大豆の栄養価は高い!~子どもにも大人にも嬉しい成分が豊富~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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味噌、醤油、豆腐などの原料である大豆。
大豆は弥生時代から栽培されている、和食には欠かすことのできない食材です。
普段から大豆のある食生活を送っている私たち日本人ですが、その小さな粒に秘められたすばらしい効果をご存知でしょうか?
そこで今回は、大豆の栄養成分と効能について詳しく解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
大豆の栄養成分と効能
大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど栄養価が高い食品です。さっそくどのような栄養素が含まれ、どういった働きをするのか解説していきます。
脂質代謝に関与する大豆たんぱく質
大豆は肉や魚と同じく、五大栄養素(※)の分類でたんぱく質食品に該当するほど、たんぱく質が豊富です。
(※)五大栄養素:食品に含まれている主な栄養素のことで、炭水化物、脂質、たんぱく質、無機質、ビタミンの5つを表します。
特に大豆のたんぱく質には脂質代謝を改善する作用があるので、体脂肪の蓄積を抑制したり、血中のコレステロールや中性脂肪を低下させる働きがあります。
お腹の調子を整える食物繊維
食物繊維は「水に溶けやすい水溶性食物繊維」と「水に溶けにくい不溶性食物繊維」があり、大豆に含まれる食物繊維の多くは不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は水分を吸収して便のカサを増やすので、便秘の予防に役立ちます。
ちなみに、食物繊維を多く含む食材の代表としてごぼうがありますが、大豆はごぼうより多くの食物繊維を含んでいます。(食物繊維総量:大豆8.5g、ごぼう5.7g ※100gあたり)
骨や歯を丈夫にするカルシウム
大豆はカルシウムの供給源としても有用です。カルシウムは骨や歯の主要な構成成分であるだけでなく、筋肉の収縮や血液凝固などにも関与しており生命を維持する上で重要な栄養素です。
しかしカルシウムは不足しやすい栄養素で、2019年の国民健康・栄養調査でも男女ともに目標を充たしていないことが明らかになりました。
大豆はサラダにも煮物にも炊き込みご飯にもアレンジしやすいので、カルシウムを補うためにも積極的に食べるとよいですね。
骨粗しょう症予防に役立つ大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)と構造が似ています。そのため、大豆イソフラボンはエストロゲンに似た働きを示し、更年期障害の軽減、骨粗しょう症の予防に有効です。
大豆イソフラボンは大豆を原料とする食品のほとんどに含まれていますが、100g当たりの含有量では大豆や揚げ大豆、きな粉に多く含まれます。
大豆が原料の食品
味噌、醤油、豆腐など、大豆から作られる食品はたくさんありますが、今回は大豆を粉状にした「きな粉」と、大豆を発芽させた「大豆もやし」についてご紹介します。
きな粉
炒った大豆を粉にして作るきな粉も、たんぱく質食品の1つです。乾燥大豆や水煮大豆に比べて水分量が少ないため、少量でも栄養を摂ることができます。
きな粉は風味も豊かですので、ヨーグルトに混ぜるなど気軽に取り入れてみてくださいね。
参考記事:きな粉の栄養成分と効能~健康効果だけでなく注意点も解説~
大豆もやし
大豆もやしは、大豆を暗いところで発芽させたものです。スーパーに並んでいるもやしは、大豆もやしの他に緑豆もやしがありますが、大豆もやしは緑豆もやしに比べて、たんぱく質を多く含んでいることが特徴です。
大豆もやしは緑豆もやしほどではないですが安価で、さっと火を通すだけで食べられるので、あと一品欲しい時などうまく活用すると良いでしょう。
参考記事:【実はすごい!】もやしの栄養 〜効能や効果的な食べ方をポイント解説〜
黄大豆・黒大豆・青大豆の違い
大豆は種皮の色によって「黄大豆」「黒大豆」「青大豆」に分けられ、普段よく目にする大豆は黄大豆です。黄大豆は水煮や煎り大豆をはじめ、豆腐や味噌など多くの大豆の加工食品の原料です。
黒大豆は名前の通り種皮が黒色で、ポリフェノールを多く含んでいます。
黒大豆ポリフェノールは抗酸化力が強く、感染症やがんなどの発症を抑制する働きを持ちます。ちなみに、お節料理に欠かすことのできない黒豆は黒大豆を煮たものです。
一方で青大豆は淡黄緑色~濃緑色の種皮の大豆で、きな粉として使われることが多く、例えばうぐいす餅に付いている緑色のきな粉は青大豆から作られます。
子どもが大豆を食べるメリットはあるか
大豆は子どもの成長に欠かせない栄養素を補ううえで、オススメの食材といえます。
成長期の子どもは筋肉や骨量が大幅に増加するので、それに伴い筋肉のもととなるたんぱく質や、骨のもととなるカルシウムが必要です。
既にお伝えしているように、大豆にはたんぱく質もカルシウムも多く含まれますので、子どもも積極的に摂り入れると良いでしょう。
ただし、噛み砕く力や飲み込む力が十分でない5歳以下の子どもには、窒息などの恐れがあるため硬い大豆は食べさせないよう注意してください。
食べ過ぎるとどうなるのか
大豆は食べ過ぎると、食物繊維の作用で下痢や腹痛を起こす恐れがあります。また大豆イソフラボンの影響で、ホルモンバランスを崩す恐れがあるため良くないとの報告もあります。
しかし食べすぎによる身体の悪影響は「特定保健用食品として、大豆イソフラボンを長期・継続的に上乗せして摂取する場合」の評価です。
一般的な分量で大豆や大豆製品を食べる分は、過度に心配する必要はないでしょう。
今話題の酢大豆とは
食後血糖値の上昇を緩やかにする作用のあるお酢と、脂質代謝を改善するたんぱく質や食物繊維を含む大豆を合わせた「酢大豆」は、ダイエットに適していると人気を集めています。
作り置きができるので間食としてそのまま食べたり、サラダや酢の物に加えてアレンジしたり、いつもの食事にプラスするのも良いですね。
参考記事:お酢にダイエット効果があるってホント?~飲み方やタイミングも解説~
【番外編】大豆の栄養ランキング
大豆には、節分でまく「煎り大豆」、大豆を未成熟な状態で収穫した「枝豆」、大豆を発酵させた「納豆」とお馴染みの3種があります。
そこで、これらの大豆製品3種類の特長をランキング形式でご紹介します。
筋肉や骨を丈夫にするには煎り大豆!
1位:煎り大豆、2位:納豆、3位:枝豆
筋肉や骨のもとになるのは、たんぱく質やカルシウムで、これらは煎り大豆に多く含まれます。
ビタミン補給には枝豆!
1位:枝豆、2位:煎り大豆、3位:納豆
枝豆にはビタミンB1が多く含まれます。
ビタミンB1には糖質をエネルギーに変える働きがあるので、体を良く動かす方も枝豆を選ぶと良いでしょう。
カルシウムを効率よく活用するには納豆!
1位:納豆、2位:煎り大豆、枝豆
カルシウムを骨に沈着させる作用のあるビタミンKは、納豆に非常に多く含まれます。
ちなみにビタミンKは血液凝固にも関与しています。
まとめ
以上、大豆の栄養について解説しました。大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど栄養価が高い食品で、注目すべき栄養素は以下の通りです。
・食物繊維・・・便秘の予防
・カルシウム・・・骨や歯の主要な構成成分
・大豆イソフラボン・・・骨粗鬆症の予防
このように大豆には、子どもにとっても大人にとっても嬉しい栄養素が含まれていますね。それでは当記事が参考となり、毎日の食事に大豆をプラスしていただけたら嬉しいです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
農林水産省 食材を知ろう 大豆編
消費者庁 Vol.580 硬い豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせないで!
農研機構 Ⅲ 大豆とその調理加工が脂質代謝改善作用に 及ぼす影響
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
公益財団法人日本豆類協会 大豆
公益財団法人 農芸化学会 黒大豆ポリフェノールの機能性に関する研究プロシアニジン類の生体調節機能とその作用機構
食酢の食後血糖上昇抑制効果