ラム肉の栄養で健康的にダイエット~効能を活かしたヘルシーレシピも公開~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください
ラム肉はヘルシーでダイエットによい、という話を聞いたことのある方は多いですよね。
でも、ラム肉がダイエットに向いている理由はなんとなくしかわからない方も多いはず。
そこで今回は、ラム肉がダイエットによい理由を栄養面から詳しくお伝えいたします。ヘルシーで匂いの気になりにくいラム肉レシピも載せますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ラム肉の栄養と効能
ラム肉には、健康な体づくりに効果的な栄養素が詰まっています。
体の材料となるたんぱく質
ラム肉に豊富なたんぱく質は私たちの体の筋肉や肌、血液、骨などの材料です。
そして、ラム肉のたんぱく質は良質といわれています。というのも、ラム肉のたんぱく質は必須アミノ酸がバランスよく含まれるからです。
そもそもたんぱく質は、何種類ものアミノ酸を組み合わせて作られています。その中には私たちが体内で作れない、もしくは作れる量の少ないアミノ酸が9種類あります。この9種類のアミノ酸を必須アミノ酸と呼ぶのです。
ラム肉は必須アミノ酸がそれぞれ体に必要な量含まれているので、筋肉などを作る際に効率よく利用できます。
参考記事:五大栄養素の働きとは?管理栄養士がわかりやすく解説~主な役割も紹介~
適量を摂りたい脂質
脂質はエネルギー源で、生命活動や生理機能の維持に関わる物質の材料です。
とくに脂質はエネルギー源として効率がよく、少量でも多くのエネルギーを摂取できます。そのため摂りすぎに注意は必要ですが、極端に避ける必要はありません。あくまで適量を心がけましょう。
なお、ラム肉の脂質は融点(※)が高いので人間の体温では溶けにくく吸収されにくい、という噂があります。
(※)肉に含まれる脂質が溶け始める温度
たしかに肉の融点は、鶏肉→豚肉→牛肉→羊肉の順で高くなります。ただし、融点が高いから中性脂肪として吸収されにくい、といった研究結果は今のところありません。
融点は私たちが食事の際に感じる美味しさに関わるので、ラム肉は熱々のまま食べるとよさそうですね。
参考記事:五大栄養素の働きとは?管理栄養士がわかりやすく解説~主な役割も紹介~
エネルギーづくりをサポートするビタミンB1・B2
ビタミンB1・B2は共にエネルギー作りにかかわる栄養素です。
ビタミンB1は糖質を、ビタミンB2は糖質や脂質がエネルギーに変わる手助けをします。
そのため、ご飯やパンなどの糖質をよく食べる方は、ビタミンB1が不足しないように注意が必要といわれています。
また、エネルギー消費が増えるとビタミンB1やB2が不足しやすくなるので、ラム肉などを食べて補給すると疲労回復にいいですね。
体脂肪の増加を抑えるL‐カルニチン
L-カルニチンはエネルギー代謝に関わるビタミン様物質です。
ビタミン様物質とは、私たちの体内でビタミンと似たような働きをする物質です。ただし体内で合成できるので、食品からの摂取が不足しても問題ない点はビタミンと異なります。
L-カルニチンはエネルギーを効率的に利用し、体脂肪の増加を抑える働きが期待されています。
ラム肉がダイエットに効果的な理由
ラム肉はたんぱく質とL-カルニチンが豊富なため、ダイエットに効果的といえます。
たんぱく質は筋肉の材料です。筋肉は私たちの体の基礎代謝を増やすので、痩せやすい体づくりを助けます。
またくり返しになりますが、L-カルニチンは体脂肪の増加を抑制する働きが期待されています。
ある健康な成人を対象とした研究によると、継続的にL-カルニチンを摂取した場合、体の脂肪や皮下脂肪が低下したそうです。成人女性がL-カルニチンを継続摂取し運動すると、脂肪分解速度の上昇がみられたことも。
L-カルニチンの効果は研究段階であるため断言できませんが、ラム肉がダイエットに向いている理由の1つといえそうですね。
参考記事:効果的なダイエット方法とは〜続けられる食事・ルールなどカンタン解説〜
脂質が多いから太るって本当?
たしかにラム肉の脂質は多いですが、必ず太るとは言い切れません。なぜなら脂質の多い食品を食べても、摂取量が適量であれば太らないからです。
そもそも私たちが太るのは、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ったときです。
私たちにとってエネルギー源となる栄養素は、炭水化物・たんぱく質・脂質の3つがあります。そして脂質は、炭水化物やたんぱく質と比較すると2倍以上のエネルギーをもっています。摂取エネルギーが多いと太る可能性は高くなるので、脂質が多い食品を食べると太る、といわれるのです。
つまり、脂質の豊富なラム肉を必要以上にたくさん食べれば、太る可能性があります。しかし、適量であればダイエット中でもラム肉を避ける必要はないでしょう。
参考記事:ダイエットを続けるコツは目標設定にあり!無理せず結果を出すには?
