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マインドフルネスの効果とは?~初心者でも始めやすいやり方をご紹介~

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マインドフルネスの効果とは?~初心者でも始めやすいやり方をご紹介~

当記事の執筆は、臨床心理士・公認心理師  石倉美希が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

マインドフルネスという言葉を聞いたことがありますか?

最近、企業の研修などで取り上げられることもありますが、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。

実はマインドフルネスは日常生活に比較的簡単に取り入れやすく、心身を豊かにしてくれる効果があります。

初めてマインドフルネスに触れる方でもわかりやすくご紹介していきますので、どうぞ最後までお付き合いください。

マインドフルネスとは心を「今、この瞬間の体験」に向けた状態

マインドフルネスとは心を「今、この瞬間の体験」に向けた状態

マインドフルネスとは、「今自分が体験していることをそのまま受け入れている状態」を指します。

集中すべき作業を前に

「そういえばあっちの仕事はどうだったかな」
「風呂場のシャンプーがなくなりそうだったな」

と頭の中にたくさん雑念が浮び、手につかない経験はありませんか?

この状態は「今この瞬間の体験」に意識が向いていないため「マインドレス(心ここにあらず)」の状態です。

はたと目の前のことに意識が戻る感覚は「マインドフル」な状態(マインドフルネス)です。

「今、この瞬間の体験」に意識を向けるマインドフルネスな状態であると、雑念から距離を置き、不安や心配ごとにとらわれずに過ごせるため心理的にも豊かな状態になります。

原点は仏教のめい想法

マインドフルネスのルーツは仏教のめい想法であり、現在のマインドフルネスを実践するための代表的な方法もめい想です。(特定の宗教は関係していません。)

1979年にジョン・カバット・ジン博士がマサチューセッツ大学医学部にてめい想やヨガをベースに、マインドフルネスストレス低減療法というプログラムとして確立しました。

当初のプログラム対象者は、慢性的な痛みを抱えた人であり、痛みに対するストレスの低減に効果が認められています。

その後も、さまざまな身体疾患や精神疾患に応用して研究され、マインドフルネスの概念を取り入れた治療は現在も発展し続けています。

マインドフルネスが注目されているのはなぜ?

マインドフルネスが注目されているのはなぜ?

マインドフルネスはアメリカの大手企業が社員研修プログラムとして取り入れたのをきっかけに、大きく注目を集めました。

その取り組みが紹介されると、各企業が社員研修に取り入れ始め、マインドフルネスの概念が日本でも浸透しつつあります。

マインドフルネスの効果

マインドフルネスの効果はさまざまな分野で研究されていますが、主な効果は以下の通りです。

ストレスの軽減
マインドフルネスは元々リラックスすることが目的ではありませんが、結果として心が落ち着き、自己を客観的に見つめるのにも役立ちます。

脳の機能の活性化
マインドフルネスの実践方法の中には、自分の注意をいろいろなところに向ける練習があります。
2011年にはハーバード大学のラザール博士らがマインドフルネスのプログラムによって記憶力を司る「海馬」の容積が増えたという研究結果も発表しています。

集中力が高まる
めい想は「今、この瞬間」に対して意識を向けるため、集中力が高まります。
マインドフルネスを続けていくと、仕事のパフォーマンスの向上にもつながるといわれています。

糖尿病とマインドフルネスの関係

近年、糖尿病に伴うストレスの軽減を目的として、マインドフルネスを用いた心理療法の効果に関する研究が進んでいます。

ある研究では、糖尿病患者がマインドフルネスめい想を取り入れた8週間のプログラムに参加したところ、糖尿病に関連する苦痛の低減が認められたという結果がでています。特に不安な気持ちを和らげる効果が高いようです。

また、マインドフルネスを用いた一部の心理療法は、血糖値の指標であるHbA1cの改善に役立つという研究もあります。

マインドフルネスが糖尿病の根本的な治療につながるわけではありませんが、長期的なケアが必要な糖尿病の方にとって精神を安定させるのに役立ちますね。

マインドフルネスの効果はどれくらいで出る?

個人差はありますが、2か月程続けていくことで効果を感じられる方が多いようです。

最初はうまくいかず雑念が次々と浮かんでしまうと思います。しかし、続けると自転車を乗りこなすように、いろいろなことを意識せずに取り入れられるようになるでしょう。

初心者でも始めやすいマインドフルネスのやり方

マインドフルネスを実践する主な方法はめい想ですが、そのやり方にもいくつか種類があります。

今回は、めい想が初めての方でも取り組みやすい2つのやり方をご紹介します。

呼吸のめい想

呼吸のめい想

呼吸に意識を向ける、マインドフルネスめい想の基本です。

①背筋を伸ばして座る
目は軽く閉じるか、空ける場合は薄目で斜め前を見る。

②ゆっくり息を吸う
お腹や胸がふくらむ様子を感じながら、心の中で「ふくらみ、ふくらみ」と実況する。呼吸はコントロールせず、自然なままに任せる。

③息を吐く
お腹や胸がちぢむのを感じながら、心の中で「ちぢみ、ちぢみ」と実況する。

 

頭の中に雑念が浮かんできた時は「雑念、雑念、戻ります」と唱え、また呼吸に意識を向けましょう。

歩くめい想

歩くことに意識を向けためい想です。基本は呼吸のめい想と同じなので、ゆっくり時間が取れないという方は通勤中のすきま時間でチャレンジしてみましょう。

①両足を地面に付ける
床や地面についている足の裏に注意を向ける。

②足を踏み出す
足が着地する感覚を味わう。

③歩く一連の動作について実況する
慣れてきたら、かかとを上げる、足が地面から離れる、足を持ち上げる、と歩く動作を実況する。

 

雑念が浮かんできた時は、呼吸のめい想と同じように、無理に消そうとせずに受け入れ、また足の感覚に意識を向けましょう。

マインドフルネスめい想をする時の注意点

マインドフルネスめい想によって気分が悪くなってしまう方もまれにいます。

また、以下に該当する方は、マインドフルネスめい想が適さない場合もあります。実施する前に主治医に相談しましょう。

・精神疾患の治療中の方
・PTSDのある方

まとめ

以上、マインドフルネスとその効果・やり方についてお伝えしました。

では、今回お伝えしたことをまとめます。

・マインドフルネスは「今、この瞬間の体験」に意識を向けること
・雑念が浮かんできてもそのまま受け入れるのが重要
・マインドフルネスを取り入れると、ストレスの緩和、脳の機能の活性化、集中力の向上につながる
・糖尿病にまつわる不安を和らげるのにも効果的
・日常に簡単に取り入れられる、呼吸のめい想、歩くめい想がある

 

今までマインドフルネスは「難しそう」「よくわからない」と感じていた方が、少しでも身近に感じてもらえたら嬉しいです。生活にマインドフルネスを取り入れ、心身を豊かにしていきましょう。

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【参考文献】
Chade-Meng Tan (2016). Search Inside Yourself 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法 英治出版
Hölzel et al. (2011). Mindfulness practice leads to increases in regional brain gray matter density Psychiatry Res. 191(1). 36-43.
Jenkinson et al. (2022).The effectiveness of cognitive behavioural therapy and third‐wave cognitive behavioural interventions on diabetes‐related distress: A systematic review and meta‐analysis Diabet Med. 39(11). e14948.
齋藤 他(2018). 糖尿病患者に対するマインドフルネスに基づく心理療法の効果-系統的レビューとメタアナリシス- 行動 医学研究. 34(1). 22-32.

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