オレンジの栄養や効果が体に良い理由~ジュースについても解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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みずみずしいオレンジは、健康的なイメージがありますよね。
そのイメージ通り、オレンジには体に良い栄養素が含まれます。
とはいえ、ビタミンCが多いイメージはあるけど、ほかにどんな栄養があるの?という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、オレンジの栄養と効果についてお伝えいたします。ネーブルとバレンシアの違いや、オレンジジュースの栄養についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
オレンジの栄養成分と効果効能
オレンジにはビタミンC・カリウム・食物繊維・糖質・ビタミンB1・B2が豊富です。
それぞれの効果効能について、みていきましょう。
ビタミンCで美肌に
オレンジに含まれるビタミンCは、肌の材料となるコラーゲンの生成を促進します。
そのためビタミンCを十分に摂ると、肌を健康に保つ働きを助けられるのです。ビタミンCは熱に弱いので、生で食べられる果物はビタミンCの摂取にピッタリといえます。
高血圧予防にカリウム
カリウムを十分に摂取すると、ナトリウム(塩分)の過剰摂取による高血圧の予防・改善効果が期待できます。
カリウムやナトリウムは、腎臓で尿に排出されます。このとき体内のカリウムが多いと、一緒にナトリウムも排出されるのです。
そのため、カリウムを摂るとナトリウムの排出を促すことにつながります。
参考記事:ミネラル豊富な食材をご紹介~不足しがちな栄養素を中心に解説します~
ペクチンは水溶性食物繊維
ペクチンは、オレンジなど柑橘系の果物の皮に多く含まれる水溶性食物繊維です。酸や糖と一緒に加熱するとゼリー状になる働きが、ジャム作りに活かされています。マーマレードジャムに皮が入っているのは、ペクチンの働きを有効活用するためです。
なお食物繊維には、水に溶ける水溶性と水に溶けにくい不溶性があります。
水溶性食物繊維は水を吸ってふくらむため、満腹感を得られるほか食後の血糖値の急上昇を防ぎます。不溶性食物繊維の働きは便の量を増やし、腸の運動を活発にすることで便秘解消につなげることです。
参考記事:食物繊維を多く含む食べ物をランキング形式でご紹介~ダイエット中にオススメな理由も解説~
体の大切なエネルギー源である糖質
糖質は、私たちの体を動かすエネルギー源です。
オレンジには、糖質にはブドウ糖や果糖、ショ糖といった糖類が含まれます。
ブドウ糖は血糖値を上げ、脳のエネルギー源となります。脳がエネルギー源として利用できるのは、ブドウ糖だけです。そのため、ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源、といわれるのです。
ただし、果糖やショ糖も体内でブドウ糖に分解されると、エネルギー源として利用できますよ。
参考記事:炭水化物と糖質は違うもの?〜食物繊維との関係や糖質の計算方法も~
エネルギー作りを助けるビタミンB1・B2
ビタミンB1は糖質から、B2は糖質や脂質からエネルギーをつくる際に助けとなる働きをもちます。
そのため運動量や筋肉が増えてエネルギー消費量が多くなると、ビタミンB1・B2の必要量も増えるのです。
ビタミンB1・B2はオレンジに限らず、さまざまな食品に含まれます。いろいろな食材を摂るように意識していれば、自然と必要量を摂取できるでしょう。
ネーブルとバレンシアの栄養面での違い
ネーブルオレンジとバレンシアオレンジの栄養成分に、大きな違いはありません。あえて比べるのであれば、ビタミンC・カリウム・食物繊維・糖質・ビタミンB2はネーブルの方が、やや多いです。ビタミンB1は、バレンシアに多く含まれます。
【ネーブルとオレンジの比較】
ネーブル | バレンシア | |
ビタミンC | 60mg | 40mg |
カリウム | 180mg | 140mg |
食物繊維 | 1.0g | 0.8g |
糖質 | 8.3g | 7.1g |
ビタミンB1 | 0.07mg | 0.10mg |
ビタミンB2 | 0.04mg | 0.03mg |
*100gあたり
ちなみにネーブルはヘソがあり、バレンシアはヘソのない品種です。ヘソとは、ネーブルオレンジのおしり部分にある出べそのような部分のことをいいます。ネーブルは日本で栽培されていますが、バレンシアは気候の関係であまり栽培されないため輸入品がほとんどです。
オレンジとみかんを比べると
ネーブルオレンジとみかんを比べると、ビタミンCとβ-カロテンの量に大きな違いがあります。
なんと、オレンジはみかんの2倍弱ビタミンCが含まれ、みかんはオレンジの13倍のβ-カロテンが含まれるのです。
