梅干しの栄養と健康効果とは?~1日何個まで食べてよいのかも解説~

当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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昔ながらの保存食である梅干し。
梅干しを見るとよだれが出てしまうのは条件反射によるものですが、見ただけで味が想像できるくらい、親しみのある食べ物ですよね。
さて、梅干しには以前からさまざまな効果があると噂されていますが、それは本当なのでしょうか?
今回は、梅干しの栄養を紐解きながらその効果についてご紹介します。
また、塩分を控えるために梅干しは食べないという方も多いかと思います。毎日食べるとどうなるのか?1日何個まで食べてもよいのかについても触れますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
梅干しの栄養と効能
梅干しの栄養成分について、今回は
・クエン酸
・ポリフェノール
の4つを取り上げてご紹介します。
ナトリウム
塩分を構成する成分であるナトリウムは、体のミネラルバランスを維持するうえで欠かせない栄養素です。また、胆汁や膵液、腸液といった分泌液の材料としても使われます。
一方、ナトリウムの摂りすぎは血圧を上昇させ高血圧のリスクを高めます。
ちなみに、梅干しは基本の塩分濃度が18~20%なので、大きめの梅干し(約25g)には約4.5~5gもの塩分が含まれているのです。
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クエン酸
クエン酸は継続的に摂取することで、運動後の筋肉中に溜まる乳酸を減少させる効果が期待できるという研究報告があります。(※)
(※)Effect of timing of citrate drink ingestion on blood lactate removal
乳酸が筋肉に溜まると疲労感を感じやすくなるため、クエン酸の摂取は疲労回復に役立つといえるのです。
さらに、クエン酸には静菌作用が期待できるため、お弁当の食中毒予防にもオススメです。ただし、ご飯の上に梅干しをのせただけでは梅干しが触れている部分のみしか効果が期待できないため、梅干しを細かくしてご飯と混ぜると全体に行きわたりますよ。
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ポリフェノール
梅には抗酸化作用の強いポリフェノールが含まれており、梅の加工品である梅干しにも含まれます。
その効果は、動物実験によるものですが食後の血糖上昇抑制や高脂肪食を与えたマウスの体重、内臓脂肪、皮下脂肪の減少が報告されています。(※)
梅干しを毎日1個食べるとどんな効果があるのか
梅干しを毎日食べることで期待できる効果は以下の3つです。
・運動後の疲労回復に役立つクエン酸の補給
・抗酸化作用の強いポリフェノールの効果
さらに、食欲がないときに梅干しの酸味と塩味によってご飯が食べられる場合もあります。
自宅で食べる以外に、コンビニやスーパーのおにぎり、お弁当でも梅干しを食べられるので、比較的手軽に摂取してみてはいかがでしょうか。
梅干しを食べ過ぎるデメリットとは
梅干しの食べ過ぎは、塩分過多により高血圧を引き起こすリスクがあります。
というのも、冒頭でもお伝えしましたが大き目の梅干し1個(約25g)に含まれる塩分量は約4.5~5gです。
一方、適切な塩分量は1日あたり男性は7.5g以下、女性は6.5g以下が望ましいとされています。なお、高血圧を予防するための目安量は1日あたり6g未満とさらに少ないため、梅干し1個を食べてるだけでも1日の塩分目安の1/2以上を摂ってしまうのです。
高血圧は動脈硬化を進行させて、脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気の引き金となります。そのため、毎食梅干しを食べたり、1度に何個も梅干しを食べたりすることは避けたほうがよいでしょう。
1日何個まで食べていいの?
塩分の過剰摂取を防ぐためにも、梅干しは1日最大でも1個までとしましょう。
ただし、高血圧などにより塩分制限をしている場合は1/2個など量を減らします。
また、梅干しを食べる際は食事全体の塩分量を調節するため、味の濃い煮物のようなおかずからおひたしのような薄味のおかずへ変更するといった工夫が必要です。
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梅干しの種類と栄養の違い
最近では塩以外の材料を使用して、さまざまな梅干しが販売されていますね。このような梅干しを「調味梅干し」といいます。
普通の梅干しとの違いについてご紹介しましょう。
調味梅干し
調味梅干しの定義は以下の通りです。
梅干しを糖類、食酢、梅酢、香辛料等若しくはこれらに削りぶし等を加えたものに漬けたもの又は調味梅漬けを干したもの(しその葉で巻いたものを含む。)をいう。
※農産物漬物品質表示基準より
調味梅干しは、塩のみで漬け込んだ「梅漬け」を脱塩し調味液に漬けて干したものです。そのため、通常の梅干しよりも塩分量が少ないのです。
調味梅干しの普及の背景には、減塩志向の高まりによる梅干しの低塩化があります。
また、調味液に漬けるため酸味がおさえられたり、塩のみの梅干しにはないうまみも同時に感じられるのです。
酸っぱい梅干しが苦手、梅干しを食べたいけど塩分が気になる方は調味梅干しを選んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
梅干しの栄養とその効果は以下の3つです。
・クエン酸による運動後の疲労回復効果と食中毒予防
・ポリフェノールによる抗酸化作用
梅干しはさまざまな効果が期待できる反面、塩分が多いため食べるとしても1日最大1個までとしましょう。食べ過ぎると塩分過多による高血圧の原因となるため、注意が必要です。
なお、昔ながらの梅干しを脱塩し調味液に漬けた調味梅干しは、酸っぱい梅干しや塩分が気になる方にオススメです。ぜひ一度味わってみてください。
それでは、当記事が皆さんの健康のお役になれば幸いです。
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参考文献
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2025年版
Effect of timing of citrate drink ingestion on blood lactate removal
梅干し中の有機酸及びアミグダリン関連物質の抗菌作用
大江孝明 有用成分に基づく梅加工品づくり
農林水産省 義務付け品目の品質表示基準
吉田 誠 ウメ加工品の加工方法と品質