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糖尿病とタバコの関係〜血糖値への影響から電子タバコまで幅広く解説〜【医師監修】

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糖尿病とタバコの関係〜血糖値への影響から電子タバコまで幅広く解説〜【医師監修】

当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。執筆はライター 前間弘美(管理栄養士)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

2型糖尿病は生活習慣と密接な関わりがあり、発症の原因は過食やストレス、運動不足など様々です。さらにタバコも糖尿病のリスクを上げる要因とされています。

そこで今回は、糖尿病とタバコの関係についてご紹介することにしました。

さらに、電子タバコや禁煙外来についてもわかりやすくお伝えしますので、ぜひ最後までお付き合いください。

タバコを吸うと糖尿病になりやすいの?

タバコと糖尿病の関係

最初にお伝えしますと、喫煙は2型糖尿病発症のリスクを高めます。

とある調査(※)で、非喫煙者(タバコを吸わない)に対し喫煙者(タバコを吸う)は、糖尿病を発症するリスクが1.4倍であるとわかりました。

JAMA 298: 2654-2664

しかも、タバコの本数が多いほどそのリスクも高くなることも明らかになっているのです。

またタバコを吸うと交感神経が刺激されて血糖値が上昇したり、体内のインスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きを邪魔する作用もあります。ですので治療効果を上げるためにも、禁煙が推奨されるのです。

さらにタバコ自体が、糖尿病合併症でもある動脈硬化や骨粗鬆症を招きます。その影響力は2年間の禁煙で心血管死亡率を24%も減少させるとの報告もあるほどです。

通常であっても、糖尿病の人はそうでない人に比べて動脈硬化から派生する脳梗塞は2~4倍、心筋梗塞は3倍以上の発症リスクがあります。そして骨粗鬆症に関しても、1.5~2倍の骨折リスクがあると報告されているのです。

この状況にタバコが関わると、合併症の発症・進行リスクを加速させてしまいます。

つまり、命に関わるような事態を回避するために糖尿病では禁煙が推奨されるのです。

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タバコが健康に与える影響とは

タバコが健康に与える影響とは

タバコには「百害あって一理なし」という言葉があるように、喫煙はがん・脳卒中・COPD(※)・歯周病・白内障など多くの病気に影響するとわかっています。

(※)慢性閉塞性肺疾患ともいい、20年以上の喫煙歴を経て発症する病気のこと

日本人のがんによる死亡の24.1%がたばこが原因という報告や、日本人の死亡の17.1%が喫煙によるものという報告もあります。1日50本以上喫煙する人の肺癌死亡率は、喫煙しない人の15倍にも上ります。

そして上記のような影響は、タバコに含まれる有害物質(ニコチン、タールなど)によるものと考えられています。

ニコチンは化学物質としては毒物に分類されており、血圧を上昇させます。タバコの依存性はニコチンに寄るものが多く、喫煙習慣を止めたくてもやめられなくなります。またタールとはタバコのヤニのことで、発がん物質が数十種類も含まれているのです。

さらに喫煙は肌を老化させ、シミやくすみの原因となるメラニン量を増やすことも明らかになっていますので、実年齢より老けて見える可能性もあります。

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電子タバコなら問題ないのか

電子タバコ

ニコチンが含まれていないとされる電子タバコですが、国内で販売されている 25銘柄45味中、11銘柄15 味でニコチンが検出されたという報告が厚生労働省より上がっています。

ニコチンやタール以外にも電子タバコのエアロゾルには重金属や様々な発がん物質が含まれており、がんや呼吸器疾患を引き起こす可能性があるという報告が増加しつつあります。さらにホルムアルデヒドなど、アレルギーの原因となる有害物質の検出されたとの報告も。

アメリカでは若年者が電子タバコの喫煙により肺疾患を起こし、命に係わる有害事象が多発しており、全ての電子タバコの使用を控えることが推奨されています。

電子タバコが一般的なタバコと比して

・健康上利益がある
・喫煙よりも健康被害が少ない
・禁煙補助に有用である

といった科学的な根拠は現時点では示されておらず、紙巻たばこ・加熱式たばこ・電子タバコいずれの摂取も避けることが勧められます

実は受動喫煙にも注意が必要

受動喫煙とは、自分はタバコは吸わないが、他の人が吸うタバコの煙を吸わされてしまうことです。そして受動喫煙でも糖尿病のリスクが上がることが明らかになっています。

上記の「糖尿病とタバコの関係」で、非喫煙者に対して喫煙者は、糖尿病の発症リスクが約2倍とお伝えしました。それが受動喫煙者の場合、非喫煙者に比べて約1.8倍の発症リスクであることも分かっているのです。

つまり、自分が吸わなくても他の人のタバコによって糖尿病になることがあることを知っておいてください。

禁煙できない方へ

禁煙

「本当はタバコをやめたいけど、なかなかできないんだよ」

このような気持ちでお悩みの方は多いと思います。なぜなら喫煙習慣の正体は、ニコチンによる依存性だからです。

ニコチンは脳の快楽を感じる神経部分に作用します。そのため禁煙しようとすると、吸いたい、集中できない、イライラする、眠気を感じるといった様々な症状を引き起こし、タバコを吸いたい衝動に駆られてしまうのです。

ですので、禁煙できないのはあなたの努力や頑張りが足りないからではありません

禁煙外来を活用しよう

禁煙外来

禁煙外来は、タバコをやめたい人向けに設置された専門外来です。

カウンセリングを通じ、生活面のサポートも行います。場合によっては患者さんの体の状態も考慮しながら、ニコチンガムやニコチンパッチといった禁煙補助剤を利用して、禁煙を継続できるようにしていきます。

無理をせず、このような時こそ医療機関の力を借りるのも一つの手でしょう。

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まとめ

以上、タバコは2型糖尿病発症のリスクを高め、がんや動脈硬化、骨粗鬆症などの合併症も招くことがわかりましたね。

そして受動喫煙でも糖尿病のリスクが上がります。つまり、自分が吸わなくても他の人のタバコによって糖尿病になることがあるのです。

また最近使用者の増えている電子タバコですが、これによる呼吸器疾患の報告も増えてきており、タバコより安全と言えるものではありません。どちらも避けるようにしましょう。

タバコを自力でやめるのはなかなか難しいことです。だからこそ、禁煙外来を利用するのも良いでしょう。

それでは当記事があなたの禁煙の助けになれば幸いです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値・血圧・体重などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてくださいね。
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参考文献
厚生労働省 生活習慣病などの情報 なくそう!望まない受動喫煙。 電子たばこの注意喚起について
日本癌学会 喫煙のがんを始めとする健康に関する情報
Ann Oncol. 2012 May;23(5):1362-1369. doi: 10.1093/annonc/mdr437. Epub 2011 Nov 2.

 

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