アスパラガスの栄養成分と効能~種類ごとの栄養素の違いも詳しく解説~

当記事を監修した専門家:管理栄養士・調理師 前間弘美、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください)
特徴的な見た目とは裏腹に、くせのない味と食感が特徴のアスパラガス。サラダやおかずなど様々な場面で使われています。
ちなみにアスパラガスの旬は春から夏であるものの、ハウス栽培が行われているのもあり、年中見かけることができます。
では今回は、アスパラガスの栄養素と特徴について解説します。種類ごとの特徴についても詳しくお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
アスパラガスの栄養成分と効能効果
アスパラガスに豊富な栄養素には、葉酸、βカロテン、アスパラギン酸、ルチン、カリウムがあります。では、それぞれの栄養素の機能や特徴について順に解説していきます。
細胞や血液を作る葉酸
葉酸はビタミンB群に分類される栄養素の一つです。主な働きはDNAや赤血球を作る手助けを行うことです。
アスパラガスに含まれている葉酸は、茹でた緑色のもので100gあたり180μgと、野菜類の中では多い方になります。
実は葉酸は、妊婦さんが特に注意して摂取すべき栄養素です。というのも、葉酸はDNAが作られる時に使用されるため妊婦さんの体に必要だからです。
葉酸が不足すると、生まれてくる子どもが脳や脊柱に異常を持って生まれてくるリスクが上がってしまいます。したがって特に妊娠を考えている方は、積極的に葉酸を摂るようにしましょう。
参考記事:妊娠糖尿病とは〜胎児への影響・予防・食事までをシンプルに解説〜
抗酸化作用のあるβカロテン
βカロテンには、抗酸化により活性酸素の発生や働きを抑える作用があります。活性酸素は適量であれば私たちの体に必要ですが、増えすぎると動脈硬化や老化の原因となる可能性もあります。
ちなみに、βカロテンは緑黄色野菜に多く含まれる栄養素です。
緑黄色野菜は「原則として可食部100g当たりカロテン含量が600μg以上の野菜」という基準が厚生労働省により決められています。
ただし、アスパラガスは可食部100g中のカロテン含有量が実際には600μg未満であるものの、一般的に食べる回数や量が多いため、緑黄色野菜に分類されています。
またβカロテンは、体内でビタミンAに変換されるためビタミンAの仲間です。ビタミンAの役割は、免疫力を高めることや目や皮膚の健康を守ること、暗い所でも視力を保つことなどです。
ビタミンAが不足すると皮膚や粘膜が乾燥しやすくなったり、暗い所で目が見えにくくなります。ぜひ緑黄色野菜を積極的に食べて、βカロテンやビタミンAを摂取するようにしましょう。
エネルギーを作り出すサポートをするアスパラギン酸
「アスパラギン酸」と「アスパラガス」。なんだか名前が似ていますね。実はアスパラギン酸はアスパラガスの汁から発見されたため、アスパラギン酸と呼ばれています。
そんなアスパラギン酸の正体はアミノ酸です。アミノ酸とはたんぱく質の構成成分で、体を動かすためのエネルギーになるほか、臓器や髪の材料です。
また、アスパラギン酸は糖質からエネルギーを作る時の手助けもします。
そしてアミノ酸であるアスパラギン酸はアスパラガスのうま味のもとになります。うま味は甘み、苦味、塩味、酸味と並んで五味の一つなので、美味しさの要因とも言えますね。
しかしアスパラギン酸を食事やサプリメントなどを通して、より多く摂取した場合に得られるさらなる健康効果についてはまだ根拠がありません。よって疲労回復などがうたわれていますが、正直なところまだ分からないということになります。
血管の健康を保つのに役立つルチン
ルチンとは、抗酸化物質であるポリフェノールの一種です。抗酸化物質の作用は動脈硬化やしみ、しわの原因である活性酸素を取り除くことです。
またルチンには高血圧を予防したり、毛細血管を強くする効果が期待されています。ちなみに、ルチンはアスパラガス以外にも、そばに多く含まれています。
高血圧の予防・改善に効果的なカリウム
カリウムはナトリウム(塩分)を体の外へ排出すること、神経の伝達や筋肉の収縮に関わることが主な働きです。
なお、ナトリウムは摂り過ぎると高血圧やむくみの原因になります。
カリウムは、塩分を摂り過ぎている日本人にとってありがたい機能を持っているのです。ちなみに、野菜類や果物類がカリウムの多い食材となります。
アスパラガスにはどんな種類がある?
ここまでアスパラガスに含まれる栄養素について解説してきました。
さて話が変わりますが、アスパラガスにはスーパーなどでよく見かける緑色のもの以外に、種類があることをご存じでしょうか?
