枝豆の栄養と効能が健康によい理由〜気になる黒枝豆も管理栄養士が解説〜
当記事の執筆は、管理栄養士 白石香代子が担当しました。
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おつまみとして食べる機会の多い枝豆。
いつもなんとなく食べていますが、枝豆の栄養について気にしたことはありますか?
もちろん枝豆には健康によい栄養素がたっぷりと含まれています。
そこで今回は枝豆の栄養素や効能について、わかりやすく解説いたします。黒枝豆の栄養や美味しい食べ方もお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
枝豆の栄養成分と効能
枝豆にはたんぱく質や食物繊維、鉄、ビタミンB1・B2、カルシウムといった様々な栄養素が含まれます。
そして枝豆の最大の特徴は、さやの中に入っていているため茹でても栄養素を失いにくく、効率的に摂取できる点です。
それでは、枝豆に含まれる具体的な栄養素について見ていきましょう。
体をつくるたんぱく質
枝豆はからだを作るたんぱく質が豊富に含まれています。たんぱく質は筋肉や臓器、皮膚、毛髪、ホルモンなど、体の構成成分の材料です。
そもそも枝豆とは、大豆をまだ青い段階で収穫したものです。大豆などの豆類はたんぱく質が豊富な上に、アミノ酸スコアが高く利用効率のよいたんぱく質だといわれます。
枝豆のたんぱく質も利用効率の高い、良質なたんぱく質なのです。
おなかの調子を整える食物繊維
枝豆に含まれる食物繊維には、便秘を解消しおなかの調子を整える、血糖値の急上昇を抑えるといった働きがあります。
実はアメリカの研究によると、食物繊維の摂取量が多いと糖尿病などの生活習慣病の発症リスクの低下がみられた、と報告されています。
しかし日本人のほとんどは食物繊維が不足しているのが現状です。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準によると、食物繊維は18〜64歳で男性21g以上、女性18g以上が目標です。茹でた枝豆を10さや食べるとおおよそ0.9~1.4gの食物繊維が摂れるので、上手に取り入れて食物繊維不足を解消しましょう。
鉄で貧血予防
枝豆に含まれているのは少し意外な鉄は赤血球の材料となり、全身に酸素を運ぶ働きがあります。鉄が不足すると赤血球が足りなくなり、貧血になりやすくなります。
ただし枝豆に含まれる鉄分は非ヘム鉄といって、吸収されにくい形なのが難点です。そこで、非ヘム鉄の吸収を助けるビタミンCを含む食品と一緒に食べるとよいでしょう。
エネルギー作りを助けるビタミンB1・B2
枝豆に豊富なはビタミンB1やB2は、エネルギーをつくる際に必要な栄養素です。
なおビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康を維持する役割もあります。枝豆などからビタミンB2をしっかりと補給することで、肌の健康を守れるとうれしいですね。
骨や歯を丈夫にするカルシウム
カルシウムといえば骨を丈夫にする栄養素ですが、枝豆には牛乳の半分ほどのカルシウムが含まれます。
カルシウムは乳製品以外にも含まれます。カルシウムはこまめに摂り続けることが大切です。少しずつでもよいので、枝豆などカルシウムの含まれる食品を食べましょう。
枝豆に大豆イソフラボンは含まれるのか
枝豆にも大豆イソフラボンは含まれていますが、大豆と比べてかなり少ないです。
なお大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをすると言われており、更年期障害の軽減や骨粗しょう症の予防効果が期待されています。
参考記事:大豆の栄養価は高い!~子どもにも大人にも嬉しい成分が豊富~
枝豆を毎日食べるとどうなるのか
枝豆を毎日食べても、適量であれば問題はないでしょう。
ただし食べすぎると
・食物繊維の摂りすぎによる消化不良や下痢、腹痛
となる可能性も。どんなに栄養のある食品も、偏って食べると健康な食生活とはいえません。さまざまな食品をバランスよく食べることをオススメいたします。
参考記事:五大栄養素の働きとは?管理栄養士がわかりやすく解説~主な役割も紹介~
食べ過ぎは痛風になるのか
枝豆を食べすぎたからといって、痛風になるわけではありません。
なぜこのような心配をする人が多いかというと、アルコールの摂りすぎが高尿酸血症(※)になる可能性を高めるからと考えられます。
(※)血液中の尿酸が増えすぎて起こる疾患
そもそも痛風とは、高尿酸血症によって起こる急性関節炎発作のことです。アルコールは、体内での尿酸産生を促進します。そのため尿酸値の高い方は、アルコールを摂りすぎないようにする必要があります。
枝豆はお酒のおつまみとして食べることが多いため、不安に感じる方がいらっしゃるのではないでしょうか。
枝豆はダイエット向き?
