イカは健康にいい栄養がたっぷり!~カロリーや食べすぎの注意点も解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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お刺身やフライなど、調理方法も多いイカ。
6~12月が旬のイカには、私たちの体に嬉しい栄養素がたくさん含まれています。
そこで今回は、イカの栄養と効能についてわかりやすくお伝えしていきます。
さらにイカの食べ過ぎによる注意点もご紹介しますので、最後までお付き合いください。
目次
イカの栄養成分と効能
イカには、私たちの体に嬉しい栄養素がたくさん含まれています。それではさっそく、効能と共に順に解説していきますね。
体のもとになるたんぱく質
イカには良質なたんぱく質が豊富なため、健康な体を維持するのに効率良い食品です。
たんぱく質は私たちの体を構成する、筋肉や臓器の素となる栄養素です。良質なたんぱく質とは、アミノ酸がバランスよく含まれているたんぱく質のことで、私たちの体内での利用されやすいうものを言います。
いかの他に、肉類・魚介類・牛乳・乳製品などの動物性食品の他に大豆製品も良質なたんぱく源です。
さらにたんぱく質は、体の筋肉や臓器などを作るだけでなく、酵素やホルモンなど体の機能も調整しているため、たんぱく質は私たちの体にとって重要な栄養素と言えるでしょう。
ホルモンの材料となるコレステロール
イカは、体の働きを調整するホルモンの原料となるコレステロールも豊富です。
コレステロールは、細胞膜(※)の主要な構成成分であり、私たちの生命維持において重要な物質です。
(※)細胞膜とは体内の細胞を包む膜のこと
しかしコレステロールを摂り過ぎると、動脈硬化を引き起こし心臓疾患や脳梗塞につながるため、血中コレステロール値が高い方は、摂り過ぎには注意が必要な栄養素です。
疲労回復に!タウリン
イカは疲労回復が期待できるタウリンが豊富です。
タウリンはたんぱく質が分解される際に出来るアミノ酸に似た物質で、血中コレステロールの低下や中性脂肪を少なくする効果の他に、疲労回復効果も期待できます。
またタウリンは水に溶けやすい性質があるため、スープに入れて汁ごと食べると栄養も余すことなく摂れるのでオススメです。
参考記事:イカの栄養と効能~種類別の栄養についても詳しく解説~
体に必要不可欠なプリン体
イカのうまみ成分はプリン体という物質です。
プリン体は、私たちの体においてDNAなどの遺伝物質や高エネルギー物質のもとになる核酸を構成します。体に悪いイメージがあるプリン体ですが、実は私たちの生命活動に必要不可欠な栄養素なのです。
プリン体を摂取すると、一般的には肝臓で代謝されて尿酸となり尿中に排泄されます。
ところが、尿酸を摂り過ぎると血中にたまり痛風発作の原因となるため、血中尿酸値が高い方は摂り過ぎに注意が必要な栄養素です。
イカのカロリーは高い?
イカのカロリーは100gあたり76kcalで、一般的には低カロリーな食材です。さらにイカに含まれる脂質は100gあたり0.8gと低く、イカは低カロリー・低脂質な食材であることがおわかりいただけると思います。
種類や調理によって栄養は違うのか
イカの栄養素を種類別に見てみましょう。
このように、ホタルイカは他のイカに比べてたんぱく質やコレステロールが少し低く脂質も高めなものの、全体的には種類別の栄養に差はないといって良いでしょう。
また、ボイルイカも茹でることで水分が少なくなるものの、生と比べて栄養素の違いはほとんどないと言えます。
イカは健康に良い食材なのか
低カロリー低脂質で、高たんぱくなイカは健康に良いといえます。
そしてイカは噛み応えもあるため、しっかり噛むことにもつながるのです。
なおしっかり噛むことは、満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防ぐ効果があるだけでなく、消化にも良い・味覚が豊かになるといったメリットがあります。
健康を意識している方には嬉しい食材と言えるでしょう。
食べ過ぎによる注意点
イカはプリン体が多いため、食べ過ぎには注意が必要な食材です。
なぜなら、プリン体は一般的には肝臓で代謝されて尿酸となり尿中に排泄されますが、尿酸の量が多くなり過ぎると血中にたまり痛風発作の原因となってしまうからです。
したがって、痛風の方は食事から摂るプリン体を1日400mgに制限されています。
なおスルメイカのプリン体含有量は100gあたり186.8mgもあり、たこのプリン体含有量の137.3mgよりも多く含まれています。
とくに痛風や血中尿酸値が高い方は、イカの食べ過ぎには注意した方が良いでしょう。
さらにイカは噛み応えもあり消化もしにくく胃腸に負担もかかるため、食べ過ぎは体に良くない食材と言えます。
妊婦は食べても良いの?
妊娠中は、加熱調理したイカを食べると良いでしょう。
というのも、イカは赤ちゃんの発達に必要なたんぱく質や、疲労回復に役立つタウリンが豊富だからです。
しかし、妊娠中は抵抗力が落ちており食中毒も起こしやすいため、なるべくお刺身は控えましょう。
さらに調理法も、油を大量に使うフライではなく茹でたり焼くことで、カロリーを大幅に下げれるためオススメです。
まとめ
以上、イカは低カロリー・低脂質な食材で、良質のたんぱく質やコレステロール・タウリンなどが豊富に含まれていることがわかりましたね。
そしてタウリンには、血中コレステロールや中性脂肪を下げる効果だけでなく疲労回復効果も期待できます。
しかしイカにはプリン体が多く、食べ過ぎると痛風につながる可能性があるほか、噛み応えもあり胃腸に負担がかかりやすい点からも、食べ過ぎには注意したほうが良い食材と言えます。
またイカには妊娠中に必要な栄養素が豊富な一方で、抵抗力が落ちているため生より加熱調理したイカを食べると良いでしょう。
今回の記事により、イカを日々の生活にうまく取り入れていただけると嬉しいです。
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参考文献
日本食品標準成分表 食品データベース
カロリーSlism
北海道ぎょれん 北海道のさかな
魚食普及推進センター イカ
厚生労働省 e-ヘルスネット
国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 食事療法について
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 良質なたんぱく質とは?
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
総説食品に含まれるプリン体について -血清尿酸値に影響を与える食品と食品中のプリン体含量- ,金子 希代子(2007),痛風と核酸代謝,vol31,no.2,p.119-131