具体的にはホワイトアスパラガス、紫アスパラガス、そしてミニアスパラガスなどがあります。
ホワイトアスパラガス
ホワイトアスパラガスは緑色のアスパラガスと同じ種類ですが、日があたらないように土の中で育てて白くしたものを指します。
太くて皮が固いこと、またほろ苦さがあるもののくせのない味が特徴となっています。
紫アスパラガス
紫アスパラガスもその名の通り紫色をしたアスパラガスです。紫色の要因はアントシアニンという物質です。アントシアニンは先ほどご紹介したルチンと同じく抗酸化物であるポリフェノールの一種で、高血圧の予防などに期待されています。
ミニアスパラガス
ミニアスパラガスとは、通常の緑色のアスパラガスを早い段階で収穫したものです。見た目は小ぶりなアスパラガスといったところで、軟らかいのが特徴です。
栄養面の違い
普段よく見かける緑色の種類に加えて3種類のアスパラガスをご紹介しました。
では、どのアスパラガスが最も栄養が豊富で、種類ごとに栄養素の違いはあるのでしょうか。
結論から申し上げますと、日光をしっかりと浴びて育った緑色のアスパラガスが最も栄養価が高く、特にビタミンが豊富です。
一方、ホワイトアスパラガスは日光を浴びていない分、緑色のものよりも栄養が少なめです。
そして紫アスパラガスには、アントシアニンが含まれているので、他の種類では得られない「抗酸化作用」が期待できます。
最後にミニアスパラガスは、アスパラガスを早く収穫したものなので、通常の緑色のものと大きな違いはありません。
このように、4種類のアスパラガスは見た目や栄養素に特徴があります。料理や摂りたい栄養素に合わせて、選ぶと良いでしょう。
アスパラガスの食べ過ぎは体に悪いのか
アスパラガスをたくさん食べても体に害はありません。
しかしアスパラガスに限らず、一つの食材だけ食べ続けると不足する栄養素もあります。したがってアスパラガスだけを食べ過ぎると栄養が偏る可能性も。
健康のためには、様々な食材を使ってバランスの取れた食事を心がけましょう。
新鮮なアスパラガスの選び方
アスパラガスは野菜類の中でも鮮度が落ちやすいです。そのため、鮮度の高いアスパラガスを購入する必要があります。
新鮮なものを選ぶポイントは
・濃く鮮やかな緑色をしている
・まっすぐで太い
・穂先がしまっている
・切り口がみずみずしい
となります。購入する際の参考にしてくださいね。
鮮度を保つ保存方法
先ほどもご紹介したようにアスパラガスは鮮度が落ちやすい野菜です。
では、どのように保存すれば鮮度をキープすることができるのでしょうか。
アスパラガスは中の水分が抜けやすいので、濡らしたキッチンペーパーやポリ袋に入れて野菜室で保存するようにしましょう。
また鮮度の関係上、早く食べきるほうがよく、目安は2〜3日です。
注目!アスパラ菜ってなに?
アスパラ菜は「アスパラ」という名前がついていますが、アスパラガスの仲間ではありません。
実際は「オータムポエム」という野菜で、アスパラガスに風味や歯ごたえが似ているのでアスパラ菜と呼ばれています。
アスパラガスと同様に甘みがあり、炒めものからパスタまで様々な料理に使うことができます。
【管理栄養士考案】絶品!アスパラガスレシピ
それでは、アスパラガスのキレイな緑色を活かした、彩りのよいレシピをご紹介します。
お肉やカボチャを使うことで、食べ応えのある1品に仕上げました。
・アスパラガス 4本
・カボチャ 100g
・ひき肉 100g
・顆粒だし 小さじ1
・醤油 小さじ2
・ラカント 小さじ1
・料理酒 小さじ2
・片栗粉 5g
【作り方】
①カボチャは一口大に切り、面取りをしておく。アスパラガスはピーラーで固い部分を取り除き3cmに切る。
②鍋にカボチャと顆粒だしを入れ、カボチャが浸るくらいの水で柔らかくなるまで茹でる
③一旦カボチャを取り出し、ひき肉・醤油・ラカント・料理酒を鍋に入れ中火にかける。ひき肉をそぼろ状にし、アクを取り除く。
④肉に火が通ったらアスパラガスを入れる。
⑤アスパラガスに火が通ればカボチャを鍋に戻し、片栗粉と同量の水で溶かした水溶き片栗粉を加える。
⑥とろみがついたらできあがり。
まとめ
以上、アスパラガスの栄養について解説してきました。まとめますと、
・アスパラガスに豊富な栄養素は葉酸、βカロテン、アスパラギン酸、ルチン、カリウムである
・日光をよく浴びて育った緑色ものが特に栄養豊富である
となります。
様々な料理に使いやすいため、口にする機会の多いアスパラガスは栄養豊富なことが分かりましたね。それでは、当記事があなたの食生活のお役に立てれば幸いです。
参考文献
・JICA 母子保健改善のための微量栄養素欠乏に関する援助研究
・文部科学省 食品成分データベース
・e-ヘルスネット たんぱく質 カリウム 抗酸化物質
・健康長寿ネット ビタミンAの働きと1日の摂取量
・国立健康開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報
・北海道医療センター 腎臓病の話 カリウムについて(2)
・JAグループ グリーンアスパラガス アスパラ菜 ナバナ(菜花)
・野菜ナビ アスパラガス
・独立行政法人農畜産業振興機構 野菜ブック
・JAさが 野菜・アスパラガス