カレーにはどんな栄養がある?~バランスを整える献立作成のコツも紹介~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください
老若男女を問わず好まれ、日本の国民食ともいえるカレー。
肉や野菜などさまざまな食材を使って作られるため「カレーは栄養満点!」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、栄養バランスは本当に優れているのか、足りない栄養素はあるのかなどカレーの真相に迫ります。
オススメのアレンジ方法についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
カレーライスに含まれる三大栄養素
カレーライスには三大栄養素と呼ばれる「たんぱく質、脂質、炭水化物」がすべて含まれます。
もちろん入れる具材によって栄養価は変わりますが、一般的なカレーライス(※)の場合は下記のとおりです。
(※)豚肉、じゃがいも、たまねぎ、人参の入ったカレールー+260gのご飯
・たんぱく質:21.2g
・脂質:26.6g
・炭水化物:128.8g
なお、上記の栄養価は市販のルーを使ったカレーライスで算出しています。
三大栄養素の効果
三大栄養素とは「たんぱく質、脂質、炭水化物」のことで、私たちの体を動かすエネルギー源です。
そのため、最近では「エネルギー産生栄養素」とも呼ばれています。
なかでも脂質は、たんぱく質や炭水化物と比べて多くのエネルギーを作り出します。
参考までに1gあたりのエネルギー量は、たんぱく質と炭水化物でそれぞれ4kcal、脂質は9kcalです。
また、たんぱく質、脂質、炭水化物にはそれぞれ異なる働きもあります。
・脂質:細胞膜やホルモンなどの構成成分となる
・炭水化物:脳のエネルギー源となる糖質と、腸内環境を整える食物繊維がある
関連記事
五大栄養素の働きとは?管理栄養士がわかりやすく解説~主な役割も紹介~
三大栄養素はどのくらいのバランスがよい?
三大栄養素のバランスは、たんぱく質エネルギー比13〜20%、脂質エネルギー比20〜30%、炭水化物エネルギー比50〜65%が適切といわれています。
たとえば800kcalの食事を摂る場合の適切な割合は、下記の通りです。
・脂質:17.8~26.6g(160~240kcal分)
・炭水化物:100.0~130.0g(400~520kcal分)
カレーライスの栄養バランスはどうか
先ほど紹介した一般的なカレーライスについて、三大栄養素のバランスを見てみましょう。
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | |
一般的なカレーライス | 798kcal | 21.2g | 26.6g | 128.8g |
適切な割合 | 798kcalの場合 | 25.9~39.9g | 17.7~26.6g | 99.8~129.7g |
このようにカレーライスのたんぱく質は不足しており、脂質と炭水化物は上限ぎりぎりであるとわかります。
したがって、全体のカロリーをさほど変えずにバランスを整えるには、脂質と炭水化物の多い食材を減らし、たんぱく質源となる食材を増やすとよいでしょう。
具体的な方法については、次の「足りない栄養を補うコツ」で紹介します。
なお、カレーのカロリーについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
関連記事
カレーはダイエットの天敵?~太りにくい食べ方のポイントを解説~
脂質異常症だとカレーは食べられない?~カロリー&脂質控めレシピも紹介~
ナンのカロリーと糖質は高い?〜栄養とダイエットの観点からわかりやすく解説〜
足りない栄養を補うコツ
全体のカロリーを大きく変えずに、たんぱく質を補う簡単な方法は「肉の部位や種類を変える」です。
実のところ、肉は部位や種類によってたんぱく質や脂質の量が異なります。
カロリー | たんぱく質 | 脂質 | |
豚肩肉(脂身付き) | 201kcal | 18.5g | 14.6g |
豚もも肉(赤身) | 119kcal | 22.1g | 3.6g |
※100gあたり |
ちなみに今回栄養価の算出に用いたカレーライスに使用したのは、豚肩肉(脂身付き)60gでした。
これを豚もも肉(赤身)100gに変えるとカロリーはほぼ同じ、たんぱく質は11.0g増加、脂質は5.2g減少します。
つまり肉の部位と量を変えると、カレーライスの三大栄養素は理想のバランスになるのです。
たんぱく質を増やす方法は、肉の種類変更だけではありません。
肉ではなく魚介類を用いたシーフードカレーにする、納豆をトッピングするなどさまざまな方法がありますよ。
関連記事
カレーの糖質を抑えるポイントとは?〜カロリーオフレシピもご紹介〜
レトルトカレーにも栄養はある?
湯煎や電子レンジで温めて食べるレトルトカレーの多くは、一般的なカレーよりも具材が少ないためたんぱく質の低さが際立っています。
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | |
レトルトカレーのみ | 262kcal | 5.3g | 19.8g | 17.8g |
レトルトカレー+ご飯260g | 668kcal | 11.8g | 20.6g | 114.3g |
適切な割合 | 668kcalの場合 | 21.7~33.4g | 14.8~22.3g | 83.5~108.6g |
そして上記のように、レトルトカレーは炭水化物が多めですから、栄養バランスが気になるときには次のようにアレンジしましょう。
・ご飯(炭水化物)を少なめに盛る
またレトルトカレーは、具材が少ないために食べ応えがなく、あっという間に食べ終わってしまうと感じることも。
そのようなときは、焼き野菜など噛み応えのあるものをトッピングするのがオススメです。
ご飯の量を減らすことで生じる「物足りなさ」が補えるかもしれません。
簡単調理でさまざまな味が気軽に楽しめるレトルトカレーも、工夫次第で栄養バランスを整えられますね。
関連記事
卵は栄養バランス完璧な最強食材なの?~効能から効果的な食べ方まで解説~
ご飯1杯のカロリーと糖質はどれくらい?糖質制限での活用を踏まえシンプルに解説
【番外編】カレーパンの栄養
カレーパンは揚げてあるため、脂質が多めです。
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | |
カレーパン | 337kcal | 9.3g | 16.4g | 41.2g |
適切な割合 | 337kcalの場合 | 11.0~16.9g | 7.5~11.2g | 42.1~54.8g |
ただしカレーパンそのものの栄養バランスを調整するのは難しいため、一緒に食べるものに配慮しましょう。
たとえば、豆腐サラダやサラダチキン、具沢山のポトフなどはいかがでしょうか?
脂質が控えめで、たんぱく質や炭水化物の補えるものがオススメです。
関連記事
【簡単】サラダでダイエット!効果的な食べ方やオススメレシピを紹介〜
豆腐ダイエットで痩せるってホント?〜効果的なやり方から簡単レシピも紹介〜
まとめ
今回はカレーに含まれる栄養について解説しました。
一般的なカレーライスは、たんぱく質が不足傾向で、脂質や炭水化物が多めです。
またレトルトのカレールーを使用すると、たんぱく質がより少なくなります。
ただし入れる具材を工夫すれば、カレーライスを理想の栄養バランスに近づけることは可能です。
さまざまな食材との相性がよいカレーですから、定番のものだけでなくお好みの食材でアレンジしてみてはいかがでしょうか?
それでは当記事を参考に、カレーを楽しんでいただけたら幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
カロリーSlism
文部科学省 食品成分データベース