【オレンジとみかんの比較】
オレンジ(ネーブル) | みかん | |
ビタミンC | 60mg | 32mg |
カリウム | 180mg | 150mg |
食物繊維 | 1.0g | 1.0g |
糖質 | 8.3g | 9.2g |
ビタミンB1 | 0.07mg | 0.10mg |
ビタミンB2 | 0.04mg | 0.03mg |
β-カロテン | 130μg | 1000μg |
*100gあたり
なおビタミンCとβ-カロテンは、強い抗酸化作用をもつ抗酸化物質です。動脈硬化の進行を遅らせ、心筋梗塞などの命にかかわる疾患を予防する効果が期待できます。
参考記事:みかんの栄養と効能効果〜肌&身体に良い成分・皮や筋についても紹介〜
毎日は食べ過ぎなのか
オレンジは適量であれば、毎日食べても食べ過ぎにはなりません。
果物はビタミンやミネラルの補給ができるため、1日200g程度食べることが推奨されています。オレンジは1個あたり約200gなので、1日1個程度食べられますね。
参考記事:【医師監修】糖尿病に果物は良い悪い?血糖値をあげにくいフルーツの食べ方を紹介
間食として食べるのはオススメ
オレンジは健康に良い栄養成分が含まれるものの、糖質が多いのも特徴の1つです。そこで、間食としてお菓子の代わりに食べるのがオススメです。
オレンジとお菓子は同じ糖質量であっても、摂れる栄養成分が違います。同じ糖質量のオレンジとお菓子を比べると、下の表のようになります。
【オレンジとお菓子の栄養成分の比較】
オレンジ(ネーブル) | 板チョコ | クッキー | せんべい | |
量 | 1/2個 | 1/4枚 | 4枚 | 3/4枚 |
脂質 | 0.1g | 4.8g | 3.0g | 0.1g |
ビタミンC | 60mg | 0mg | 0mg | 0mg |
カリウム | 180mg | 61.6mg | 12.1mg | 11.7mg |
食物繊維 | 1.0g | 0.6g | 0.2g | 0.1g |
ビタミンB1 | 0.07mg | 0.03mg | 0.01mg | 0.01mg |
ビタミンB2 | 0.04mg | 0.06mg | 0.01mg | 0mg |
β-カロテン | 130μg | 5μg | 20μg | 0μg |
*糖質8.3gあたり
このように同じ糖質量であっても、摂れるビタミンやミネラルの量が異なるのです。間食にお菓子を食べるのが悪いわけではありませんが、オレンジのような果物も取り入れると健康に良い栄養成分が摂れるので、ぜひお試しください。
参考記事:ダイエット中に間食を選ぶポイントとは?〜ランキングやレシピも大公開~
オレンジジュースにも栄養はあるの?
100%のオレンジジュースには、生のオレンジと同じような栄養が含まれます。
ただし100gあたりで比べると、オレンジジュースの方が糖質は多く、食物繊維が少ないです。また濃縮還元や果汁成分の少ないジュースであれば、さらに糖質が多くなり、食物繊維は減ります。
参考記事:野菜ジュースは糖尿病に良い飲み物?〜おすすめの糖質オフ商品もまとめて紹介〜
ジュースは嗜好品
ジュースはあくまで嗜好品なので、生の果物の代わりにはなりません。
なぜならジュースは果物と比べて、血糖値の急上昇する可能性が高いからです。ジュースは果物と比べて食物繊維が少ないです。また噛まずに飲める点も、血糖値を上げやすくします。
血糖の急上昇は糖尿病になりやすくなるだけでなく、体重増加や動脈硬化を進行させる可能性も。
時間のない朝食時、果物を食べる代わりにジュースを飲む方もいらっしゃるのでは?しかし、これからはジュースは果物代わりでなく、おやつだと意識して飲むことをオススメいたします。
参考記事:血糖値を上げない食べ方について管理栄養士が解説~順番や糖質量も~
まとめ
以上、オレンジはビタミンC・カリウム・食物繊維・糖質・ビタミンB1・B2が豊富で、健康に良い栄養素が含まれるとわかりました。
ネーブルとバレンシアは、栄養面で大きな違いはないです。あえて比較するのであれば、ビタミンC・カリウム・食物繊維・糖質・ビタミンB2はネーブルの方がやや多く、ビタミンB1はバレンシアに多いといえます。
また100%オレンジジュースは、生のオレンジと同じような栄養成分が含まれます。ただしジュースは血糖値を急上昇させやすく、果物の代わりにはなりません。あくまで嗜好品として、飲みましょうね。
それでは当記事を参考に、オレンジの栄養を取り入れて健康な生活にお役立ていただけると嬉しいです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や体重、運動や食事の記録がカンタンにできます。日々の血糖コントロールにてぜひ活用してみてくださいね。
【参考文献】
・厚生労働省 e-ヘルスネット
・文部科学省 食品成分データベース
・実教出版 オールガイド食品成分表2023
・東京法令出版株式会社 新食品成分表FOODS2023