エビの栄養と効果~タンパク質たっぷりなエビの魅力を解説します~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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プリっとした弾力が魅力的な「エビ」。
エビフライやエビピラフ、エビチリなど、エビは洋食から中華料理まで登場し親しまれていますね。
そんなエビには、私たちの健康な体づくりに必要な栄養が含まれています。低脂質・高タンパク質な点はダイエットにピッタリの食材です!
そこで今回は、エビの栄養や効果について詳しく解説していきます。
あわせて多くの方がが気になる「殻は食べられるのか」「コレステロールは多いのか」といった疑問にも答えていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
エビの栄養成分と効果効能
エビはタンパク質が豊富で、その他にはビタミンB12、銅、セレン、タウリンなども多いのが特徴です。
それでは個別に栄養を見ていきましょう。
体を形成するタンパク質
エビは体を作るために欠かせないタンパク質が豊富に含まれています。一般的にタンパク質が多いとされる肉類と比べてみても、引けを取らない含有量です。
筋肉や臓器、酵素、ホルモンの構成成分になったり、物質運搬や情報伝達をしたりと、タンパク質は体内で大活躍します。
しかし、タンパク質が働くためにはビタミンB群が必要なので、ビタミンB群をセットで食べることが望ましいです。エビにはタンパク質の分解と合成に不可欠なビタミンB12が豊富なので、タンパク質を効率的に摂れる食材だと言えますね。
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生命維持に欠かせないビタミンB12
ビタミンB12は先ほどお伝えしたタンパク質の代謝以外にも、赤血球の生成に役立ちます。そのため、疲労や体力低下をまねく貧血の一種である巨赤芽球性貧血の予防に効果的です。
また、DNAの合成や神経の機能維持に働くなど、生命維持に欠かせない栄養素です。ビタミンB12は加熱しても壊れにくいので、エビを加熱調理しても損失せずにおいしく摂取することができます。
健康効果の高いタウリン
タウリンはタンパク質が分解される過程でできるアミノ酸に似た物質です。体内では、心臓や筋肉、脳など体内に広く存在しています。
またタウリンにはコレステロールを減らす、心臓や肝臓の機能を高める、視力の回復、インスリン(血糖値を下げるホルモン)分泌促進、高血圧の予防など、多くの健康効果があると言われています。
タウリンは体内での合成もできますが、食品からの摂取が必要なので、タウリンが豊富なエビを食べて補給しましょう。
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酵素反応をサポートする銅
銅は様々な酵素反応を支えているミネラルです。活性酵素の分解やコラーゲンの生成、エネルギー産生といった酵素の材料となり、代謝をサポートしています。
また、銅は体内の酸素を運ぶヘモグロビンの生成に不可欠な栄養素であり貧血の予防にも関わっています。
エビを食べることは身体の機能維持に繋がるでしょう。
細胞の老化を防ぐセレン
セレンは、酵素やタンパク質の生成に関わり、抗酸化反応において重要な役割を担っています。
セレンが生成に関わる酵素は、活性酸素(※)を分解する働きがあり細胞の老化を防ぐ効果も。
(※)活性酸素は微量であれば私たちの体に有用ですが、増えすぎると老化や免疫機能の低下につながります。
また、酵素の成分として甲状腺ホルモンの代謝や活性化、ビタミンCの再生にも関与しており健康に重要な役割を持ちます。
エビには栄養がないって本当?
エビは淡白な味なので、栄養がないように感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら先ほどお伝えしたように、エビにはたんぱく質をはじめ、ビタミンやミネラルなどの栄養が含まれます。
さらに、エビは低脂質・高タンパク質なので、ダイエット中にも活用しやすい食材です。
ダイエット中はカロリーを気にするあまり、栄養素が不足しやすくなります。エビのようなたんぱく質やビタミン、ミネラルが豊富な食材で、ダイエット中も健康に役立つ栄養成分を摂取すると良いでしょう。
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子供に嬉しい健康効果も
エビには含まれるタンパク質は、子供の成長に欠かせない栄養素であるといえます。なぜなら、丈夫な骨や筋肉を作るためにタンパク質が使われるからです。さらにタンパク質を摂取すると、風邪に対する抵抗力やけがを治す力がつきます。
またエビに含まれるタンパク質は良質ですので、私たちの体において効率よく利用されます。つまり、エビは子供も積極的に食べたい食材なのです。
エビの殻にも栄養がある?