枝豆はダイエットに向いている食材だといえます。
というのも、枝豆は野菜の中ではカロリー・糖質が高めなものの、食べ物全体だとカロリーは中程度、糖質は低めだからです。
ダイエット中に枝豆を食べるのであれば、間食として甘いものやスナック菓子の代わりに食べるのがオススメです。量はさやつきのものを両手1杯(100g)程度(※)がよいでしょう。
(※)さやつき枝豆100gでおおよそ59kcal、糖質は2.3g
参考記事:枝豆はダイエット中に食べてもいいのか~体重を増やさない食べ方のコツを伝授~
糖尿病や糖質制限中でも枝豆を食べて大丈夫か
枝豆は糖質が少ないので、糖尿病や糖質制限中の方にも食べやすい食材といえるでしょう。
なお糖尿病や糖質制限中であっても、食べられない食材はありません(医師の指示がある場合を除く)。大切なのは、適量のバランスよい食事を摂ることです。
ただし枝豆を茹でる際に、塩の入れすぎは控えてください。塩分の摂りすぎは、高血圧を引き起こす可能性が高いです。糖尿病の方は合併症を防ぐため、高血圧の予防も大事なのです。
参考記事:枝豆のカロリーと糖質は高い?〜栄養素やダイエット中に食べるポイントも解説〜
黒枝豆の栄養はどうか
黒枝豆の栄養は、枝豆と大きな違いはないでしょう。
黒枝豆とは、おせち料理でおなじみの煮物に使われている黒豆を若い段階で収穫したものです。豆が少し黒っぽいのが特徴ですが、見た目はさほど通常の枝豆と変わりません。
ただ、1つ栄養面で違うのは黒枝豆にはアントシアニンが含まれていることです。アントシアニンには強い抗酸化作用があるといわれています。
参考記事:知らないと損!黒豆の栄養と効能~黒豆茶・黒枝豆の栄養価も解説~
簡単!冷凍えだまめを使ったレシピをご紹介
ここでは、枝豆を使ったお手軽レシピをご紹介します。主な材料が枝豆とあさりなので、糖質が気になる方も安心して食べることができる酒蒸しです。
冷凍枝豆を使って、手軽に作れる点もうれしいですね。
【枝豆とあさりのさっぱり酒蒸し】
・あさり 20個
・塩あじ付き冷凍枝豆 20さや
・酒 大さじ4
・水 大さじ5
・しょうゆ 適量
・三つ葉 適量
【作り方】
①あさりをこすり洗いし、塩水に漬け、1時間以上おいて砂抜きをする
②鍋に①のあさり・枝豆・酒・水を入れ、中火にかける
③あさりの殻が開いたら火をとめて、しょうゆを数滴たらして軽く混ぜる
④皿に盛りつけて、細かく刻んだ三つ葉を散らす
参考記事:あさりの栄養がすごい!~適量や食べ過ぎの注意点まで解説します~
冷凍枝豆は栄養成分が違うの?
冷凍枝豆の栄養は、通常の枝豆と大きな差はありません。
というのも市販の冷凍野菜は急速冷凍することによって、栄養の損失が最小限に抑えられているからです。また-18度以下で保存を続ければ、栄養価が長期間維持されるといわれています。
参考記事:冷凍野菜に栄養はあるの?~オススメレシピとともに管理栄養士が解説~
まとめ
以上、枝豆はたんぱく質や食物繊維、鉄、ビタミンB1、B2、カルシウムなど様々な栄養素が含まれているとわかりました。さらに黒枝豆には、抗酸化作用の強いアントシアニンも含まれます。
枝豆は野菜の中ではカロリー・糖質共に高めなものの、食品全体ではカロリーは中程度、糖質は低めなためダイエット中や糖質の気になる方に向いているといえます。
それでは当記事が、あなたの健康に少しでもお役に立てれば幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
・厚生労働省 e-ヘルスネット 国民健康・栄養調査 食事摂取基準2020
・文部科学省 食品成分データベース
・農林水産省 おいしさの秘密を探る!冷凍食品豆知識と製造工場レポート
・独立行政法人 国立健康・栄養研究所 枝豆にはイソフラボンは含まれますか?
・公益財団法人痛風・尿酸財団 食品中のプリン体含有量一覧表
・JA丹波 とれたて野菜直売所
・東京化学同人, 飯田薫子ら「 疾病のなりたち」99, 112, 132-134
・J-STAGE 総説