生姜の栄養と効果とは?~男女ともにオススメの成分や食べ方を紹介~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください
「生姜は体にいい」と、誰しも一度は聞いたことがありますよね。とくに、女性の方は生姜による効果を期待して、積極的に食事へ取り入れている方も多くいらっしゃいます。
ところで、生姜は体を温めて免疫力がアップしたり、血行が良くなって代謝が上がったりという効果も聞きますが、一体生姜のどの成分による効果なのかご存知でしょうか。
今回は、生姜の栄養とさまざまな効果について徹底解説いたします。女性にだけ良いと思われていた生姜ですが、じつは男性のみなさんにもオススメですよ。
栄養を効果的にとれる食べ方もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
生姜の栄養と効果
薬味として食べられることの多い生姜は、香りや辛味を楽しむだけと思われがちです。ところが、生姜には私たちの体を健康に導く栄養素が含まれているのです。
今回は、その一部をご紹介しましょう。
むくみの解消に効果的なカリウム
野菜や果物に多いカリウムは生姜にも含まれ、摂り過ぎた塩分を水分と一緒に体の外へ排出する働きをもちます。
これにより、顔や足の気になるむくみが解消できるのです。
また、余分な塩分を排出するので高血圧予防にも効果を発揮します。
関連記事
デスクワークの足むくみ解消法~仕事中にできる簡単ケアを紹介~
便秘を予防する食物繊維
食物繊維のなかでも水に溶けない不溶性食物繊維は、便の量を増やして腸壁を刺激することで便通を促す働きがあります。
ちなみに、食物繊維には水に溶けやすい水溶性食物繊維もあり、食後の血糖上昇を緩やかにしたりコレステロール値を下げたりします。
生姜には、水溶性も不溶性も含まれていますが、不溶性食物繊維の方が多く含まれているので、便秘が気になる方にはオススメですよ。
関連記事
食物繊維を多く含む食べ物ランキング~ダイエット中にオススメな理由も解説~
辛味・香り成分の驚くべき効能
生姜特有の辛味と香り、この2つは単に料理のアクセントとなるだけではありません。じつは、生姜の辛味や香りによる効果はカリウムや食物繊維より高いと考えられているのです。
ちなみに、辛み成分と香り成分は以下の通りです。
辛味成分 | ジンゲロール、ジンゲロン、ショウガオール |
香り成分 | ジンギベロール、ジンギベレン、シトロネラール、シネオール |
これらの成分による効能は、女性のみならず男性にもオススメなものばかり。ここからは、生姜の辛味と香り成分に期待される効果を4つご紹介します。
殺菌作用で食中毒を予防
辛味成分であるジンゲロールやショウガオールには殺菌作用があり、食品を傷みにくくする効果が期待できます。
なお、生の生姜にはジンゲロールがあり、加熱すると一部がショウガオールへ変化します。
血行改善で代謝改善や冷え対策
生姜といえば、やはり血行をよくする効果ですよね。これは辛味成分であるジンゲロール、ジンゲロン、ショウガオールすべてに期待できます。
生姜を食べるとじんわりと手先が温かくなるため、冷えが気になる女性にオススメです。
つわりや二日酔いによる吐き気の緩和
意外と知られていないのが、つわりや二日酔いの吐き気を緩和する効果です。
海外の研究によるとジンゲロールやショウガオールの効果により、セロトニンという神経伝達物質の働きを阻害するのが、吐き気を緩和するメカニズムなのだそうです。
ただし、すべての方に必ず効果があるわけではありません。とくにつわりはひどくなると入院が必要になることも。水分がとれないほど吐き気がひどい場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
口臭の軽減
近年の研究により、生姜の成分には口臭を軽減する効果があるとわかってきました。
生姜に含まれるジンゲロールを人の唾液内に加えると、口臭の原因となる成分を分解する酵素が増加することが明らかになったのです。
ヒトの口腔内にて行った研究ではないため、今後より実用的な研究発表が期待されますね。
生姜の栄養を効果的にとる食べ方
生姜を食べるときは、以下の2点に配慮すると栄養を効果的に摂れますよ。
・加熱する
生姜に含まれるカリウムは水に溶けだしやすいため、生姜を使った料理はできるだけ煮汁もいただくようにしましょう。その際、塩分を控えめにすることもお忘れなく。
また、生姜を加熱すると辛味成分のジンゲロールが、より効果の高いショウガオールに変化します。しかし茹でる場合、ショウガオールが増えるのは加熱し始めてからじつに60分後と、長時間の加熱が必要になるのです。
日々忙しい中で、生姜のためだけに60分も手をかけられないという方には、加熱加工されたのちに粉末状になった商品があります。これなら、欲しいと思った時にすぐ生姜を使えますね。
生姜を毎日食べるとどうなるの?
