お酒をやめると体と心が変わる~禁酒の効果や具体的方法をご紹介~
当記事の執筆は、臨床心理士・公認心理師 石倉美希が担当しました。
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普段、どんなときにお酒を飲みますか?「毎日の晩酌が欠かせない」「仕事の付き合いが多い」など、お酒との付き合い方はライフスタイルと密接にかかわっています。
アルコールが健康に及ぼす影響は非常に大きいことが知られるようになり、近年お酒との付き合い方を見直す人が増えているようです。
今回は、お酒をやめるとどんな変化が起きるのかをまとめました。お酒をやめてみようかなと思ったときにすぐできる具体的な方法もご紹介します。ぜひ最後までお付き合いください。
目次
お酒をやめると何が変わるのか
お酒をやめると、主に体・心・生活に変化が起きるといわれています。
体に起きる変化
・脂肪の値が下がる
・血圧が下がる
・集中しやすくなる
・体重が減る
・飲んだ翌日の体調がよくなる(二日酔い、胃痛など)
・睡眠の質がよくなる
・むくみが改善する
・肌の調子がよくなる
アルコールの飲みすぎはさまざまな健康リスクを引き起こすことが知られています。
お酒をやめると、検査結果の数値が改善し、将来の病気の予防ができる他、日々の体の調子の良さにもつながります。
心に起きる変化
・お酒に対する考え方が変わる
・イライラや不安感が落ち着く
酔って周囲とトラブルになるリスクがなくなり、良好な関係を保てるメリットもあります。
また「お酒を飲まないとストレスは解消できない」といった飲酒に対する偏った考えを持っているのに気づく場合もあるかもしれません。
生活に起きる変化
・時間的余裕ができる
・生活リズムが整う
外食をしてお酒を飲むと、経済的負担は大きいものです。飲酒によって睡眠の質が低下すると、仕事など集中すべきものが捗らず、生産性に影響する可能性もあります。
趣味や余暇など、他のものにお金や時間がかけられると、体も心も満たされたウェルビーイングにもつながりますよ。
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3日間の禁酒でも効果はある
たった数日の禁酒でも、効果は確実にあるといわれています。お酒をやめたときの変化を期間別にまとめました。
3日後
お酒を3日やめると、睡眠の質が高まります。アルコールを摂取すると、脳が興奮状態となり睡眠をとっても脳が回復しにくくなってしまうのです。睡眠の質が改善すると、集中力の高まりを実感できるでしょう。
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2週間後
お酒を2週間やめると、肝臓の働きが改善します。肝臓はアルコールを分解する役割がありますが、連日飲酒して肝臓を酷使すると機能が低下する場合があるのです。禁酒によって、肝臓が正常な働きを取り戻せるでしょう。
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1か月後
お酒を1か月やめると、肝臓の脂肪が約15%減少します。肝臓でアルコールを分解する中でも、肝臓に脂肪細胞は溜まっていきます。肝臓に脂肪が溜まる脂肪肝の状態をそのままにしておくと、肝硬変のリスクも高まるのです。
さらに、1か月禁酒できた方はその後もアルコールの摂取量が減少するといわれています。
お酒との付き合い方を変えたいという方は、まずは1か月を目標にチャレンジしてみましょう。
お酒をやめる方法4選
お酒をやめるための工夫はたくさんあります。ここでは代表的な4つの方法をご紹介します。ご自身が無理なく取り入れられるものから、試してみてくださいね。
周りに禁酒宣言をする
「お酒は飲みません」と禁酒宣言をすることで、自分の禁酒に対する意識を高める効果があります。「一杯だけならいいかな」と誘惑に負けそうになったときも、周囲に宣言をしておくとストッパーとなってくれる場合もあるでしょう。
サポートしてくれる存在は大切ですね。一緒に禁煙にチャレンジする仲間を見つけるのもオススメです。
お酒以外のストレス解消法を持つ
「嫌なことがあったからお酒を飲んで気分を晴らそう」というのもストレス解消法の1つとして間違いではありません。しかし、お酒でしか気分転換できないというのは心身の健康にとってハイリスクです。ストレス対処法(コーピング)をできるだけ多く持つと、ストレスとうまく付き合えますよ。
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飲酒の誘惑に近づかない
禁酒を始めたら、再び飲みたくなる瞬間があるかもしれません。とくに以下のようなきっかけは再飲酒しやすいタイミングです。
・Angry(怒り)
・Lonely(孤独)
・Tired(疲れ)
頭文字を取って「HALT(ハルト)」といわれています。
HALTの状態になっているときに、買い置きのビールが目の前にあったらついつい手がでてしまうのも無理はないでしょう。
・スーパーのお酒コーナーに寄らない
・お酒のストックを家に置かない
というように、飲酒の誘惑をなるべく遠ざけておきましょう。
お酒に対する考え方を見直す
お酒との付き合い方がうまくいっていないときに陥りやすい考え方の例が以下の通りです。
・自分ならうまく調節して飲める
・お酒を飲むことで、嫌な気分が晴れる
・〇〇だから飲んでしまった
・どうせお酒はやめられない
・禁酒してもいいことはない
・いつでもお酒はやめられる
ご自身に当てはまるものはありましたか?
