長芋の栄養にはどんな効能があるの?~効果的な食べ方やレシピも紹介~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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しゃきしゃき、ホクホク、とろとろと、調理法によってさまざまな食感を楽しめる長芋。
栄養価が高く「山うなぎ」と呼ばれるほか、中国では「山薬(さんやく)」とも呼ばれ滋養強壮の漢方薬に配合されています。
そんな長芋は主に11~12月に収穫されますが、貯蔵性が高いため1年を通して楽しめる食材です。
そこで今回は長芋の栄養素と効能について詳しく解説します。長芋の効能を活かしたレシピもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
長芋の栄養素と効能
長芋は栄養価が高く消化が良いため、古くから滋養強壮の野菜として親しまれています。とくにビタミンB1、ビタミンC、食物繊維、カリウムが比較的多く含まれており効能は以下の通りです。
ビタミンB1で疲労回復
まずビタミンB1ですが、糖質をエネルギーに変換する際に必要な栄養素で疲労回復に役立ちます。そのため糖質を多く摂取する人や、運動量が多い人はより多くのビタミンB1が必要です。
またビタミンB1は熱に弱いという特徴があるため、長芋のように生のまま食べられる食材ですと効率よく摂取できます。
ビタミンCが抵抗力を高める
次にビタミンCですが、ストレスや病気に対する抵抗力を強めます。さらに抗酸化作用もあるため動脈硬化の予防が期待されています。
またビタミンCは水に溶けやすい栄養素です。ビタミンCを積極的に取りたい時は、長芋をさっと洗って食べるとよいでしょう。
食物繊維は腸内環境を整える
食物繊維には水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」があり、効能は以下の通りです。
・水溶性食物繊維:栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を穏やかにする
・不溶性食物繊維:水分を吸収して便のカサを増やすため、便秘の解消に効果的
ちなみに長芋には水溶性食物繊維、不溶性食物繊維どちらも含まれています。
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カリウムで高血圧予防
カリウムは私たちの体の中の余分なナトリウム(※塩分)排泄を促進するため、むくみの解消や高血圧予防に効果的です。塩分の摂り過ぎや血圧が気になる方は積極的に摂りたい栄養素ですね。
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長芋を加熱すると栄養は変わるの?
長芋には消化酵素が含まれているのですが、熱に弱いという特徴があるため加熱することで機能を失ってしまいます。
消化酵素は主に、
・たんぱく質を分解する酵素
・脂質を分解する酵素
の3種類がありますが、長芋に含まれるものは「でんぷんを分解する酵素」です。
(※)でんぷん:炭水化物の一種でご飯などの主食に多く含まれる
切り方で栄養成分は変わるのか
長芋の切り方によって栄養成分が大きく変わることはありませんが、切った長芋は時間が経つと赤黒く変色します。
これは長芋に含まれるポリフェノールが酸化するためです。長芋の変色を防ぐには、切った長芋を酢水に浸すとよいでしょう。
生と加熱、どちらが健康に効果的か
すでにお伝えしているように、長芋の消化酵素は熱に弱いため、消化作用に期待する場合は生で食べたほうがよいでしょう。
疲れているときや内臓が弱っているときには、生の長芋をすりおろして食べる方法がオススメです。
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毎日食べると健康に悪い?
長芋は毎日適量を食べる分には、健康に悪くありません。とはいえ、食べ過ぎには注意が必要です。長芋は100gあたり64kcalと一般的な食品の中では低カロリーですが、食べ過ぎるとカロリーの過剰摂取に繋がり、肥満の原因となってしまうからです。
特にすりおろしてとろろにすると口当たりもよく、するすると食べ進められますので「1日100gまで」などの目安量を決めて食べるとよいでしょう。
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生の長芋が危険といわれる理由
じゃがいもやさつまいもなど、芋類には生の状態では消化されにくいでんぷんが含まれるため、生のまま食べると消化不良による腹痛や下痢などを起こす場合があります。
しかし長芋には、でんぷんを分解するアミラーゼなどの消化酵素が多く含まれているため、生で食べても消化によいので芋類の中では珍しく生で食べられます。
生の長芋は危険ではないので、安心して食べられますよ。
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簡単!栄養満点の長芋レシピを大公開
消化の良い長芋と鉄分豊富なマグロを使った、食欲のない時でも食べやすい「まぐろの山かけ」をご紹介します。
・まぐろ 50g
・長芋 50g
・酢 大さじ1/2
・かつお節 ひとつまみ
・刻み海苔 少々
・醤油 少々
・わさび 少々
【作り方】
①皮をむいた長芋をボールに入れ、長芋が浸かるくらいの水と酢を加えたら10分程度おく。
②すり鉢で鰹節をすりおろす。
③①の山芋を流水で洗い、水気を切ったら②のすり鉢ですりおろす。
④まぐろを食べやすい大きさに切り、器に盛り、③をかける。
⑤お好みで刻み海苔、醤油、わさびをかけたら完成。
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まとめ
以上、長芋は栄養価が高く、ビタミンB1、ビタミンC、食物繊維、カリウムが含まれているとわかりましたね。
そして長芋の栄養素には疲労回復や病気に対する抵抗力を強めるだけでなく、「血糖値の上昇を穏やかにする」「血圧を下げる」といった生活習慣病の予防にも役立つ効能があることもおわかりいただけたと思います。
また長芋に含まれる消化酵素は熱に弱いため、消化作用を期待する場合は生で食べることをオススメします。生の長芋を切った後の変色が気になる方は酢水に浸してみるとよいでしょう。
ご紹介した栄養満点のレシピもぜひお試しください。
それでは当記事を参考に、栄養価の高い長芋を取り入れて健康をサポートしていただければ嬉しいです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や体重、運動や食事の記録がカンタンにできます。日々の血糖コントロールにてぜひ活用してみてくださいね。
参考文献
独立行政法人農畜産業振興機構 今月の野菜 やまのいも
JAきたみらい 長芋
全国農業協同組合連合会青森県本部 よくある質問
文部科学省 食品成分データベース