実はエビの殻には生活習慣病の予防や、健康効果が期待できる栄養成分があり、主には以下の成分が含まれています。
・キチン:不溶性食物繊維で、免疫力のアップやコレステロールの上昇を防ぐ効果
・カルシウム:丈夫な骨や歯をつくるミネラルで、骨粗しょう症予防や足のつりを抑える働き
そしてこれらの栄養成分を逃さないためには、エビを殻ごと煮詰めてだしをとったり焼いて香ばしく食べたりすると良いでしょう。
エビの品種による栄養価の違いはあるのか
エビの種類は豊富で、その数は約3000種と言われています。
その中で日本で流通しているのは20種ほどとされており、バナメイエビ、ブラックタイガー、甘エビなどを中心に親しまれています。
ここでは3種を比較してみましょう。
たんぱく質 | ビタミンB12 | 銅 | セレン | カルシウム | |
バナマエビ | 19.6g | 1.2μg | 0.33mg | 27μg | 68mg |
ブラックタイガー | 18.4g | 0.9μg | 0.39mg | 26μg | 67mg |
甘エビ | 19.8g | 2.4μg | 0.44mg | 33μg | 50mg |
※生100gあたり
表から、バナメイエビとブラックタイガーはカルシウムが豊富で、甘エビはビタミンB12や銅、セレンが多いことがわかります。
いずれの品種でもエビは高タンパク質でビタミン・ミネラルがたっぷり含まれている食材です。
調理法による栄養面の変化
生やゆで、焼き、干しなど、エビの調理方法は様々です。
まずゆでた場合は、水に溶ける性質を持つ栄養素が流出してしまいます。エビに豊富なビタミンB12は水溶性なので、ゆでる時はゆで汁ごと食べられるスープにすると栄養を逃さず食べられます。
次に焼いた場合は、大きな変化はありません。しかし、よく焼くことで殻ごと食べられるようになるので、殻に豊富なアスタキサンチン・キチン・カルシウムまで摂れる点が嬉しいですね。
最後に干した場合は、水分量が減るので100gあたりの栄養素が凝縮されます。また丸ごと食べられるので、頭や尻尾まで無駄なくおいしく栄養を摂取できます。
調理による特性を知り、えびの栄養を逃さない方法を選ぶと良いでしょう。
エビの食べ過ぎによるデメリットはあるのか
エビを食べ過ぎると、健康問題が生じる可能性があります。
それでは注意点を見ていきましょう。
コレステロールが多いって本当?
結論から申し上げますと、エビはコレステロールの多い食材です。コレステロールと聞くと食べない方が良いイメージがありますよね。
しかし、コレステロールは脳神経や筋肉の働き、細胞膜やホルモンの生成に不可欠な物質なので、極端に避けるのは間違いです。
また、食事から摂取されたコレステロール量がそのまま血液中のコレステロール値に反映されるわけではありません。
とはいえ脂質異常症の重症化を予防するためにも、摂取量を200mg/日未満に抑えることが望ましいとされています。
血中コレステロール値が高い人は、エビなどコレステロールを多く含む食材の食べる頻度を減らしたり、緑黄色野菜や海藻などの副菜と一緒に食べると良いでしょう。
緑黄色野菜や海藻に豊富な食物繊維が、コレステロールを吸着して便とともに体外に排出してくれます。
さらに、緑黄色野菜に豊富なβ-カロテンによって、コレステロールの酸化を防ぐことができます。酸化されたコレステロールは動脈硬化の原因になりますので、抗酸化作用を持つ栄養素を摂ることが大切です。
甲殻類アレルギーの心配も
エビは食物アレルギーの原因食物です。
エビやカニなどの甲殻類が原因となる甲殻類アレルギーは、乳幼児期よりも小学生以降に発症することが多く、大人になってからなることもあります。
乳幼児期の子供に食べさせる場合は、離乳食完了期以降からよく加熱したものを細かく刻み少量ずつ与え始めましょう。
なお初めて食べる際は体調が良いのを確認し、何かあった際にすぐ受診できるよう、医療機関が開いている平日のお昼がよいでしょう。
アナフィラキシー(※)を起こす可能性もあるので、口の周りや皮膚の薄い首や耳周り、お腹などに蕁麻疹が出た場合は、食べるのを止めて早急に受診しましょう。
(※)アレルギー反応の一種で、重篤な全身性の過敏反応。アレルギーの原因物質との接触から数十秒〜数十分以内に発症する。まれに食後2時間以上たってからおこる場合もある。
体調に異変を感じたらエビを食べるのを止めるなど、注意しながら食事を楽しみましょう。
まとめ
以上、エビの栄養と効果について解説しました。
エビの主成分はタンパク質で、その他にはビタミンB12、銅、セレン、タウリンが含まれていることがわかりましたね。そしてエビの殻にも、アスタキサンチン、キチン、カルシウムといった栄養成分があり、生活習慣病の予防・改善が期待できます。
一方エビはコレステロールが多いので、コレステロール値が高い人は緑黄色野菜や海藻などの副菜と食べることがオススメです。
そして大人になってからも甲殻類アレルギーを発症する場合もありますので、注意してくださいね。
それでは当記事が参考になり、日々の食事にエビを加えていただけたらと思います。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
文部科学省 食品成分データベース
農林水産省 脂質による健康影響
厚生労働省 e-ヘルスネット 食物アレルギー・アナフィラキシー
厚生労働省eJIM ビタミンB12 | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 一般の方へ
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報【セレン解説】
公益社団法人千葉県栄養士会 血液中のコレステロール値が高い人の食事
食物アレルギー研究会 食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2022
飯田薫子 寺本あい、「一生役立つ きちんとわかる栄養学」