しめじは栄養豊富!~効能や効果的な食べ方を管理栄養士が解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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世界的に見てもきのこが好きな日本人。それもそのはず、日本人ときのこは縄文時代から関わりがあるのです。
さて、クセが無いため食べやすい「しめじ」は、きのこ人気ランキングでしいたけに次いで2位に位置しています。
そこで今回は、しめじの栄養素と効能について解説します。後半に簡単に作れるレシピをご紹介しますので最後までお付き合いください。
目次
しめじの栄養成分と効果効能
さっそく、しめじの中でもスーパーでよく見かける「ぶなしめじ」をベースに、栄養成分と効果効能について解説します。
エネルギー作りのサポート役「ビタミンB群」
ビタミンB群は、エネルギーの代謝に関わる栄養素です。エネルギーはたんぱく質・脂質・糖質から作り出される際、ビタミンB群の働きが必要になります。
またビタミンB群は全部で8種類ありますが、単体ではなくお互いに関わりあって働いているので、バランスよく摂取する必要があります。
そのため、ビタミンB群が欠けるとエネルギーが作れなくなるので疲れやすい体に。しめじにはビタミンB群がバランス良く含まれているため、供給源としてはもってこいの食材と言えますね。
カルシウムの吸収をアップさせる「ビタミンD」
ビタミンDは、カルシウムの吸収率をアップさせる働きがある栄養素です。
骨といえばカルシウムですが、カルシウムの摂取量が十分でもビタミンDが不足すると骨がもろくなりがちです。そのまま放置すると、子どもの場合はくる病(※)大人は骨軟化症、高齢者は骨粗しょう症の原因となります。
(※)くる病とは、ビタミンDが不足することにより、骨が正常に作られなくなる病気
さて、厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、多くの世代でビタミンDの摂取量が不足していることが明らかになりました。
ビタミンDは、紫外線に当たることでも作り出される栄養素ですが、天気や外に出ている時間などにも左右されるため、必要量を食事から摂取するのが理想です。しめじをはじめとしたきのこ類には、ビタミンDが豊富に含まれています。
丈夫な骨作りのためにも、魚や乳製品としめじを組み合わせて食べると良いですよ。
高血圧を予防する「カリウム」
カリウムは腎臓でナトリウム(塩分)の吸収を抑制し、尿中への排泄を促すため、血圧を下げる効果のある栄養素です。
カリウムは水に溶けやすい性質があるため、「煮る」「茹でる」という調理法では栄養素が流れ出てしまうことに。そのため、しめじを汁物の具として使うときは、汁は残さずに飲み切ると無駄なく摂取できますよ。
また「炒める」「焼く」など、カリウムが減りにくい調理法もオススメです。
第六の栄養素「食物繊維」
食物繊維は消化されないためエネルギー源にはなりませんが、人間の体にとって重要な働きがあるため「第六の栄養素」と言われている成分です。
なお、食物繊維は水に溶けない不溶性と、水に溶けやすい水溶性に分かれます。しめじにはどちらの食物繊維も含まれていますが、とくに不溶性が豊富です。
不溶性食物繊維には、水分を吸収して便のカサを増やすことで腸を刺激し、排便を促す働きがあります。有害物質を吸着して便と一緒に体外へ排出することで、腸内をきれいにしてくれるのです。
一方で水溶性食物繊維は、水に溶けてゼリー状になることで栄養素の吸収速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える働きがあります。
食物繊維は種類によって働きが違うので、どちらか一方でなくバランスよく摂ることが大切です。そしてしめじはクセのない味わいで、どんな味付けの料理にも合う食材です。不足しがちな食物繊維を補うためにも、いろいろな料理に活用していきましょう。
カットしめじにも栄養はあるか
カットしめじとは、菌床部を切り落とし1本1本ほぐされた状態のもので、普通のしめじと栄養価は同等です。
余談ですが、カットしめじに使われるしめじは専用に作られており、株のまま売られているものよりも軸が長くなるように育てられているんですよ。
しめじの栄養素は加熱や冷凍するとどうなるの?
まず、しめじだけに関わらずきのこは加熱調理が基本です。加熱方法にもよりますが、「茹でる」場合は、水溶性の栄養素が流れ出てしまいます。
参考までにカリウムは、生のものは370mg(可食部100gあたり)含まれていたものが、茹でたことにより280mgまで減ってしまいます。
ただし、スープなどの汁を残さずに飲むと、栄養素を無駄にすることなく摂取できますよ。
つづいて、冷凍保存するときのポイントをお伝えします。
洗わない
水洗いすると水溶性の栄養素や食感、風味がおちるため、洗わずに冷凍しましょう。
菌床部を切り落として小房に分ける
すぐに使える状態で冷凍保存すると素早く使えて便利ですよ。
密閉袋に入れる
袋の中の空気を抜いてから冷凍することで、劣化を防げます。
解凍せず凍ったまま使う
自然解凍してから使うと、溶け出した水分と一緒に栄養素が出てしまいます。また水っぽい仕上がりになるので、凍ったまま使いましょう。
「ほんしめじ」と「ぶなしめじ」の違いは?