生姜は、毎日食べることでその効果を持続的に体感できます。先ほど辛味成分には血行促進の効果があるとお伝えしましたが、その効果は長くつづきません。そのため、生姜を毎日食べることで、その効果を持続的に発揮できるのです。
肝臓への負担について
生姜は食べ物なので、適量を守れば肝臓へ負担がかかることはありません。
ちなみに生姜の成分はサプリメントで手軽に摂取することもできます。
そのため、生の生姜もしっかり食べつつさらにサプリメントでも生姜の成分を摂取すると、肝臓に負担がかかる可能性もあるでしょう。
生姜に限らずサプリメントを摂る場合は、普段摂れていない成分を補う目的で使用するとよいです。
関連記事
肝臓に悪い意外な食べ物ランキング!ご自身の食事を見直してみましょう
副作用はないのか
明らかに節度を超える量の生姜を一度に食べると、生姜の辛味成分が胃腸を刺激し続けて胸やけや胃もたれといった副作用を感じる場合もあります。
適量を心がけて、日々の生活に取り入れましょう。
1日の適量とは
生の生姜であれば、1日の適量は約10gです。すりおろすと大さじ1/2杯分、スライスだと4枚分に相当します。こうしてみると、あまり多くはないですね。
朝の味噌汁にすりおろした生姜を入れるなど、ちょっとした工夫で日々の食事に生姜をとりいれられますよ。
チューブの生姜は効果がないってホント?
チューブに入った生姜は使いたいときすぐに使えるため便利な反面、栄養素の量は生の生姜に劣ります。
実際、冒頭にご紹介したカリウム、食物繊維は生の生姜よりも少なくなります。これらの栄養効果は、生の生姜より期待できないかもしれません。
さらに、香りや辛味もチューブタイプのものは生の生姜より弱いです。
忙しい時はチューブタイプ、余裕のある時は生の生姜をすりおろすなど、使用シーンによって使い分けするのがよいでしょう。
まとめ
健康食材の代表格である生姜は、カリウムや食物繊維などの栄養素に加えて、生姜独特の辛味や香り成分による効果が大きいとわかりました。
現在も生姜の成分に関する研究は進められており、さらに私たちの健康を支えてくれる存在になりそうですね。
また、生姜の栄養を効率的にとるためには、以下の2点がポイントになります。
・加熱する
それでは毎日の食事に生姜を取り入れて、その効果をぜひ実感してみてくださいね。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
文部科学省 食品成分データベース
農林水産省 しょうがは身体を温める効果があるそうですが、どのような成分が働いているのですか。
厚生労働省 ショウガ | ハーブ | 医療関係者の方へ
Chemosensate-Induced Modulation of the Salivary Proteome and Metabolome Alters the Sensory Perception of Salt Taste and Odor-Active Thiols | Journal of Agricultural and Food Chemistry
Zhenhua Jin et al,Ginger and Its Pungent Constituents Non-Competitively Inhibit Serotonin Currents on Visceral Afferent Neurons,The Korea Journal of Physiology & Pharmacology(2014),18(2),p149-153