いちじくの栄養と健康効果~注意点やドライいちじくについても解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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やさしい甘さとプツプツとした食感が特徴のいちじく。
そんないちじくには、他の果物にはないフィシン(たんぱく質分解酵素)など体に嬉しい栄養素が豊富に含まれています。
今回は、いちじくの栄養素について詳しく解説します。いちじくを使った簡単なレシピもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
いちじくの栄養素と効能
いちじくの主な栄養素は炭水化物(糖質、水溶性食物繊維)、カリウム、カルシウム、たんぱく質分解酵素(フィシン)です。
では、それぞれどのような効能があるのか説明していきます。
脳や体のエネルギー源である糖質
糖質は、人間にとって脳や体を動かすために必要な栄養素の1つです。
そして、いちじくなど果物の甘さはブドウ糖や果糖といった糖質からきています。
ブドウ糖や果糖は私たちの体のエネルギー源になる一方で、摂りすぎると中性脂肪を増加させ肥満につながる可能性も。くれぐれも過剰摂取には気をつけましょう。
参考記事:糖質の多い果物ランキング~糖質制限中にオススメの果物もご紹介~
腸内環境を整える水溶性食物繊維
いちじくには食物繊維が多く含まれているので、便秘で悩む方や、糖尿病、脂質異常症の方にはオススメの食材といえます。
食物繊維の中でもとくに注目したいのが、水溶性食物繊維である「ペクチン」です。
ペクチンは水に溶けるとゼリー状になり腸内環境を整えたり、食後の血糖値の上昇を抑制やコレステロールを排泄する働きをもちます。
ちなみに、食物繊維には水に溶けない不溶性食物繊維もあります。不溶性食物繊維の働きは便の量を増やし、腸を刺激することで便通を促すことです。
いちじくには水溶性と不溶性の食物繊維がバランスよく含まれているので、お通じにお悩みの方にはぜひ食べていただきたいです。
参考記事:腸活に良い食べ物ランキングTOP5~続けられる簡単レシピもご紹介~
むくみに効果的なミネラル、カリウム
カリウムは人間の体に必要なミネラルの1つで、体内にたまった余分な塩分(ナトリウム)を排泄する作用があります。
体に塩分がたまるとむくみや高血圧の原因になるので、むくみやすい方や高血圧の方は積極的に摂りたい栄養素です。
胃もたれや二日酔いに効く、たんぱく質分解酵素
いちじくの特徴的な栄養素であるフィシンは「たんぱく質分解酵素」の一つで、肉や魚などのたんぱく質を分解して消化を促進する作用があります。
いちじくの軸を切ると白い液体が出てきますが、これがフィシンです。
消化を促してくれるので、食べすぎた日や胃もたれ、二日酔いなどのときに摂るとよいでしょう。
いちじくが肌によいってホント?
残念ながらいちじくが肌に良いという著名な研究報告は見つかっておらず、いちじくの栄養成分が直接的に肌へよい効果をもたらすかははっきりしていません。
一説によると、いちじくの種子に含まれる植物性エストロゲンの効果によって美肌になるといわれているようですが、実際のところ真偽は定かではないようです。
ただし、いちじくに含まれる食物繊維によって老廃物が排出されて、結果的に肌の調子がよくなる効果は期待できるでしょう。
なお、植物性エストロゲンについては初めて聞くという方も多いと思うので、もう少し説明していきましょう。
植物性エストロゲンとは
植物性エストロゲンは、有名なものですと大豆イソフラボンがあります。体内で女性ホルモンであるエストロゲンと同じ様な作用をすることから、植物性エストロゲンと呼ばれています。
ホルモンバランスによる乱れを整えて自律神経を安定させる働きが期待できるので、とくに更年期障害で悩んでいる女性にオススメです。
参考記事:大豆の栄養価は高い!~子どもにも大人にも嬉しい成分が豊富~
生と加熱、どちらが効能を活かせる?
いちじくは生と加熱して食べるのとどちらが効能を活かせるかといいますと、ずばり生です。
いちじくに含まれているカリウムやペクチン(水溶性食物繊維)は、加熱する際に水に溶けだして流れ出てしまう性質を持っているので、いちじくの栄養素を意識して摂りたいのであれば生のまま食べることをオススメします。
いちじくを乾燥させると栄養成分は変わるのか
いちじくを乾燥させたドライいちじくは、水分を飛ばすことでミネラルや食物繊維が凝縮されるので、同じ量の生のいちじくを比べると栄養価が高くなります。
しかし、その分カロリーや糖質も高くなるので食べすぎには気をつけたいところです。
いちじく(生) | いちじく(乾燥) | |
エネルギー | 57kcal | 272kcal |
糖質 | 11.0g | 62.7g |
食物繊維 | 1.9g | 10.7g |
カリウム | 170mg | 840mg |
カルシウム | 26mg | 190mg |
※100gあたり |
参考記事:プルーンの栄養は美容と健康にオススメ!~栄養を効果的にとる食べ方も解説~
血糖値が気になる方もドライいちじくは食べてOK?
ドライいちじくの糖質は高いので、血糖値が気になる方は控えた方がよいでしょう。
どうしても食べたい場合は、主治医や管理栄養士に相談することをオススメします。
参照記事:【医師監修】糖尿病に果物は良い悪い?血糖値をあげにくいフルーツの食べ方を紹介
いちじくの食べすぎに注意
いちじくに含まれる水溶性食物繊維のペクチンは、便秘解消に効果的です。一方で、食べすぎると下痢症状をきたす可能性があります。
とくにドライいちじくには食物繊維が豊富に含まれているので、食べすぎに注意しましょう。
糖質制限中やダイエット中はどうか
いちじくを糖質制限中やダイエット中に食べる場合は、間食として1日1~2個にしましょう。
いちじくに含まれる食物繊維やカリウムは、ダイエットの敵でもある便秘やむくみに効果的です。
しかし、ダイエット中の間食は100kcalが目安となります。いちじく1個(約80g)あたりは46kcalですので、2個程度が適量といえます。
健康に効果的!いちじくを使ったレシピの紹介
いちじくの簡単なレシピを紹介します。
【いちじくと生ハムとチーズのサラダ】
・いちじく 2個
・生ハム 6枚
・ベビーリーフやブーケレタス 50g
・カッテージチーズ 適量
・ミックスナッツ 適量
【ドレッシング】
・オリーブオイル 大さじ1
・レモン汁 2〜3滴
・酢 大さじ1
・塩 ひとつまみ
・ブラックペッパー 少々
【作り方】
①ドレッシングは混ぜておく
②いちじくは皮を剥いて一口サイズにカットし、生ハムを巻く
③お皿に野菜を並べ、上から生ハムを巻いたいちじく、カッテージチーズ、砕いたミックスナッツを散らす
④ドレッシングをかけて完成
まとめ
以上、いちじくには食物繊維やカリウム、カルシウム、またフィシン(たんぱく質分解酵素)など他の果物にはない体に嬉しい栄養素も含まれていることがわかりましたね。
生のいちじくの旬は8〜10月と短いこともあり、他の果物に比べ食べる機会も少ないかと思われます。ぜひ旬の時期には、いちじくを食べてみてくださいね。
それでは当記事が参考となり、いちじくの効能を活かしていただければ幸いです。
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参考文献
文部科学省 食品成分データベース
NHK出版 からだのための食材大全
薬膳と漢方の食材小辞典 日本文芸社
厚生労働省 食物性エストロゲン 大豆イソフラボン