レモンの栄養成分と効能~健康効果や食べ方のコツについて詳しく解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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ビタミンCの代表選手、レモン。
レモンのさわやかな香りと酸味は、料理を引き立ててくれますよね。
そのようなレモンにはビタミンCだけでなく、カロテノイドやクエン酸といった健康に嬉しい栄養素も含まれているのです。
そこで今回は、レモンの栄養素とその働きについてご紹介します。
捨ててしまいがちなレモンの皮の栄養についても解説いたしますので、どうぞ最後までお付き合いください。
目次
レモンの栄養と健康効果
レモンはビタミンCが豊富で、さらにβ‐クリプトキサンチンやクエン酸が含まれており疲労回復に効果的です。
それぞれの栄養素がどのような働きをしているのか、見ていきましょう。
ビタミンCの抗酸化作用で美肌に!
レモンの代表的な栄養素いえばビタミンCですね。
ビタミンCには抗酸化作用があり、メラニン色素の生成を抑えて日焼け予防に効果的です。また、体内の酸化を防ぎ老化や生活習慣病予防も期待できます。
さらに、ビタミンCは皮膚や骨を構成する重要な成分コラーゲンの合成にも関わる栄養素で、美肌作りには欠かせません。
このようにビタミンCを摂ることで、肌の調子も整えるとともに体を健康な状態に保つことができるのです。
ちなみに、レモン100g中(大きめ1個)にはビタミンCが100mg含まれています。成人男性・女性ともに1日にビタミンC100mgの摂取が推奨されていますので、大きめのレモン1個で補うことが可能です。
実際にレモンを丸ごと1個食べるのは難しいですが、レモン汁を水に入れて飲んだり料理の仕上げにかけたりして毎日とり続けるのが理想的ですね。
β‐クリプトキサンチンが免疫力にアプローチ
レモンやみかんなどに含まれるβ-クリプトキサンチンは、体内でビタミンAとして働く黄色い色素成分です。
ビタミンAには皮膚や粘膜を正常に保ち、のど・鼻・消化器の粘膜を守り、細菌の感染を防ぐ働きがあります。風邪の予防にレモンがよいといわれるのは、β‐クリプトキサンチンのおかげといえるでしょう。
加えてビタミンAには、活性酸素(※)の発生を抑えたりとり除いてくれる抗酸化力もあります。
※活性酸素は、通常の酸素よりも酸化力の強い酸素で、体内でさまざまな物質と反応し酸化させ、細胞に悪影響を与えたり老化を促す
さきほどビタミンCのなかでもお伝えした通り、抗酸化作用は動脈硬化の予防や老化に対しても効果が期待できるのです。
抗酸化力のある成分が豊富なレモンは、老化防止のために積極的に食べたい食品ですね。
参考記事:みかんの栄養と効能効果〜肌&身体に良い成分・皮や筋についても紹介〜
クエン酸で疲労回復
レモンの特徴である強い酸味はクエン酸によるもので、食べたものをエネルギーに作り変える工程の要となっている成分です。
クエン酸は、疲労物質である乳酸を分解して新陳代謝を促し疲労回復を早めてくれることから、血流改善や美肌作用といった効能があります。
さらに体を動かすエネルギーの材料となる糖類と、レモンを一緒に食べるとより効果がアップしますよ。
また、クエン酸には鉄分の吸収率を上げる効果があります。とくに、ほうれん草など野菜類に含まれる鉄分は吸収されにくいため、レモンと一緒に食べることで効率よく鉄分を吸収できるのです。
現代人は鉄分の摂取が不十分な食生活と言われているため、鉄分を意識する際はレモンのクエン酸と組み合わせるとよいでしょう。
参考記事:上手に活用したいスポーツドリンク~糖質量とその比較までポイント解説~
ほうれん草の栄養成分が健康を後押し~効果的な食べ方やレシピもご紹介~
皮の香りにはリラックス効果がある
捨ててしまいがちなレモンの皮ですが、ビタミンCをはじめ多くの有効成分が含まれています。中でも豊富なのが「リモネン」です。リモネンはさわやかな香りの香気成分で、リラックス効果があると言われています。
