人気上昇中!青パパイヤの栄養を一挙公開~食べ方のコツもご紹介します~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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「メディカルフルーツ」と呼ばれるほど、栄養が豊富な青パパイヤ。
かつては輸入品が多く、家庭で青パパイヤを食べる機会はほとんどありませんでした。しかし最近は国内で栽培されるようになり、青パパイヤが身近な食材になりつつあります。
そこで今回はまだよく知られていない青パパイヤの栄養について、わかりやすく解説していきます。家庭で楽しめるように、調理のコツについてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
青パパイヤとは
青パパイヤとは、実が熟す前に収穫した緑色のパパイヤのことです。
パパイヤと言えば、黄色やオレンジ色の南国フルーツを思い浮かべる方が多いと思います。完熟したパパイヤは、トロピカルな香りと甘味、なめらかな食感が人気の果物です。
一方で青パパイヤは、東南アジアや沖縄で野菜として食べられています。
癖のない青パパイヤは、サラダやきんぴらなどさまざまな料理に活用できるのです。
もちろん、青パパイヤは栄養も豊富。そんな魅力たっぷりの青パパイヤは近年注目を集めており、沖縄だけでなく関東でも積極的に栽培されるようになりました。
青パパイヤの栄養と効能
野菜のような味わいの青パパイヤと、デザートのように甘い完熟パパイヤは、意外にもカロリーや糖質量に大きな差がありません。
また青パパイヤのカロリーや糖質を馴染みのある食材と比較すると、白桃と同程度であることがわかりました。
ではパパイヤの特筆すべき栄養素には、どのようなものがあるのでしょうか?
順に見ていきましょう。
たんぱく質を分解するパパイン
青パパイヤの代表的な栄養素は、たんぱく質分解酵素である「パパイン」です。
パパインは完熟したパパイヤにはほとんど含まれない、青パパイヤならではの成分です。
青パパイヤの表面を傷つけると、白い液体が出てきます。この液体に豊富に含まれるのが、パパインです。
青パパイヤを肉と一緒に煮込んだり、炒めたりすると肉が軟らかくなるのは、パパインの働きのおかげですよ。
活性酸素の働きを抑えるポリフェノール
青パパイヤは、抗酸化力の強いポリフェノールを含みます。
なお、ポリフェノールは活性酸素の働きを抑えたり、取り除いたりする働きがあります。
活性酸素は体内に常に存在し、免疫機能など私たちが生きていくために必要な物質です。一方で活性酸素が過剰になると細胞を傷つけ、老化や病気の要因となってしまうのです。
本来、私たちの体は活性酸素の量をうまく調節しています。しかし紫外線や喫煙、ストレスなどにより、活性酸素が過剰になってしまうことがあります。
そこで日ごろから意識的にポリフェノールなどの抗酸化力の強い食材を摂ると、活性酸素が過剰になるのを防げるのです。ポリフェノールの効果は長時間持続しないので、毎日こまめに補うとよいですね。
病気に対する抵抗力を高めるビタミンC
青パパイヤには、ビタミンCが豊富に含まれます。
参考までに、ビタミンCが豊富なイメージのあるレモン果汁と含有量を比較してみましょう。
レモン果汁の方がビタミンCの含有量が多いものの、青パパイヤも引けを取りません。
ビタミンCはポリフェノールと同様に、抗酸化作用を持っています。
さらにビタミンCはストレスや病気に対する抵抗力を強めたり、コラーゲンの生成に必須の栄養素です。つまりビタミンCは、私たちの健康維持や美肌作りに役立つ栄養素なのです。
なお日本人の食事摂取基準では、成人の場合1日に100mgのビタミンCを摂取するよう推奨しています。パパイヤは1個500g程度ですから、半分で1日分のビタミンCが摂れますね。
青パパイヤを食べすぎるとどうなる?
