カニに栄養はあるの?~知られざる健康効果や種類別の特徴を解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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カニは、言わずと知れた高級食材です。
カニの美味しさを求めて食べる方がほとんどで、栄養を気にしている方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか?
ところが上品な味わいのカニは美味しいだけではなく、健康によい食材でもあるのです。
そこで今回は、普段意識する機会の少ない「カニの栄養」についてご紹介していきます。
カニ味噌やかにかまなど気になる食材の栄養についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
カニの栄養と効能
ここではカニの特筆すべき栄養素、3種類について解説していきます。
抗酸化作用をもつアスタキサンチン
1つ目は「アスタキサンチン」です。
カニの赤色は、アスタキサンチンという天然色素によるものです。
アスタキサンチンは単なる赤色の色素ではなく、強い抗酸化作用を持ちます。
そのためアスタキサンチンは、体内で過剰になると細胞を傷つけてしまう活性酸素の働きを抑えてくれるのです。
その結果、アスタキサンチンには美肌の維持や、動脈硬化などの病気を予防する効果が期待できます。
コレステロールの減少を助けるタウリン
2つ目は「タウリン」です。
タウリンはたんぱく質が分解される過程でできる、アミノ酸に似た物質です。
そして、タウリンは体内のコレステロールを減らしたり、肝臓の機能を高めたりします。
なおタウリンは人の体内でも作られますが、必要量に満たない分を食品から取り入れなければいけません。
ちなみにコンビニやドラックストアで目にする栄養ドリンクにも、タウリンが配合されているものもありますよ。
五大栄養素のひとつのたんぱく質
3つ目は「たんぱく質」です。
カニは、私たちの体を作るために重要な「五大栄養素」の1つであるたんぱく質を含みます。
たんぱく質は、筋肉や臓器のもととなる栄養素です。
さらにホルモンや酵素など体を調節する働きもあり、私たちが生きていくためにたんぱく質は欠かすことができません。
五大栄養素って?
そもそも五大栄養素とは、食品に含まれる下記5種類の栄養素のことです。
栄養素 | 働き |
たんぱく質 | 筋肉や臓器など体を作るもととなる |
脂質 | 主にエネルギーのもととなる |
炭水化物 | エネルギー源となる糖質と、体内で消化できない食物繊維に分けられる |
ビタミン | 体の機能を正常に保つ |
ミネラル | 体の機能を調節する |
カニはたんぱく質のほかにビタミンB群や、亜鉛・銅などのミネラルも含みます。
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カニの種類によって栄養は異なるのか
カニに含まれる栄養は、種類によって大きな違いはありません。
したがって栄養を気にして種類を選ぶよりも、好みのカニを存分に楽しんでくださいね。
ここからは、代表的なカニの特徴についてご紹介していきます。
タラバガニ
英語で「キングクラブ(カニの王様)」と呼ばれるタラバガニは、実のところヤドカリの仲間です。
通常のカニははさみを除いた足の数が8本であるのに対し、タラバガニは6本しかありません。
そんなタラバガニは北海道を代表する水産物の1つで、1kg6000円前後と高級な食材です。
またタラバガニの寿命は30年以上で最大重量11kgと、とても大きいカニです。
食べ応えのあるタラバガニは一般的に茹でて食べますが、刺身や焼きガニとしても楽しめます。
ズワイガニ
ズワイガニの特徴は雄が大きく、雌は小さいことです。
そのためオスとメスは分けて市場に出回ります。
ちなみに越前ガニや松葉ガニといったブランド化されたものは、オスのカニです。
甘味のあるズワイガニは鮮度が高ければ刺身でも楽しめますが、蒸しガニやカニ鍋など加熱料理が一般的です。
またズワイガニは、缶詰などの加工品にも活用されます。
毛ガニ
毛ガニはオスとメスで甲羅の形が異なります。
・オス:縦長の楕円形
・メス:円形で膨らみがある
現在、資源確保のためメスは漁獲禁止になっていますので、市場に出回るのはオスの毛ガニのみです。
毛ガニは身肉の味が良く、塩ゆでするだけで美味しく食べられます。
カニ味噌やかにかまの栄養はどうか
さっそく、ズワイガニとカニ味噌、かにかまの栄養を比べてみましょう。
※100gあたり | カロリー(kcal) | たんぱく質(g) |
ズワイガニ | 59 | 13.9 |
カニ味噌 | 243 | 14.9 |
かにかま | 89 | 12.1 |
上の表から、カニ味噌のカロリーが圧倒的に高いことがわかりますね。
カニ味噌は、カニの内臓の一部です。
カニの身肉は水分が多く脂質はほとんど含まれませんが、カニ味噌は身肉に比べて水分が少なく脂肪も含むためカロリーが高めです。
その分、カニ味噌は身肉よりも濃厚な味わいが楽しめます。
またスーパーでよく目にするかにかまとは、かに風味かまぼこのことです。
つまりカニの加工品ではなく「カニのようなかまぼこ」ですから、魚のすり身を主原料としています。
なお、かにかまも一般的な食品の中ではたんぱく質が多めです。
さらに、かにかまにはカニのような食感や色味が楽しめて、生食できる魅力があります。
かにかまは手ごろな価格で販売されていますので、カニの代用品として楽しめます。
ただし、かにかまは普通のカニに比べて塩分が高いので、食べる量を少な目にしたり味付けを工夫したりしましょう。
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カニはダイエット中に食べていいの?
カニは、ダイエット中でも食べられます。
なぜなら、カニは低カロリーかつ高たんぱく質の食材だからです。
ダイエットを成功させるためには
・筋肉をつけること
が大切です。
筋肉が増えると基礎代謝(※)が上がり、痩せやすい体につながります。
(※)基礎代謝とは、生きるために最低限必要なエネルギーのこと。
たんぱく質は筋肉のもととなる栄養素ですから、ダイエット中も十分に補いたいですね。
ちなみに高たんぱくな食材には、肉や魚、卵が挙げられます。
しかし肉の部位や魚の種類によっては、脂質が多くカロリーの高いものもあります。
一方カニは、卵よりも低カロリーで高たんぱく質です。
したがって、カニはダイエットに活用しやすい食材と言えますね。
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カニの栄養がないと噂される理由
カニは一般的な食材に比べて食べられる部分が少ないため、栄養がないと噂されることもあるようです。
たしかにカニは、全体重量の30%程度しか食べるところがありません。
しかしすでにお伝えしているように、カニの身肉には
・たんぱく質
・アスタキサンチン
・タウリン
などさまざまな栄養を含みます。
つまりカニの食べられる部分には栄養がたくさん含まれますから、安心して楽しんでくださいね。
まとめ
以上、カニの栄養についてご紹介しました。
カニの身肉には
・アスタキサンチン:美肌の維持、動脈硬化などの病気を予防
・タウリン:体内のコレステロールを減らす、肝臓の機能を高める
などさまざまな栄養が含まれます。
カニに含まれる栄養は、種類によって大きな違いはありませんから、好みのカニを存分に楽しんでくださいね。
それでは当記事が、カニの新たな魅力を知るきっかけとなれば幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 e-ヘルスネット
国立研究開発法人 水産研究・教育機構 おさかな瓦版No.12 ズワイガニ
31.ケガニ
国立研究開発法人水産研究・教育機構 かにみそ