糖尿病の人がはちみつを食べても大丈夫?~血糖値への影響を解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 白石香代子が担当しました。
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「はちみつは栄養がありそうだから、毎日食べているよ」
古来より薬用としても使われているはちみつ。自然でマイルドな甘さが好きで、パンに塗ったり紅茶に入れたりする方も多いと思います。
とはいえはちみつも甘味料の一種です。果たして糖尿病に良いのでしょうか。
その答えですが、実は良いとは言い切れない食材なのです。
そこで今回は、はちみつと血糖値の関係に着目することにしました。砂糖との比較や適量も紹介いたしますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
はちみつが血糖値に与える影響
はちみつは血糖値を上げやすいと考えられます。というのも、はちみつに多く含まれる果糖は血糖値をあげやすい糖だからです。
糖質の種類には単糖類(はちみつの果糖)、二糖類(砂糖の主成分ショ糖)、多糖類があります。そして最も体内に吸収されやすいのは、単純な構造である単糖類です。
つまり、砂糖のショ糖よりはちみつの果糖の方が体内吸収が速いのです。そして果糖は体内に吸収されるとすぐ、10-20%が肝臓でブドウ糖と中性脂肪に作り替えられます。
そのため、果糖の量が多いと体内のブドウ糖の量が増え、血糖値を上昇させてしまいます。
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血糖値が急上昇?朝に人気のスムージーに注意
はちみつと組み合わせる食材によって、血糖値が急上昇する場合があります。その一例がフルーツのスムージーです。
実は果物にも、単糖類である果糖やブドウ糖が多く含まれています。
もともと果物は吸収の良い食べ物なのですが、ミキサーにかけたスムージーは食物繊維が砕かれてさらに吸収が良くなります。そこにはちみつを加えたら、血糖値はさらに急上昇。一気に跳ね上がる可能性が高くなります。
果物とはちみつを使ったスムージーは、食事ではなく間食やデザートにあたるものと考えるとよいでしょう。
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糖尿病でもはちみつを食べて大丈夫なのか
糖尿病の方でも、はちみつを食べて問題ないです。ただし、食べる量は控えめにした方がよいでしょう。
実は合併症や医師からの指示がある場合を除き、糖尿病の方に食べてはいけない食材はありません。とはいえ、糖尿病の方は血糖値が上がり過ぎないよう、摂取する糖質の量を調整する必要があります。
そこで、糖質の多いはちみつは食べすぎないことが大切なのです。
なお糖尿病の動物を対象とした研究において、はちみつは砂糖と比べて血糖値を上げにくい、という報告があるようです。人に関しての研究はまだなので、今後の結果が楽しみですね。
はちみつの食べ方をポイント解説
糖尿病の方がはちみつを食べるときのポイントは、
・砂糖の代用として使用
です。
小さじ1杯のはちみつであれば糖質は約4gなので、血糖値に大きな影響を与えにくいでしょう。またはちみつをそのまま食べるより、砂糖の代用として使う方が血糖値は上がりにくいですよ。
はちみつと砂糖の糖質量を比較
はちみつと砂糖を100gあたりで比較すると、はちみつの方が糖質は低いです。ただしはちみつには水分が含まれるため、同じ量の砂糖に比べると甘味は少ないと考えられます。
【はちみつと砂糖の糖質量】
*100gあたり
そして一般的な食品と比べると、はちみつの糖質は高いです。また、はちみつは砂糖と比較して水分が多いため、
参考までに、はちみつ大さじ1(約21g)の糖質は16 gで、コンビニおにぎり1/2個の糖質量とほぼ同じ量になります。
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はちみつとは
そもそもはちみつとは、ミツバチが花の蜜を吸い取って集め巣の中で加工・貯蔵された天然の甘味料です。
栄養が豊富で、疲労回復や口内炎にも効果があるといわれています。また漢方でははちみつの効能を重視し、治療薬として使うこともあります。
純粋はちみつをはじめ様々な種類がある
はちみつには様々な種類がありますが、主に見かけるのは純粋はちみつ・加糖はちみつ・精製はちみつの3つです。
そして純粋はちみつが、加工処理を行っていない天然のはちみつです。加糖はちみつは、水あめやブドウ糖を加えたものです。そして精製はちみつは、はちみつを加熱して脱色や脱臭などを施し、栄養を取り除いたものになります。
つまり、はちみつとしての質や栄養価が高いのが純粋はちみつといえます。
蜂蜜の女王はアカシアはちみつ
アカシアはちみつは、ニセアカシアという樹木の花から採取されるはちみつです。
風味にくせがなくスッキリした甘さが楽しめるはちみつで、料理やお菓子にも使いやすいのが特徴です。
マヌカハニーを活用
マヌカハニーとはニュージーランドで生産される天然のはちみつで、ニュージーランドの政府が管理している特殊な食材です。殺菌作用が強く、医薬品としても使われています。
糖尿病の方は、肺炎や歯周病などの感染症にかかりやすいと言われています。なぜなら糖をエサにしてウイルスや細菌が増殖するからです。
マヌカハニーで感染症を防げると断言はできませんが、うまく活用すると合併症の予防に役立つかもしれません。しかしはちみつには変わりありませんので、量には注意が必要です。
はちみつレモンを手作り
レモンには抗糖化の働きがあるといわれています。
ちなみに抗糖化とは「糖化を防ぐこと」です。具体的には糖化が原因で発症する動脈硬化や白内障などのリスクを減らし、また糖化が進行して起こる糖尿病を防ぐことでもあります。
そんな効果のあるレモンに少量のはちみつを加えると、簡単にはちみつレモンが作れます。
【はちみつレモン】
・レモン 2個
・はちみつ 大さじ2
【作り方】
①レモンはよく洗ってヘタを切り落とし、薄くスライスする
②ふた付きの瓶にスライスしたレモンを入れて、はちみつを加える
③冷蔵庫で2日ほど置いて、完成
※はちみつレモンは1日1枚が目安です。お肉料理に加えたり、オリーブオイルと混ぜてドレッシングとしてサラダに活用しても美味しいですよ。
まとめ
以上、はちみつは糖質が多いので血糖値を上げやすいとわかりました。糖尿病の方は食べすぎないことが大切です。
糖尿病の方がはちみつを食べる場合は、小さじ1程度を砂糖の代わりに使うのがオススメです。
なお糖尿病の感染症予防の観点では、マヌカハニーが良いですね。
それでは当記事が、あなたの血糖コントロールに役立つことを願っています。
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■参考文献
一般社団法人 日本養蜂協会
薬膳漢方 食材&食べ合わせ手帖 植木もも子監修 西東社
日本食品成分表 2021 八訂 医歯薬出版株式会社
糖化ストレス研究会 Glycative Stress Research誌, 第7巻2号, P174~180 Effect of the postprandial blood glucose on lemon juice and rice intake.
・CiNii 糖尿病に対するハチミツの影響 : 糖尿病マウスを通して
・一般社団法人 日本はちみつマイスター協会