チーズの栄養成分と効能~気になるダイエットとの相性も徹底解説します~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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料理やデザートに使うもよし、そのまま食べるもよしのチーズ。好物にチーズをあげる方も多いのではないでしょうか。
チーズは生乳を乳酸菌や酵素によって固状形にし、さらに発酵させたものです。
そんなチーズには、私たちの体の材料となる栄養がさまざま含まれていることをご存知でしょうか。
今回は多くの人に愛されるチーズの栄養について詳しく解説します。種類ごとの違いやダイエット・健康への影響についてもお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
チーズの栄養素と効果
チーズは、カルシウムやたんぱく質が豊富な食材です。
乳製品の1つであるチーズにどのような栄養素が含まれ、どのような働きをしているのか詳しく見ていきましょう。
体のもととなるたんぱく質
チーズは種類によって含まれる量が異なるものの、たんぱく質の豊富な食べ物です。
なおどの種類のチーズにどれくらいのたんぱく質が含まれるのかは、後ほどランキング形式でご紹介します。
たんぱく質は筋肉や皮膚、臓器、抗体、ホルモンなど私たちの体の材料となります。
たんぱく質が体にとって大切であるだけでなく、美味しさの一因にもなっていることに驚きですね。
またチーズの豊かな香りは、酵素や菌の力によってたんぱく質の構成成分であるアミノ酸ができることによって生まれます。
細胞の材料にもなる脂質
チーズは脂質も豊富で、全体の約25〜30%を占めています。
脂質が多いと聞くと、不健康なイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし脂質は生きていくうえで不可欠な栄養素です。エネルギー源となるほか、私たちの細胞を作るときにも使用されます。
またチーズの脂質は熟成される段階で分解され、消化吸収されやすい形になります。つまり、チーズの脂質は体内で効率のよく利用できます。
骨の健康を守るカルシウム
カルシウムは骨や歯の材料になったり、血液の凝固や筋肉の収縮にも関わったりする栄養素です。
そのためダイエットなど、無理な食事制限などによりカルシウムの摂取量が不足すると、骨粗しょう症の発症リスクが上がります。
おやつなどで手軽に食べられるチーズは、カルシウムを補う優秀な食材といえるでしょう。
なおカルシウムについても、後ほどどの種類のチーズに多く含まれているのかをご紹介します。
体の調子を整えるビタミン
ビタミンは、私たちの体の調子を整える栄養素です。体内で作ることができないため、食事から補う必要があります。
チーズに豊富に含まれるビタミンは、ビタミンAやビタミンB2です。
ビタミンAの働きは、目などの粘膜を健康に保つことや暗い場所でも視力を維持すること、抵抗力を高めることなど多岐にわたります。
ちなみにビタミンAが不足すると、夜盲症(※)を引き起こす可能性があります。
(※)夜盲症とは、明るい場所から暗い場所に移った時に、視力を調節する力が衰える病のこと。
一方ビタミンB2の役割は糖質、たんぱく質、脂質からエネルギーを産生するのを助けることです。
ビタミンB2は「発育のビタミン」ともいわれ、発育促進に関わることや、細胞を作り出すことにも関係しています。
そのためビタミンB2が不足すると、皮膚炎や口内炎などになりやすいでしょう。
たくさんある!チーズの種類と特徴
これまでチーズに含まれる主な栄養素について解説してきました。
すると今度は「種類が多いチーズ、それぞれの栄養素に違いはあるの?」という疑問が浮かんできますね。
現在チーズは世界でなんと1000種類以上あると言われ、大きくはナチュラルチーズとプロセスチーズに大別されます。
それぞれにどのような種類と特徴があるのでしょうか。さっそく見ていきましょう。
ナチュラルチーズとプロセスチーズの違い
ナチュラルチーズは生乳を乳酸菌や酵素によって固形状にし、熟成させたものを指します。
1年以上かけてじっくり熟成するものから、熟成させないフレッシュチーズまで、種類が豊富です。
一方で、プロセスチーズは2種類以上のナチュラルチーズを混ぜて固めたもので、長期保存ができるのが特徴です。
たんぱく質・カルシウムの多いチーズランキング
こちらが100gあたりに含まれるたんぱく質と、カルシウムの量が多い種類ベスト3(※)になります。
(※)一般的によく食べられる、モッツァレラチーズ、クリームチーズ、カテージチーズ、クリームチーズ、リコッタチーズ、カマンベールチーズ、チェダーチーズ、パルメザンチーズ、ブルーチーズ、プロセスチーズでのランキング。
たんぱく質とカルシウムはどちらも、パルメザンチーズ、チェダーチーズ、プロセスチーズの順に多く含まれています。
パルメザンチーズやチェダーチーズのたんぱく質量やカルシウム量が多い理由は、水分量の少なさです。
水分が少ない分濃縮されているので、栄養成分がギュッと詰まっています。
よってパルメザンチーズとチェダーチーズは、少量でも効率よくたんぱく質やカルシウムを摂取できます。
ただし水分が少なく栄養成分がギュッと詰まっている分、他の種類のチーズと比べてカロリーも高くなります。食べすぎには注意しましょう。
女性に嬉しい効果があるって本当?