鶏むね肉と比較するとどうか
カロリーや脂質、たんぱく質の面からみると、ダイエット中にはラム肉よりも鶏むね肉がオススメです。
というのも、鶏むね肉(皮なし)100gあたりのカロリーは105kcal、脂質は1.9gと、肉類の中ではカロリー・脂質ともにかなり低いからです。また、たんぱく質も23.3gと多い上に、ラム肉と同じ良質なたんぱく質が含まれます。
下の表をみると、ラム肉は鶏むね肉よりもカロリー・脂質ともに高く、たんぱく質はやや少ないとわかります。
*100gあたり
とはいえ、ラム肉は体脂肪の増加を抑える働きの期待されているL-カルニチンが豊富です。くり返しになりますが、適量であればダイエット中でも安心して食べられます。
さらに、ラム肉は鶏むね肉と比べて4~7倍の鉄分を含みます(部位による)。
ダイエット中は食べる量を減らすため貧血になる方も多いでしょう。普段は鶏むね肉を食べている方も、貧血気味だと感じたときはラム肉を取り入れてみてはいかがでしょうか?
参考記事:筋トレ民に大人気!鶏むね肉の栄養と効能~アンチエイジングにも言及~
ラム肉を食べるメリット
ラム肉を食べると、良質なたんぱく質やL-カルニチン、ビタミンB1・B2、鉄分などの栄養素を摂れる点がメリットです。
また、牛肉のサーロインステーキに比べるとラムステーキはヘルシーなので、カロリーが気になる方にもオススメできます。
参考記事:ステーキのカロリーは高い?~ダイエット向きの部位や栄養成分についても解説~
デメリットは?
ラム肉のデメリットは、独特の匂いです。
実はラム肉の独特の匂いは、グラス臭といって草を主に食べている動物の肉に共通する香りです。たとえば牛肉であっても、牧草を主に食べて育った牛の肉であれば独特の匂いがします。
なお、この独特の匂いは脂から香るので、ラム肉の匂いが気になる方は脂を取り除くか、脂を落としながら調理するとよいでしょう。
糖尿病だと食べない方がよいのか
ラム肉の糖質はゼロに近いので、糖尿病の方も食べて大丈夫です。
ただし、ラム肉のカロリーや脂質は多いため、肥満防止の観点から食べすぎないよう適量を心がけてくださいね。
参考記事:糖尿病に悪化させる&良い食べ物4選~管理栄養士が厳選~
ラム肉を使ったヘルシーレシピを管理栄養士が考案
ラム肉は脂質が多いため、一般的な食品の中でカロリーが高めです。
そこで今回はできるだけ脂を落としつつ、美味しいラム肉のレシピをお伝えします。なお、脂を除くことで、ラム肉の独特な匂いが苦手な方にも食べやすくなるのでぜひお試しください。
【脂質をカット♪ラムステーキ】
・ラム肉 1枚
・塩 小さじ1
・こしょう 少々
・おろしにんにく 小さじ1
・スライスにんにく 1かけ
・油 第
(付け合わせ)
・じゃがいも 1個
・パプリカ 1個
・エリンギ 2本
【作り方】
①ラム肉は塩こしょうとおろしにんにくをすり込んでおく
②付け合わせの野菜は洗って一口大に切り、電子レンジ600wでじゃがいもは6分、パプリカは1分、エリンギは2分加熱する
③フライパンに油とスライスにんにくを入れ、弱火でにんにくが色付くまで加熱する
④にんにくを取り出して、中火にしたらラム肉を入れる
⑤ラム肉を両面とも香ばしく焼き、出てくる余分な脂はその都度キッチンペーパーで取り除く
⑥ふたを閉め、6分ほど余熱で中まで火を通したらできあがり
【両方とも羊肉】ラムとマトンの違い
生後1年未満の羊肉をラムといい、生後1年以上のものをマトンと呼びます。
一般的にラム肉の方が独特の匂いは少なく、肉質がやわらかいといわれています。羊肉の匂いが草由来だと考えると、草を食べる期間の長いマトンの方が匂いの強い点も納得ですね。
まとめ
以上、ラム肉の栄養についてダイエットの観点からお伝えしました。
ラム肉は基礎代謝を高める筋肉の材料であるたんぱく質や、体脂肪の増加を抑える働きの期待されているL-カルニチンが豊富なためダイエットによいといわれています。
気になる脂質と匂いを抑えたレシピも、ぜひお試しくださいね。
それでは当記事を参考に、あなたの健康な生活にラム肉をプラスしていただけるとうれしいです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
【参考文献】
文部科学省 食品成分データベース
J-STAGE L-カルニチン投与の臨床的効果
公益財団法人日本食肉消費総合センター 用語集:融点(脂肪の融点)
羊齧協会 新羊社通信