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皮膚のかゆみは脂質異常症と関係あるの?~原因や対処法まで解説~

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皮膚のかゆみは脂質異常症と関係あるの?~原因や対処法まで解説~

当記事の執筆は、管理栄養士  松原知香が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

いくらかいても治まらない「皮膚のかゆみ」。

実はその原因、脂質異常症にあるかもしれません。

自覚症状がないといわれる脂質異常症ですが、薬や食事内容によっては皮膚のかゆみを引き起こすこともあります。

そこで今回は、脂質異常症と皮膚のかゆみの関係について、さまざまな角度から解説します。

かゆみを和らげる対処法もご紹介しますので、ぜひご覧ください。

 

脂質異常症でかゆみが出る原因とは

まず脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪などが異常な値を示している状態を指します。この段階では痛みやかゆみといった自覚症状がないので、健康診断でいわれるまで気づかなかったという方も多いです。

診断を受けて治療を進めると、皮膚のかゆみが出る方もいらっしゃいますが、どのようなことが原因になるのでしょうか。

治療薬の副作用

治療薬の副作用

脂質異常症の治療では、コレステロールを下げる作用の薬が処方されますが、副作用として「かゆみ」が報告されている薬もあります。

過剰な脂質制限

脂質異常症では、薬のほかに食習慣改善も治療の一環として行われます。

しかし、行き過ぎた食事制限はかえって体の負担となり、かゆみなどの症状が現れる場合もあるのです。

脂質異常症の食習慣改善でとくに重要なのは、

・適正体重にするためのカロリー制限
・コレステロールを増加させる飽和脂肪酸の制限

です。

この2つを行う上で脂質の摂取量を減らす場合、脂質を必要以上に制限してしまうと、皮脂の分泌量が減り肌が乾燥してかゆみをともなうのです。

肝臓の機能低下

肝臓の機能低下

さまざまな栄養の代謝に大きく関わっている肝臓ですが、脂質異常症と診断されかゆみが気になる場合には、肝臓の機能が低下しているかもしれません。

肝臓で代謝されるものの中に「ビリルビン(※)」があります。

通常であれば代謝され便とともに体の外へ排出されるのですが、脂質異常症と同じような原因(カロリーオーバーな食事や運動不足)で発症する脂肪肝などにより、肝臓の機能が低下してしまうと体にビリルビンが溜まり、皮膚の末梢神経を刺激してかゆみを引き起こすのです。

(※)ビリルビンとは赤血球に含まれる色素のこと

脂質代謝にかかわるビタミンの不足

脂質の代謝にはビタミンB2という栄養素が関わっており、不足すると皮膚炎などの症状がみられかゆみをともなう場合があります。

糖尿病を併発していることが原因かも

糖尿病を併発していることが原因かも

日本人の8人に1人が発症していると言われている「糖尿病」。

血糖値のコントロール不良によって引き起こされるため、脂質異常症とは無縁のように感じますが、実はこの2つの疾患は併発するケースが多いのです。

糖尿病と脂質異常症を併発した場合の皮膚のかゆみは

・高血糖状態による脱水
・自律神経障害により汗をかきにくく乾燥する

以上の2つが原因として考えられます。

参考記事:皮膚の乾燥やかゆみは糖尿病が原因?

辛いかゆみを和らげる対処法

ムズムズと気になるかゆみですが、何が原因かによって対処法も異なります。

皮膚を保湿する

皮膚を保湿する

皮膚が乾燥することで引き起こされるかゆみであれば、まずは保湿をしましょう。

入浴後の清潔な肌に保湿剤をたっぷりと塗るのがポイントです。このとき、刷り込むように強くこするようなことはせず、優しく触ると皮膚への負担を軽減できますよ。

脂質の摂取量と質を見直す

脂質異常症では脂質の制限を行うと申し上げましたが、適正な量と良質な油を意識して摂るとよいでしょう。

まず、脂質の量は摂取カロリーの20~25%が望ましいです。

例えば1日の摂取カロリーが2000kcalだった場合は、400~500kcalを脂質から摂取します。重量に置き換えると約45~55gなので、極端に脂質を制限しすぎる必要はありません。

続いて脂質の「質」ですが、必須脂肪酸を多く含む食品を積極的に摂るとよいです。

必須脂肪酸とは、私たちの体で作り出せず食べものから摂る必要がある脂肪酸で、コレステロールを減らす働きが報告されています。代表的なのは、青魚のDHA・EPAやアボカド、エゴマ油のαーリノレン酸です。

一方で肉の油に多く含まれる飽和脂肪酸は、コレステロールを増やす働きがあるといわれているため、脂質異常症の場合は控えたほうがよいでしょう。

【注意】治療薬やサプリメントは医師に相談を

【注意】治療薬やサプリメントは医師に相談を

治療薬の副作用によるかゆみが原因であれば、かかりつけの医師に相談して薬の種類変更を検討する場合もあります。

ただし、薬が原因だからといって自己判断で服薬をやめてはいけません

医師が必要と判断して処方されているので、薬の変更、中断は必ず医師へ相談しましょう。

また、手軽に栄養素を補えるサプリメントも薬との相性があるので、こちらも一度医師に相談してから検討しましょう。

まとめ

脂質異常症出かゆみが気になる場合には

・治療薬の副作用
・過剰な脂質制限
・肝機能の低下
・脂質代謝にかかわるビタミン不足

以上が原因として考えられます。

それぞれ原因にあった対処法をご紹介しましたが、薬やサプリメントに関しては一度かかりつけ医に相談したうえで取り入れましょう。

また、当記事では脂質異常症に関する内容の記事を多数掲載しております。皮膚のかゆみ以外にお困りのことがあれば、ぜひ一度ご参考ください。

それでは、当記事が皆さんの健康にお役立ちできれば幸いです。

【参考文献】
ビタミンB 2 解説
脂質異常症治療薬
脂質異常症治療薬(高脂血症のお薬)
旭労災病院ニュース 糖尿病のかゆみについて
脂質異常症(実践・応用) | e-ヘルスネット(厚生労働省)
脂質異常症治療の食事レシピ | 健康長寿ネット
ビタミンB2の働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット
コロナ禍で乾燥が加速! 秋・冬の肌トラブルとの向き合い方 | 済生会

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