Sync Health Blog

さくらんぼの栄養成分と効能~健康効果から保存方法まで徹底解説~

  • カテゴリ
  • ※こちらの記事は広告が含まれます
さくらんぼの栄養成分と効能~健康効果から保存方法まで徹底解説~

当記事の執筆は、管理栄養士  高木万智が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

赤くてコロンとしたかわいい見た目に、甘さと酸味が絶妙なバランスで美味しいさくらんぼ。さくらんぼの品種を代表する山形県の佐藤錦はその艶やかで美しい見た目から「ルビー」と称されるほどです。

そこで当記事では、“食べるルビー”である「さくらんぼ」の栄養について解説していきます。

さくらんぼに含まれる体によい栄養素はもちろん、「体に悪いという噂」についても、詳しくお伝えしていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

さくらんぼに含まれる栄養成分と効能

さくらんぼに含まれる栄養成分と効能

それでは早速、さくらんぼに含まれる栄養成分とその効能についてみていきましょう。

若返りのビタミン「ビタミンE」

ビタミンEは抗酸化作用が強く、老化防止に役立つ栄養素です。抗酸化作用とは新陳代謝を活発にし、活性酸素(老化を促進する物質)を消去し、酸化を食い止めることです。また食べ物が古くなって酸化するように人間の体の細胞も酸化をし、それを老化と呼んでいます。

そこで、ビタミンEが抗酸化作用で老化を抑えてくれるのです。また、血行促進効果も期待できるため、ビタミンEは美肌には欠かせない栄養素です。

目を健康に保つ「ビタミンA」

ビタミンAは、目の網膜細胞を保護する作用があります。

さらに、網膜で光の明暗や色を感じるのに重要な物質の主要成分です。そのため、ビタミンAが不足すると「夜盲症」という、暗い中でものを見る力の弱くなる症状が出ることがあります。

またビタミンAは肌を乾燥から守る働きもあるため、肌トラブルを起こさないためにも大切な栄養素です。

他にもビタミンAは消化器官の粘膜を正常に保ち、病原体を侵入させにくくする働きもあるので免疫力を高めます。

むくみ対策になる「カリウム」

カリウムの働きは体の余分な塩分を排出し、むくみを予防することです。塩分の摂取が多くなると、人間は体を一定の濃度に保とうと水分を体に留めようとします。

そこでカリウムは、腎臓を通して塩分の排泄を行うことで水分の排出を促し、むくみを解消してくれる役割があります。さらに、塩分を排出するため血圧が高い方におすすめの栄養素です。

血を作るのを助ける「葉酸」

葉酸は「造血のビタミン」といわれており、ビタミンB12とともに新しい赤血球を作り出すのに必要不可欠な栄養素です。また細胞が新しく作られたり、たんぱく質の合成時にも重要な働きを担います。

そのため特に妊婦さんや成長期のこどもなど、体の中で細胞分裂が盛んに行われている時期は多く摂取するよう基準が設けられています。なお、さくらんぼには種があるので、小さなお子様が召し上がる際には誤って飲み込まないよう、十分お気を付けください。

血液に必須な鉄分も

実はさくらんぼには微量ではありますが、血液を作るのに欠かせない重要な成分である鉄分も含まれています。鉄分は血液中のヘモグロビン(※)と一緒に酸素を運ぶ役割があります。

(※)赤血球のなかにあるたんぱく質で、酸素の運搬を担っている部分

美肌になれる「ビタミンC」

ビタミンCは、皮膚やお肌に弾力を与える細胞であるコラーゲンの合成に必要不可欠なビタミンです。また、シミの原因となるメラニンの生成を抑制したり、強い抗酸化力のおかげで美容効果の高い ビタミンといえます。

参考記事:パイナップルの栄養と効能~健康効果や缶詰や冷凍パインとの違いも解説~

さくらんぼの加工品の栄養はどうか

さくらんぼの加工品の栄養はどうか

さくらんぼは缶詰、ジュース、さくらんぼ酢、ドライフルーツなどさまざまな加工品があります。これらの栄養素はどうでしょうか。

さくらんぼの缶詰

缶詰のさくらんぼの栄養価は正式に測定されていません。そのためアメリカ産のさくらんぼの場合になりますが、缶詰に加工する過程でカリウムが流出し、生で食べる際の半分以下になります。

また、水に溶けやすいビタミンのことを水溶性ビタミンといいますが、その中の一つである葉酸は、加工される段階で1/3以下まで減ります。

しかし、これらの栄養成分がすべてが無くなるわけではありません。

缶詰は季節を問わずに食べることができますし、保存がきくというメリットもあります。ただし缶詰は砂糖などを使った甘いシロップ漬けになっていますので、体重や糖分を気にされる方は生のものを食べるほうがよいでしょう。

さくらんぼジュースやさくらんぼ酢は?

さくらんぼジュースについては詳しい栄養素のデータがないものの、水溶性ビタミンは多くとれる可能性があります。またお酢にはクエン酸や他の物質による疲労回復などの効能がありますので、さくらんぼ酢にも同じ効果が期待できます。

ただしいずれも糖質が多くさらに吸収されやすいので、血糖値や体重コントロールをされている方にはオススメいたしません。あくまで嗜好品として、たまに飲む程度にしましょう。

参考記事:体にいいけど太りやすい飲み物とは?~特徴や要注意の飲料一覧も紹介~

さくらんぼは体に悪いのか

さくらんぼは体に悪いって本当?