まずはこうした考えが心の片隅にないかどうか、振り返ることから始めてみましょう。
もし心の中に見つかったら「本当に、100%そうだと言い切れるか?(例外はないか?)」と問いかけてみると、いつもよりも冷静な気持ちでお酒と向き合えるはずです。
やめられないときは減酒から始めよう
「完全に禁酒するのは難しい」という方は減酒から始めましょう。お酒の量を減らすだけでも、健康に与える効果は十分にあります。
目標設定の仕方
お酒を減らすチャレンジを始める前に、自分にあった目標をまず設定してみましょう。
STEP1:普段の飲酒量を把握する
何をどれくらい飲んだかという飲酒の記録をつけてみましょう。メモに手書きでも、アプリにメモでも、ご自身が続けやすい方法がよいですよ。記録が溜まってくると、ご自身のお酒の飲み方が見えてきます。
STEP2:目標とする酒量を決める
厚生労働省が提示している適度な飲酒の量は1日平均純アルコールで約20gです。
体格や代謝の違いから、女性や65歳以上の高齢者は成人男性よりもさらに少ない量にするのが推奨されています。
お酒の種類 | ビール | 清酒 | ウイスキー・ブランデー | 焼酎(35度) | ワイン |
アルコール度数 | 5% | 15% | 43% | 35% | 12% |
純アルコール | 20g | 22g | 20g | 50g | 12g |
(参考文献 厚生労働省 アルコール)
現在の飲酒量が上記の量よりも大幅に多い場合は、いきなりこの量を目指すのはかえって危険です。(※)
まずは1杯減らしてみることから始めてみましょう。
(※)アルコール依存症の診断を受けている場合は、急に断酒すると離脱症状の危険があります。主治医と相談の上、治療を進めるようにしましょう。
減酒の工夫
飲酒量を減らしたいときの工夫をまとめました。お酒をやめる方法4選と合わせて、こちらもぜひ試してみてくださいね。
・飲むスピードをできるだけ遅くする
・1口飲んだらコップを必ずテーブルに置く
・飲むお酒を薄くする
・ノンアルコール飲料を飲む
・お酒を勧められたときに断る理由を用意しておく
(車の運転がある、翌朝に予定がある、仕事に戻る必要がある など)
お酒を控える意識も大切ですが、具体的な工夫をすると減酒の成功率もアップしますよ。
まとめ
お酒をやめると、体・心・生活によい変化がたくさん起こります。
・脂肪の値が下がる
・睡眠の質がよくなる
・友人や家族ともめなくなる
・お酒に対する考え方が変わる
・イライラや不安感が落ち着く
・お金が浮く
・時間的余裕ができる
・生活リズムが整う
3日間の禁酒でも、睡眠の質が改善するメリットが感じられます。
2週間、1か月と続けられると、その後のアルコール摂取量も少なくキープできる方が多いようです。
お酒をやめる方法4選をぜひ試してみてください。
・お酒以外のストレス解消法を持つ
・飲酒の誘惑に近づかない
・お酒に対する考え方を見直す
どうしても禁酒は難しいという人は、減酒から始めてみましょう。減酒だけでも健康によい影響は確実にありますよ。まずは飲酒量の把握と目標酒量の設定をするのがオススメです。
お酒の飲み方を少しだけ工夫し、減酒にチャレンジしてみませんか?
本記事がお酒との付き合い方を見直すきっかけになれば幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
広島逓信病院 (2020). 肝臓病新聞
厚生労働省 アルコール
厚生労働省 e-ヘルスネット 飲酒
厚生労働省 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン