銀杏に秘められた栄養を大公開~安全においしく食べる方法もご紹介~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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秋の訪れを感じさせる、独特な臭いの銀杏。
銀杏はイチョウの種子で、古くから存在する植物であることから「生きた化石」と呼ばれることもあります。
公園や街路樹にイチョウが使用されていたり、茶碗蒸しに銀杏が入っていたりと無意識のうちに銀杏に関わっていることもあるでしょう。
一方で銀杏の栄養について、気にしたことがある方は少ないかもしれません。
実は昔から中国において銀杏は、滋養強壮によい食材として知られています。
そこで今回は、硬い殻に包まれた銀杏の栄養について詳しく解説していきます。
オススメの食べ方や食べ合わせについてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
銀杏の栄養と効能
銀杏は種実類、いわゆるナッツの仲間です。
ナッツは一般的に脂質を多く含みますが、銀杏の脂質は少なく、ビタミンやミネラルが豊富です。
免疫力を高めるビタミン
銀杏にはβ-カロテンやビタミンCといった、免疫力アップの期待できるビタミンが含まれます。
β-カロテンやビタミンCは抗酸化ビタミンと呼ばれ、活性酸素の働きを抑制させるのです。
活性酸素とは、私たちが呼吸をして体内に取り入れた酸素が通常よりも活性化したもので、免疫機能や感染防御などの重要な役割を持っています。
一方で活性酸素が過剰になると細胞を傷つけ、さまざまな疾患をもたらす原因となります。
本来であれば体内の活性酸素が過剰にならないように調整されていますが、紫外線や喫煙、加齢やストレスなどにより活性酸素の量を調節しきれなくなってしまうことも。
そこで注目されているのが、抗酸化ビタミンです。
銀杏の旬である9〜11月は季節の変わり目で体調を崩しやすい時期ですから、銀杏を活用して積極的に抗酸化ビタミンを摂り、免疫力を高めましょう。
体の働きを調節するミネラル
銀杏には、ミネラルの一種であるカリウムが多く含まれます。
カリウムの働きとして有名なものに「過剰なナトリウム(塩分)の排出を促す」があり、血圧の低下やむくみの改善に役立ちます。
そのほかにも神経刺激の伝達や、筋肉機能の調節など私たちが生きていくうえで重要な働きを担っているのです。
また、カリウムは水に溶けやすい性質を持ちます。
したがって銀杏のカリウムを効率よく摂りたい方は、下処理の際に茹でるのではなく、電子レンジ加熱やフライパンで炒るとよいですね。
参考記事:ミネラル豊富な食材をご紹介~不足しがちな栄養素を中心に解説します~
銀杏のカロリーと糖質はどうか
銀杏は100gあたり168kcal、糖質が33.4gです。
銀杏1粒は約3gですから、1粒あたり5kcal、糖質は1.0gとなります。
参考までに、同じく種実類である栗は100gあたり147kcal、糖質が33.5gです。
つまり銀杏は栗よりもややカロリーが高めで、糖質はほぼ同じです。
参考記事:栗の栄養と効果~渋皮や甘栗の成分・効能についても詳しく解説~
漢方にも利用される理由
銀杏には下記の効能があるため、漢方に利用されています。
・頻尿や夜尿症の改善
・体を温める
銀杏を食べすぎるとどうなる?
銀杏は、たくさん食べると中毒症状(※)を起こす場合があります。
(※)嘔吐、下痢、呼吸困難、痙攣などの症状。
とくに子どもは内臓の働きが未熟ですから、食べすぎないようにしましょう。
1日何個まで食べられるのか
銀杏の適量に明確な基準はありませんが、子どもは1日4〜5粒、大人は多くて10粒までにするとよいといった報告があります。
また銀杏中毒は小児に起こりやすいので、5歳未満の子どもは控えた方が安心です。
銀杏のおいしい食べ方
銀杏を手軽に楽しみたい方は、電子レンジでの下処理をオススメします。
②紙袋の口を数回折り曲げて、600wの電子レンジで1分20秒加熱する。
③熱いうちに殻と薄皮を剥いたら、完成。
銀杏は生ものですから、できるだけ新鮮なうちに食べるとおいしいですよ。
なお冷蔵保存する場合は、温度が低めに設定されているチルド室で殻つきのまま保存するのが適しています。チルド室での保存はおよそ1か月、それ以上保存したい場合は茹でてむき身にしたものを冷凍してください。
また銀杏の外果皮である硬い殻には、かぶれの原因となるビロボールが含まれます。かぶれを予防するために、銀杏を拾うときや殻を剥くときにはゴム手袋を使用するとよいでしょう。
毒抜きは必要か
残念ながら、銀杏は毒抜きができません。
なぜなら中毒症状の原因はメチルピリドキシンといって、熱に強い成分だからです。
つまり銀杏は加熱調理しても、毒性がなくなりません。
したがって中毒症状を回避しつつ銀杏を楽しむには、適量を守って食べるほかないのです。
食べ合わせによいもの悪いもの
食材の食べ合わせによっては、栄養を効率的に摂取できたり、相乗効果が得られたり、吸収を妨げたりすることがあります。
さっそく、銀杏の食べ合わせについて見ていきましょう。
・海藻類:ナトリウムの排泄を促す相乗効果
β-カロテンは油脂との相性がよいため、油を使って調理すると吸収率が高まります。
また卵の卵黄など脂質を含む食材とβ‐カロテンを一緒に食べるのも効果的ですので、茶碗蒸しに銀杏を入れるのもよいですね。
海藻のぬめり成分であるフコダインやアルギン酸は、体内のナトリウムを吸着して排出する働きがあります。
銀杏のカリウムと海藻を一緒に食べれば、ナトリウムの排出効果が高まりますね。
なお銀杏の栄養を妨げる食材、いわゆる食べ合わせの悪い食材に関しては、それほど気にする必要はないでしょう。
参考記事:もずくの栄養成分と効能効果~健康に効果的な食べ方も伝授~
まとめ
以上、銀杏の栄養についてお伝えしました。
銀杏は免疫力アップが期待できるβ-カロテンやビタミンC、高血圧やむくみの改善に役立つカリウムが豊富に含まれます。
また、銀杏は漢方薬としても利用されますが、食べる量に注意すべき食材です。
銀杏中毒予防のためには1日に食べる量を
・大人:10粒まで
とし、5歳未満の子どもは控えましょう。
それでは当記事を参考に、銀杏をあなたの健康に役立てていただけたら幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 eJIM
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
JAグループ ギンナン(銀杏)
J-STAGE 健常成人に発症した銀杏中毒の1例