栄養豊富なさくらんぼ。それでは、体に悪い噂があるのはなぜでしょうか。

食べ過ぎると下痢になるって本当?

食べ過ぎると下痢になるって本当?

結論から申し上げますと、さくらんぼを食べて下痢になる可能性は低いです。

実はさくらんぼやリンゴ、梨などに含まれるソルビトールという糖質は、とりすぎると下痢になる可能性があります。

ソルビトールは食品添加物としても利用され、人工的に作られているものが一般的です。そしてソルビトールを20〜30g摂取すると、人によっては下痢になることもあります。

さくらんぼでの正確な含有量は測定されていませんが、参考までにアメリカンチェリーは100gあたり2.2gのソルビトールが含まれています。なお、梨が1.5g、リンゴが0.7gですので、比較すると多いですね。しかし、20g相当のソルビトールをとるには、アメリカンチェリーを100個程食べることになります。

そのためさくらんぼを食べて下痢になることはまれでしょう。またさくらんぼは皮ごと食べるので、一度に多く食べると消化器官に負担がかかります。1回あたり10個位を目安にするとよいですね。

さくらんぼアレルギー

実はさくらんぼを食べるとアレルギー症状が出る可能性があります。

それが、食べると口の中だけに症状がでる「口腔アレルギー症候群」です。

さくらんぼは、このアレルギーを起こす食品の一つとしてあげられておりますので、食べて口の中や咽頭部がイガイガしたりかゆくなったら、アレルギー症状かもしれません。なお、口腔アレルギー症候群は、今までは食べていて平気だった人も突然発症する場合があります。

口の中がイガイガする程度だから・・・と、大量に食べ進めると症状がひどくなる場合もあります。もし異変を感じた場合は速やかに食べるのをやめましょう。

また、症状がおさまらない場合は医療機関を受診してください。

さくらんぼとアメリカンチェリーの栄養面での違い

さくらんぼとアメリカンチェリーの栄養面での違い

さくらんぼとアメリカンチェリーは似ていますが、栄養素の違いはあるのでしょうか。

カロリーと糖質の比較

さくらんぼのカロリーは1食(10個、60gあたり)当たり38kcal、糖質(差引法による利用可能炭水化物量)8.5g。アメリカンチェリーのカロリーは1食あたり38kcal、糖質は8.2gです。カロリー・糖質共に、ほとんど一緒です。

ビタミンやミネラルの比較

ビタミンでは、ビタミンAはさくらんぼのほうが多いのに対し、ミネラルであるカリウムはアメリカンチェリーのほうが多くなっています。その他の成分に大きな差はありません。

また、アメリカンチェリーはポリフェノール類(※)のアントシアニンを多く含みます。実が赤紫なのはそのアントシアニンの色です。また、アメリカンチェリーは痛風発作を抑制するとの報告がありますが、残念ながらさくらんぼはありません。

(※)ポリフェノールとは植物性食品に含まれる化学成分で、強い抗酸化作用と活性酸素を消す働きをもつことが特徴。

参考記事:ワインは高カロリーだけど低糖質~栄養素や手軽なおつまみも紹介~

保存方法

さくらんぼは乾燥しないように新聞紙やキッチンペーパーに巻いて保存しましょう。

さくらんぼを食べるときは少し冷やすと酸味が抑えられて甘味が増し、美味しく感じられます。ただし長い間冷蔵庫に入れておくと、水滴が付き傷むスピードが早まってしまうので注意が必要です。

なお、さくらんぼは傷みやすいのでなるべく早く食べることをオススメいたします。

まとめ

以上さくらんぼには、ビタミンE、ビタミンA、カリウム、葉酸、ビタミンCなど、私たちの体に必要なたくさんの栄養素が含まれていることがわかりました。美味しくいただくことでさまざまな栄養素が摂れますね。

また、体に悪いといわれる理由は、さくらんぼに含まれる「ソルビトール」が下痢を引き起こす可能性があるためでした。しかし1食食べる分には、影響が少ないのでご安心を。

そして健康な食生活において大切なのはバランスです。さくらんぼだけでなく、様々な食材を適量とるとよいでしょう。

それでは当記事を参考に、皆さんが安心してさくらんぼを楽しんでいただけると幸いです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や体重、運動や食事の記録がカンタンにできます。日々の血糖コントロールにてぜひ活用してみてくださいね。

糖尿病の記録 体重の記録 血圧の記録 生活習慣病の管理はシンクヘルスで一括管理

 

参考文献
文部科学省 食品成分データベース
毎日くだもの200グラム推進全国協議会 FACTBOOK 果物と健康
厚生労働省 e-ヘルスネット 生活習慣病予防のための健康情報サイト
公益財団法人長寿科学振興財団 
健康長寿ネット 
一般社団法人日本アレルギー学会 口腔アレルギー症候群
一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版ポケット・ダイジェスト版 
農林水産省 達人レシピ 

LATEST BLOG最新ブログ記事

記事一覧へ