糖尿病でも焼き芋を食べていいの?~血糖値への影響を管理栄養士が解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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寒くなると無性に食べたくなる焼き芋。空前の焼き芋ブームも相まって、専門店だけでなくコンビニやスーパー、ドラックストアなど今やどこでも手に入るようになりました。
濃厚な甘さから「天然のスイーツ」ともいえる焼き芋ですが、糖尿病の方はカロリーや糖質が気になってしまい安心して食べられないですよね。
そこで今回は、糖尿病の方が焼き芋を食べてもよいのか、管理栄養士が解説します。
糖尿病にオススメしたい焼き芋の栄養についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
糖尿病の人が焼き芋を食べてもいいのか
結論を申し上げますと、糖尿病の方であっても焼き芋は食べられますよ。
糖尿病と診断されると、甘いものを食べてはいけないと考える方がいらっしゃいます。
たしかに、糖尿病の治療では食事管理が重要です。カロリーや糖質などの目安量を個々人に合わせて設定しているので、それを超えないためにもお菓子などのし好品を控えたほうがよいでしょう。
ただし量や頻度を工夫することで、食べてはいけないと思いこんでいたものも食べられるようになります。
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食物繊維が糖尿病の人にオススメなワケ
焼き芋は糖尿病の方に摂っていただきたい栄養素である「食物繊維」を含んでいるので、ケーキやお饅頭よりもオススメですよ。
食物繊維には水に溶けやすい水溶性と、水に溶けにくい不溶性の2種類があります。
とくに水溶性食物繊維は糖尿病の方に役立つ働きが2点あるのでご紹介します。
①血糖値の上昇を穏やかにする
水溶性食物繊維は、水を含むとゼリー状に変化します。すると、糖を包み込んで小腸からの吸収を遅らせます。この働きにより、食後血糖値の上昇が緩やかになるのです。
お菓子のように甘い焼き芋ですが、もとは低GI食品であるさつまいもなので、甘いものを食べたいけど我慢しているという方にはピッタリですね。
②コレステロール値の低下が期待できる
水溶性食物繊維は、糖だけでなくコレステロールにもアプローチします。ゼリー状になった水溶性食物繊維が余分なコレステロールを吸着して体の外へ出してくれるので、コレステロール値の低下が期待できるのです。
血中コレステロールが高い状態を放置すると、動脈硬化や心筋梗塞などになりやすいといわれています。
糖尿病の方は、糖尿病ではない方に比べて心血管疾患になる確率が非常に高いため、血糖値だけでなくコレステロール値も注意しなければならないのです。
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食べる量には要注意
たしかに焼き芋に含まれる食物繊維は糖尿病の方に必要ですが、たくさん摂りたいからといって大量に食べてしまうと、カロリーや糖質を摂りすぎて血糖管理に悪影響を及ぼすことも。
先ほども申し上げましたが、食事管理は糖尿病治療の基本です。
さらに、インスリン投与をしている方は食べる量が多くても少なくても、血糖管理に影響します。焼き芋などカロリーや糖質が高い食品は、かかりつけ医や栄養指導を受けている管理栄養士によく相談してから食べましょう。
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どれくらいなら食べてよいのか
食べる量については、1日に摂ってよいカロリーや糖質量が異なるため、全員が同じ量にはなりません。ただし、目安として1日1/2本までにするとよいでしょう。
糖尿病の方が食事管理を行う際に役立つのが「糖尿病食事療法のための食品交換表(以下、食品交換表)」というものです。
食品交換表では、食品をカロリーではなく「単位」で計算します。1単位は80kcalです。
そして食品は米や芋類、肉や魚など6つのグループに分類しています。1日あたりの摂取カロリーを単位で表し、6つのグループに当てはめてグループ内で食材を置き換える際に活用します。カロリーでみるよりもわかりやすく、糖尿病の方が食事管理を続けられるよう工夫されているのです。
さて、食品交換表で焼き芋のもとであるサツマイモは米や芋類のグループに入ります。つまり、焼き芋を食べたらごはんの量や他に使う芋類を減らす必要があるのです。
さつまいも1単位は皮つきで約70g(1/2本くらい)で、ご飯1単位は約50g(小さめの茶碗1/2杯くらい)に相当します。仮に焼き芋1本を食べてしまうと、人によっては1食分のご飯を減らさなくてはなりません。
3食ともに主食、主菜、副菜をそろえて食事バランスを整えるためにも、焼き芋は1日1/2本までとしましょう。
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毎日食べると血糖値に影響する?
必ずしも、焼き芋を毎日食べたからといって血糖値に悪影響を及ぼすではありません。毎日間食にお菓子を食べている方は、焼き芋に変えることで食物繊維を補えるため、血糖値の急上昇を防げる可能性もあります。
ただし、先ほども触れた通りいつもの食事や間食に加えて焼き芋を食べ続けると、毎日カロリーや糖質がオーバーしてしまうため、長期的に見ると高血糖が続くことも。
そのため、焼き芋を食べる時は間食の置き換えや、他の糖質摂取源となるごはんなどを減らす工夫が必要です。
まとめ
糖質量の多い焼き芋ですが、量に気を付ければ糖尿病の方でも食べられることがおわかりいただけたでしょうか。
摂取カロリーの違いなど個人差はありますが、食べる量は食品交換表より1日1/2本を目安にするとよいですよ。
焼き芋には、糖尿病の方が積極的にとっていただきたい食物繊維が含まれているので、食べすぎないように注意しながら、食事に取り入れていただければと思います。
それでは、当記事でお伝えしたことが食事管理を頑張るあなたの参考になれば幸いです。
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参考文献
日本糖尿病学会編・著 糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版
文部科学省 食品成分データベース