チーズには便秘改善、肌の健康、骨粗鬆症対策など、女性にとって嬉しい効果があります。
便秘改善
ナチュラルチーズは、便秘に悩む女性にとってうってつけの食材です。
なぜなら、ナチュラルチーズには乳酸菌が含まれるからです(※)。
(※)全てのチーズに乳酸菌が入っていると思われがちですが、プロセスチーズは加熱の際に死滅する。
乳酸菌には悪玉菌の増殖を抑え、腸の調子を整える効果がありますよ。
肌の健康
チーズには、肌の再生に関わるビタミンB2が含まれます。
そのため、チーズは肌を健康に保つのに役立つでしょう。
骨粗鬆症対策
チーズに豊富に含まれるカルシウムは、丈夫な骨を保つためには不可欠な栄養素です。
特に女性はホルモンバランスの関係上、骨密度が20歳でピークに達し、閉経後に急激に低下しやすくなります。
骨密度の低下を最低限に抑えて、健康的な骨を維持するためにもルシウムの豊富なチーズはオススメの食材です。
参考記事:骨粗鬆症を予防するポイントとは?~オススメの食べ物やレシピを紹介~
チーズを毎日食べるとどうなるのか
健康の維持に重要な栄養素が多く、女性にとってありがたい効果のあるチーズを毎日食べることのメリット&デメリットについてご紹介します。
メリット
メリットはチーズを毎日食べることにより、たんぱく質やカルシウムを補給できることです。
たんぱく質もカルシウムも体を作る材料になるので、不足することなく摂りましょう。
デメリット
デメリットは食べすぎると摂取カロリーが多くなり、肥満につながることです。
チーズはカロリーの高い食べ物で、種類にもよりますが100gあたり250~450kcalです。食べすぎには注意しましょう。
関連記事:チーズはダイエット中に食べていいのか?~メリットやデメリットを徹底解説~
チーズはダイエットに向いているのか
チーズはダイエット中の方にオススメで、1日ひとかけらほど食べるとよいでしょう。
チーズはとても腹持ちがよいので、間食に食べると空腹が満たされると同時に食べすぎも防げます。
「ダイエットしたいけれど、ついつい食べすぎてしまう」というお悩みを持つ方に向いています。
また、チーズは低GI食品です。低GI食品とは、食べた後に血糖値の急上昇が起こりにくい食品です。
血糖値が急激に上がると、体が糖を蓄えようとするため肥満の原因になります。
チーズは腹持ちがいいだけでなく、血糖値の急上昇も防げるのはありがたいですね。
そうはいっても、もちろん食べすぎは禁物です。チーズは高カロリーですし、健康にとって何よりも重要なのはバランスの取れた食事です。
チーズだけではなく、いろいろな食材を取り入れるようにしましょう。
なお、脂質の少ないチーズを選ぶとカロリーの摂りすぎを防げます。たとえばカッテージチーズやモッツァレラチーズ、リコッタチーズは脂質が少なめです。
参考記事:糖尿病とチーズの付き合い方を解説~低カロリーなチーズレシピも紹介~
参考記事:血糖値とダイエットの関係~急上昇を防ぐ食べ方で太りにくい食生活に~
いつがいい?チーズの効果的な食べ方
チーズは朝か昼、間食に摂るのがオススメです。腹持ちのよさによって、空腹に悩まされることが減るでしょう。
また、チーズに限らず夜遅くに食事を摂ると、摂取したカロリーがその日のうちに消費できず脂肪として蓄えられやすくなります。
さらに、翌朝になっても食欲がなく朝食が食べられなくなってしまうことも。
健康的な生活習慣のためにもチーズは朝か昼、もしくは間食に食べるようにしましょう。
まとめ
以上チーズの栄養について解説してきました。
まとめますと、以下の通りです。
・水分量が少ないチーズほどたんぱく質やカルシウムが豊富
・ビタミンB2やカルシウム、ナチュラルチーズの乳酸菌が女性に効果的
・腹持ちがよく低GI食品であるチーズはダイエットに向いている
・食べるタイミングは朝、昼、間食で適量を心がける
栄養の特徴をよく知り、チーズのよさを最大限に活かしましょう。
それでは、当記事があなたの食生活のお役に立てば幸いです。
なお弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
・厚生労働省 e-ヘルスネット
・農林水産省 夜遅く食事をとるときは
・公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
・一般社団法人日本乳業協会チーズの中に生きた乳酸菌はどのくらいいるのですか? チーズにはどのような栄養があるのでしょうか?
・東京化学同人 久保田紀久枝・森光康次郎 「食品学」