬とスルホニル尿素薬を併用する場合は特に低血糖に注意する必要があります。
DPP4阻害薬を服用する際に気をつけること
DPP4阻害薬は低血糖を起こしにくいとされていますが、絶対に低血糖を起こさない訳ではないので注意が必要です。
副作用について
副作用として頻度は高くないですが、主だったものに吐き気や嘔吐といった消化器症状があります。
DPP4阻害薬を開始して体調に変化を感じることがあれば、主治医に相談してみてください。
まとめ
それでは本日のまとめです。
・DPP4阻害薬は、DPP4を阻害してインクレチンの不活性化を防ぐ薬
・低血糖を起こしにくい・体重が増加しにくいという特徴がある
・飲み合わせによっては低血糖に注意
・副作用で、まれに消化器症状(吐き気や嘔吐)などが起こることも
以上です。
本記事を通して、DPP4阻害薬がどういう薬なのか知ってもらえたら嬉しいです。
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参考文献
・糖尿病リソースガイド(2021):DPP-4阻害薬 薬剤一覧表,(検索日:2021年4月21日)
・医療情報科学研究所(2019):病気がみえるvol.3 糖尿病・代謝・内分泌 第5版,メディックメディア,52-57
・紅林 昌吾,長尾 綾子, 大月 道夫,他(2012): 2 型糖尿病患者における DPP-4 阻害薬を用いた多剤併用療法 の実施状況と短期治療成績(JDDM-29),糖尿病,55(10),761-767