レモンの皮を刻んだりすりおろすると、効率的に栄養摂取することができますよ。
皮を食べるときは塩を適量手に取り全体をもむようにこすって水洗いすると、よごれをしっかりと落すことができます。
また、皮を食べる際に気になるのは農薬ですよね。実際、外国産のレモンは農薬や防カビ剤などを使用しているものもあります。
スーパーでは農薬使用の有無について提示している場合もあるため、購入する前に確認するとよいでしょう。
濃縮還元レモン果汁は栄養が少ないのか
すぐにレモン汁を使いたいときに便利な濃縮還元レモン果汁ですが、じつは生のレモンよりも栄養価は劣ります。
成分自体はほとんど同じですが、濃縮還元の過程で量が減ってしまう栄養素もあるからです。
濃縮還元レモン果汁をレモン1個分に換算してみましょう。
※レモン1個分=濃縮還元レモン果汁30mgとして計算
上記の表より、生のレモンに比べて濃縮還元レモン果汁はビタミンC、クエン酸、カリウムが減っていることがわかりますね。
これは、製造過程で栄養成分が失われるからで、特にビタミンCは壊れやすいため大幅に減少してしまうのです。
手軽さをとるなら濃縮還元果汁、栄養をとるなら生のレモン果汁を選ぶように、メリットとデメリットを理解したうえで使い分けるのがよいです。
レモンを食べ過ぎは体に悪いの?
レモンを食べ過ぎると、ビタミンCの過剰摂取による下痢や吐き気、お腹の痛みといった症状が出ることがあります。
しかし、これはビタミンCの上限量(※)である1日2000mgを超えて摂取した際にあらわれる症状であり、生のレモンに換算すると約20個分に相当します。
(※)上限量とは過剰摂取による健康被害が出ないように定められたもの
1日にレモン20個を食べることは稀であるため、通常の食事をするうえではレモンの食べ過ぎによる健康への影響を気にする必要はありません。
レモンの栄養を効果的にとる食べ方
レモンを皮ごと使うと、レモンの栄養を丸ごと摂ることができます。
先ほども申し上げたように、レモンの皮にもリモネンやビタミンCといった有効成分が含まれているからです。
すりおろして炭酸水に入れたり、刻んで料理の香りづけに使ってみましょう。
参考記事:ズバリ、レモン水ダイエットは痩せるのか?~管理栄養士が解説します~
レモンの保存方法
レモンを保存するときは、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れましょう。
使い切れなかった分は、しぼった果汁を製氷皿に入れて冷凍庫へ。
なによりも、レモンに豊富なビタミンCは光や空気によって酸化されやすいので、なるべく早く使い切るようにしましょう。
まとめ
以上、レモンに含まれる栄養素についてお伝えしました。
レモンには、ビタミンCをはじめ、β-クリプトキサンチンやクエン酸が豊富に含まれており、抗酸化作用や疲労回復効果が期待的とわかりましたね。
また、レモンの皮にもリモネンと呼ばれる香気成分があり、リラックスしたいときに役立つためぜひ皮も活用しましょう。
それでは当記事を参考に、レモンを日々の食生活に取り入れてみてくださいね。
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参考文献
食品分析センター、愛知淑徳大学教授 三宅義明、レモン類に含まれる健康機能性成分について
文部科学省、食品成分データベース
厚生労働省 e-ヘルスネット カロテノイド
ポッカサッポロ フード&ビバレッジ株式会社 ポッカレモン100(300ml)
厚生労働省eJIM ビタミンC | サプリメント・ビタミン・ミネラル |
飯田薫子 寺本あい、西東社「一生役立つ きちんとわかる栄養学」p90, 114-115, 143, 269
日本糖尿病学会、「糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版」p44
三輪 正幸、高橋書店、「からだにおいしいフルーツの便利帳」