青パパイヤは食べすぎると、腹痛や下痢を起こしやすくなります。
なぜなら、青パパイヤには食物繊維が含まれるからです。
食物繊維は水に溶けやすい水溶性のものと、水に溶けにくい不溶性のものがあります。
青パパイヤにはどちらも含まれますが、不溶性食物繊維の方が多いです。不溶性食物繊維は便のカサを増やしてスムーズな排便を促すため、適量を摂る分には便秘解消に役立ちます。
ただし摂りすぎると、便秘が悪化したりお腹が張ったりする場合もあります。したがって便秘気味の方は不溶性食物繊維だけでなく、十分な水分を摂るように心がけましょう。
糖尿病でも食べられるのか
糖尿病の方も、青パパイヤを食べられます。
先ほどご紹介したように、青パパイヤには活性酸素を抑える働きのある抗酸化物質が豊富です。
活性酸素が過剰になると、血管が傷つきやすくなるので糖尿病の合併症(※)も発症しやすくなります。
(※)糖尿病の合併症は、神経障害、網膜症、腎症、動脈硬化などです。詳しくはこちらをご覧ください。
また活性酸素が過剰になると、血糖値を下げるインスリンというホルモンが作られる細胞にも障害を与える可能性があると言われています。
つまり糖尿病の方は、活性酸素が増え過ぎないように注意する必要があるのです。青パパイヤにはポリフェノールやビタミンCといった抗酸化物質が含まれますから、うまく取り入れるとよいですね。
【かぶれに注意】青パパイヤを調理するコツ
青パパイヤを調理するコツは2つ
・あく抜きをする
です。
青パパイヤに含まれるたんぱく質分解酵パパインにより、かゆみなどの手荒れが生じる場合もあります。
とくに肌の弱い方が青パパイヤを触るときは、調理用手袋をつけましょう。
また青パパイヤはえぐみが強いので、10分ほど水にさらしてあく抜きすると美味しく食べられます。青パパイヤを調理したことがない方も、この2点に注意すれば家庭でも楽しめますよ。
オススメのレシピをご紹介
ここではチンジャオロース風な「青パパイヤと豚肉の炒め物」をご紹介します。
パパインの効果で、お肉が軟らかく仕上がります。
・青パパイヤ 100g
・豚ロース(薄切り) 200g
・塩 少々
・こしょう 少々
・すりおろしにんにく 小さじ1
・片栗粉 大さじ1
・酒 大さじ1
・鶏がらスープの素 小さじ1
・オイスターソース 大さじ2
・醤油 小さじ1
・ごま油
【作り方】
①種をくり抜いた青パパイヤの皮を剥き、千切りにして10分ほど水にさらす
②豚肉を細切りにして塩、こしょう、すりおろしにんにくで下味をつけてから、片栗粉をまぶす
③フライパンにごま油をひいて、②の豚肉を炒める
④豚肉に火が通ったら、水気を切った①の青パパイヤを加えて、さらに炒める
⑤青パパイヤがしんなりしたら、酒、鶏がらスープの素、オイスターソース、醤油を加えて、全体に味がなじんだら完成
まとめ
以上、青パパイヤの栄養について解説しました。
青パパイヤの特筆すべき栄養素は、以下の通りです。
・パパイン:たんぱく質を分解する酵素
・ポリフェノール:活性酸素の働きを抑える
・ビタミンC:病気に対する抵抗力を高める
青パパイヤは調理のコツさえつかめば、家庭でも楽しめます。
・あく抜きをする
ご紹介したレシピも、ぜひお試しください。
それでは当記事が、青パパイヤを楽しむきっかけとなれば幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
独立行政法人 農畜産業振興機構 【まめ知識】野菜のいろいろ「青パパイヤ」
文部科学省 食品成分データベース
東京法令出版株式会社 新食品成分表FOODS2023
Agriknowledge 鶏肉のテクスチャーおよび嗜好性に及ぼすパパイン処理の 影響
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版) 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
J-STAGE 沖縄伝統野菜のカロテノイド,ビタミンCおよびポリフェノールの定量
厚生労働省 e-ヘルスネット
T. Inoguchi : NAD(P)H oxidase activation: A potential target mechanism for diabetic vascular complications, progressive beta-cell dysfunction and metabolic syndrome. Current Drug Targets 6, 495-501, 2005