わたしたちがスーパーでよく見かけるしめじは、正式な名前は「ぶなしめじ」という栽培物です。一方で「ほんしめじ」はぶなしめじよりも大きく、カサはしいたけに似ていて、柄はとっくりのような形をしています。
その違いは見た目だけではなく、味や香りも強いのが特徴です。
「ほんしめじ」は天然物と栽培物がありますが、天然物が市場に出回るのは稀でとても高価です。ちなみに、「香りまつたけ、味しめじ」のしめじは、「ほんしめじ」を指します。
「白しめじ」に含まれる栄養
白しめじは、ホクト株式会社がぶなしめじを品種改良して作った、白いぶなしめじです(登録商標名:ブナピー)。
白しめじには、普通のぶなしめじと同等の栄養素が含まれています。白いためか栄養がないと思われがちですが、しっかりとありますのでご安心を。
さて、その違いは色だけではなく、食感も普通のぶなしめじとは異なります。普通のぶなしめじの軸はシャキシャキと歯ごたえがありますが、白しめじはプルンとした食感が楽しめます。
白しめじのオススメ調理法はマリネに入れること。白い色が映えて美しい仕上がりになりますよ。
ぶなしめじにオルニチンが含まれているって本当?
オルニチンはアミノ酸の1つで、シジミに多く含まれている成分として有名です。
近年の研究によると、ぶなしめじに含まれるオルニチンの量は、シジミ以上ということが明らかになりました。
さらに、オルニチンは肝機能を改善する栄養素と言われてきましたが、他にもコラーゲンの合成促進や免疫力の向上など、さまざまな働きがあることが分かってきました。
まだ研究中の成分ですので、今後、さらに嬉しい作用が発表されるかもしれないですね。
オルニチンは冷凍しても壊れないのか
残念ながら現時点では、冷凍しめじのオルニチン量に言及した著明な研究結果は見当たりません。
しかし、しじみに含まれるオルニチンは冷凍すると増えることが分かっているため、今後の発表に期待しましょう。
しめじは食べ過ぎても大丈夫?
きのこ類は食物繊維が豊富なため、腸内環境を整える食品としてまさに適役。それを裏付けるように近年では、きのこを使った「菌活(きんかつ)」が流行っています。
とはいえ、食べ過ぎは良くありません。
繰り返しになりますが、しめじは不溶性食物繊維が豊富なため適量だとお通じの改善に繋がります。
しかし、腸の動きが低下している時に不溶性食物繊維を摂りすぎると、腸内の水分バランスが崩れて便がさらに硬く排出しにくい状態になり、便秘が悪化する原因に。
つまり、1回の食事で大量に食べるのではなく、毎日コツコツと食べ続けることがポイントです。
参考までに、厚生労働省が生活習慣病予防の観点から策定した「健康日本21(第二次)」によると、健康的な生活を維持するための目標として「野菜類は1日350g以上食べましょう」とされています。
野菜類には野菜・きのこ・豆・芋類が含まれており、350gは小鉢6皿分が目安です。
毎日小鉢1皿程度は、しめじを使った料理があると良いですね。
しめじを使ったお手軽レシピ
【しめじとしらすのオープンオムレツ】
しめじ 80g
たまご 2個
しらす 大さじ2
にんにく 1かけ
小ねぎ 適量
オリーブオイル 小さじ2
【作り方】
①スキレットに油と潰したニンニクを入れて香りが出てくるまで待つ
②香りがしてきたらニンニクを取り出してしめじを炒める
③②に溶いた卵を加えて、表面が固まるまで大きくかき混ぜる
④③にしらすと小ねぎを散らして出来上がり
関連記事:しらすに含まれる体にいい栄養成分~ダイエット効果についても解説~
まとめ
しめじには、エネルギー代謝に必要なビタミンB群、骨や歯を強くするビタミンD、高血圧を予防するカリウム、お通じを改善する食物繊維が豊富ということが分かりましたね。
ただし、不溶性食物繊維は1度に摂りすぎると便秘が悪化するので、しめじは適量をコツコツ食べ続けることが大切です。
それでは、当記事が参考になり日々の食事のお役に立てれば幸いです。
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参考文献
e-ヘルスネット 野菜、食べてますか?
ホクト株式会社 きのこ総合研究所から
J-STAGE きのこは冷凍に適しているか