たけのこの知られざる栄養成分~健康効果や食べ合わせについて解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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春に旬を迎えるたけのこは、独特の香りとシャキシャキした食感が特徴的。たけのこは体を作る上で欠かせないたんぱく質を含んでいるなど、栄養面でも魅力がある野菜です。
今回は栄養のプロである管理栄養士が、たけのこの意外な栄養についてその効果や他の食材との組み合わせをご紹介します。健康な毎日を過ごすためにたけのこを活用したい方は、ぜひ最後までご覧ください!
目次
たけのこの栄養素と効能
たけのこには様々な栄養が含まれていますが、その1つにたんぱく質があります。
たんぱく質というと肉や魚といった食材に多く含まれているので、野菜であるたけのこに含まれているのは意外ですよね。他にもカリウムや食物繊維に加えて、チロシンという聞きなじみのない栄養も含まれています。
では、それぞれどのような働きをするのか、詳しく解説いたしましょう。
ダイエットにも有用なたんぱく質
たんぱく質は糖質、脂質と並び三大栄養素と呼ばれています。その働きは筋肉や臓器の構成成分になるなど、私たちの体を作る上で重要な役割を持つ栄養素です。
また最近では、ダイエットのためにたんぱく質を積極的に摂る方も多くいらっしゃいます。
たんぱく質の代表格である肉や魚ほど多くはありませんが、生のたけのこ100gには3.6gのたんぱく質が含まれています。
さらに、たけのこのカロリーは100gあたり27kcalと非常に低いため、ダイエットしながらたんぱく質を補いたい方にオススメの食材です。
むくみ対策に役立つカリウム
煮物にすると美味しいたけのこには、野菜の中でもとくにカリウムが多く100gあたり520mgほど含まれています。
そこで同じく煮物の定番野菜である大根と比べてみましょう。
大根に含まれるカリウムは、皮をむいた生の状態で100g当たり230mgであるため、たけのこは大根より約2倍ものカリウムを含んでいるのです。
カリウムは体の余分な塩分を水分と一緒に排出してくれる働きがあります。むくみが気になる、血圧を下げたいという方には積極的に摂っていただきたい栄養素です。
参考記事:大根の栄養と効能〜部分別の成分や効果的な食べ方をわかりやすく解説〜
白い粉の正体はチロシン
チロシンはあまり聞きなれない名前ですが、たんぱく質の元となるアミノ酸の一種であり、私たちの体にとって有用な働きを持っています。
チロシンはドーパミンという神経伝達物質を合成する際に必要で、幸せを感じるなど、脳を活性化させる働きがあります。たけのこを切ると、中心部分に白い粉のようなものがあり、それがチロシンです。
見栄えがよくないから・・・と白い粉を取り除いて食べると、せっかくのチロシンを捨てていることになります。茹でても白く残っていることがありますが、ぜひそのまま食べてみてください。
便通を良くする食物繊維
食物繊維には水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維があります。そして、たけのこに含まれるのはほとんど不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は、水を含むと膨らみ便の量を増やすことで腸を刺激して便通をよくする働きがあります。ちなみに生のたけのこ100gには、2.8gもの食物繊維が含まれています。
これは、キャベツやレタスといった食物繊維が多いといわれている野菜と比べても2倍近い量です。
参考記事:キャベツに栄養がないってホント?~胃腸に効果的な栄養素の正体も簡単に解説~
参考記事:【保存版】レタスの栄養成分と効能〜種類別に徹底解説〜
水煮たけのこには栄養がない?生と成分に違いがあるのか
栄養面において、水煮のたけのこは生と比べてそれほど大きな違いはありません。
ただし、カリウムは生のたけのこに520mg含まれているのに対し、水煮は77mgと大幅に減っています。
これは、カリウムが水に溶けやすいため、水煮にした場合煮汁に流れ出ているからです。
たけのこの水煮を使いつつよりカリウムを多く摂りたい方は、生の野菜や果物などを使った料理も一緒に食べるとよいでしょう。
たけのこは消化に悪い?
たけのこは食物繊維が多く含まれるため、消化に悪いです。
なお食物繊維は、人間の体で消化できない栄養素です。
そのため食べた後は体外に排出しようとしますが、大量に摂ると排出に時間がかかり消化器官に負担をかけるため、消化が悪いといわれています。
食べすぎるとどうなるのか
たけのこを大量に食べるということは、食物繊維を多く摂ることになります。食物繊維を大量に摂ることで、消化器官に負担がかかり便秘になったり逆にお腹が緩くなったりする可能性があります。
食べすぎには注意して、適量を意識しましょう。
適量であれば便秘に効果的
食物繊維の摂りすぎには注意が必要ですが、適量であれば便秘解消に効果的です。現在、成人の方が摂っている食物繊維の平均値は18g前後ですが、理想は24g以上とされています。
食物繊維不足を防ぐために、目安としてまずは1日3~4gの食物繊維をプラスして食事に取り入れる工夫をしましょう。
たけのこの水煮はおおよそ1パックに150g入っており食物繊維は3.5gなので、1日1パック食事に取り入れるだけで目安の3~4gの食物繊維を補えます。
たけのこは春が旬ですが、水煮でしたら季節を問わず手に入りますよ。
たけのこには食べ合わせのよい・悪い食材があるって本当?
たけのこと食べ合わせがよいのは「カルシウムを多く含む食材」です。たけのこにはえぐみ(※)成分であるシュウ酸が含まれています。
(※)不快な苦い味を指す
シュウ酸は大量に摂ると尿路結石の原因となるため、溜まる前に排出する必要があります。そして、その時に必要なのがカルシウムです。シュウ酸はカルシウムと結びつくことで、シュウ酸カルシウムとなり便として排出できます。
たけのこのようにシュウ酸を多く含む食材を食べるときには、カルシウムを含む食材を一緒に食べるとよいでしょう。
たとえば、厚揚げにはカルシウムが多く含まれているので、厚揚げとたけのこを煮物にするとシュウ酸とカルシウムを同時に摂ることができますよ。
一方で、たけのこと食べ合わせの悪いはこれ!というものは特段ありません。
しいていえば、たけのこのように食物繊維を多く含む食品と組み合わせて大量に食べると、消化不良を引き起こす可能性があります。健康的な食事を心がけるのであれば、どんな食材でも「適量」を意識しましょう。
参考記事:厚揚げはカロリーが高いけど糖質は低い~ダイエットに活用できるのか詳しく解説~
まとめ
たけのこにはたんぱく質をはじめ、カリウムやチロシン、食物繊維など有用な栄養が含まれています。たんぱく質は筋肉を作り、カリウムはむくみの解消、食物繊維は便秘解消に役立ちます。
さらに、たけのこはカロリーが低いためダイエット中の食事で「あともう一品」欲しい時に取り入れるとよいでしょう。旬の時期以外でも、パック詰めされた水煮であればスーパーなどでかんたんに手に入りますよ。
ただし食物繊維が多いので、たくさん食べると食物繊維の摂りすぎで消化不良になる可能性があります。たけのこを食べる時には適量を心がけましょう。
それではたけのこを普段の食卓に取り入れて、毎日を健康に過ごしていただければと思います。
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参考文献
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 e-ヘルスネット
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
富山県農林水産総合技術センター食品研究所 とやまの農産物の抗酸化力評価(改訂)
J-STAGE たけのこ料理と京都 栄養学雑誌 食物繊維の消化吸収機能
SciencePortal 尿路結石のもとを分解菌に運ぶ分子、立体構造が明らかに 岡山大など