栄養ドリンクって本当に効果があるの?~飲み方や選び方を解説します~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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「疲れがなかなか取れない・・・」
「あとひと頑張りしたい!」
そんなとき頼りになるのが栄養ドリンクですね。
コンビニやドラックストアで手軽に購入できるため、誰しも一度はお世話になったことがあるはず。
ところで、栄養ドリンクの効果効能はさまざまのようですが、「本当に効くのかな?」と疑問に感じたことはありませんか?
今回は、普段何気なく飲んでいる栄養ドリンクの効果についてお伝えします。より効果的に飲むタイミングや、数ある栄養ドリンクから自分にあったものの選び方をご紹介しますよ。
栄養ドリンクとよく似ているエナジードリンクとの違いについても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
栄養ドリンクに含まれる成分と効果
栄養ドリンクとよばれているものの正式名称は「ビタミン含有保健剤」といい、おもにビタミンや生薬などの成分が含まれています。
ちなみに、栄養ドリンクは「指定医薬部外品」や「医薬品」に分類されます。これらの違いについては後ほどお伝えますね。
今回は多くの栄養ドリンクに含まれている成分とその効果についてご紹介しましょう。
筋肉疲労の回復が期待できるタウリン
栄養ドリンクの特徴として明記されることの多いタウリンですが、心臓や脳など私たちの体の重要な臓器にも存在するのです。
タウリンには以下のような効果が期待できます。
・心臓や肝臓の機能向上
・視力の回復
・インスリン分泌促進
・高血圧の予防
また、動物実験などでは長時間運動した後の疲労感を和らげる効果が期待できるという結果がでています。つまり、筋肉疲労の回復に役立つ栄養なのです。
そのため、肉体労働をする方にはオススメの栄養成分ですよ。
エネルギー作りに重要なビタミンB群
多くの栄養ドリンクに含まれている、ビタミンB1、B2、B6は、糖質や脂質からエネルギーを作る際に使われます。
疲労を感じる際の要因として「エネルギー不足」があげられ、ビタミンB群を補給すると効率よくエネルギーを生み出して体の「ガス欠状態」を防ぐことができます。
シャキッと覚醒作用のあるカフェイン
コーヒーに代表されるカフェインには、眠気を覚ますなどの覚醒作用があります。
もう少し詳しく説明すると、カフェインがアデノシンという物質の作用を邪魔することで、脳を覚醒状態にして目を覚ましたり、疲労を感じにくくするのです。
いつ栄養ドリンクを飲むとよいのか
基本的に栄養ドリンクはお好きなタイミングで飲むとよいでしょう。しいて言えば朝食後がオススメです。
先ほども触れたように、栄養ドリンクに含まれるビタミンB群は糖質や脂質をエネルギーに変える際に役立ちます。そのため朝食をしっかり食べた後に飲むと、エネルギー切れによる疲労の予防が期待できます。また、カフェイン入りのものなら目を覚ますのにもちょうど良いですね。
効果が持続する時間
効果が持続する時間についても、やはり個人差があるためはっきりとは提示しにくいのが事実です。
ただし、あえて具体的な数値をあげるのならば、約4時間ほどであるといえます。これは、カフェインの効果が持続する時間を目安としています。
カフェインによる覚醒作用を期待して栄養ドリンクを飲む方は、ある程度の目安になるでしょう。
寝る前に飲むと眠れなくなるってホント?
栄養ドリンクには覚醒作用のあるカフェインが含まれているため、寝る前に飲むと睡眠の質に影響がでるかもしれません。
一方で、最近では寝る前に飲んでも気にならないよう、カフェインが含まれていない栄養ドリンクも増えてきています。また、ビタミンB12には睡眠の質を良くする効果が期待できるため、ぐっすり寝て目覚めの良い朝を迎えられるでしょう。
栄養ドリンクの選び方
栄養ドリンクには、指定医薬部外品と医薬品があります。
いま自分がどのくらい疲れを感じているかによって、この2つから選ぶとよいですよ。
疲れを予防したいときは「指定医薬部外品」
指定医薬部外品は、かつて医薬品として登録されていたもので、法整備によりスーパーやコンビニなど、薬剤師がいない店舗でも販売できるようになりました。
その効果は、後に説明する医薬品よりも比較的緩やかで、安全性も問題ないとされています。
指定医薬部外品の栄養ドリンクに表記されている効果は以下の通りです。
・体力、身体抵抗力または集中力の維持・改善
・日常生活における栄養不良に伴う身体不調の改善・予防
(疲れやすい、疲れが残る、体力がない、身体が重い、身体がだるい)
・病中病後の体力低下時、発熱を伴う消耗性疾患時、食欲不振時、妊娠授乳期または産前産後等の栄養補給
効き目をしっかり実感したいときは「医薬品」
指定医薬部外品よりも効果をしっかり感じたい方は医薬品の栄養ドリンクがオススメですよ。
医薬品の栄養ドリンクには第2類と第3類の2種類があり、第2類の方が身体へ与える影響が大きいのです。
ちなみに、医薬品の栄養ドリンクに表記されている効果は以下の通りです。
・虚弱体質
・肉体疲労・病中病後・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患・産前産後などの場合の栄養補給
子供や高齢者も飲んでいいのか
通常市販している栄養ドリンクはおもに大人を対象としているため、高齢者の方は問題ありませんが子供は避けたほうがよいです。
なお、栄養ドリンクのパッケージには「小児(15歳以下)は服用しないでください」などと、子供の服用を控えるような文言が表記されています。
ちなみに、種類は限られますが小児向けの商品も販売しています。ただし、こちらも5歳~14歳を対象としているため、5歳未満の幼児は栄養ドリンクを飲まないほうがよいでしょう。
毎日飲むと栄養ドリンクは肝臓に悪いのか
用法用量を守れば、毎日栄養ドリンクを飲んでも肝臓に悪いとはいえません。
ただし、1日に何本も飲むなど用法用量を超えた摂取は、カフェインの摂り過ぎにより肝臓へダメージを与える可能性があります。
ほとんどの栄養ドリンクは1日1本までとなっているため、1本以上飲まないように気を付けましょう。
また、栄養ドリンクは糖質を多く含むものもあり、飲みすぎたり空腹時に急いで飲んだりすると、血糖値が急上昇する可能性もあります。
とくに血糖値が気になり始めた方は、ゆっくり栄養ドリンクを飲むよう心がけましょう。
【おまけ】栄養ドリンクとエナジードリンクの違いとは
栄養ドリンクとよく比較されるエナジードリンクですが、違いは分類と成分です。
若者を中心にブームとなったエナジードリンクは、ジュースなどと同じ清涼飲料水にあたるため、指定医薬部外品や医薬品にあたる栄養ドリンクとは分類が異なります。
また成分の違いでは、多くの栄養ドリンクに含まれるタウリンがエナジードリンクには含まれていません。
さらに、1本あたりに含まれるカフェインの量は、エナジードリンクの方が多い傾向にあります。エナジードリンクについても、1日に何本も飲むとカフェインの摂取過剰になるため、1日1本までを目安にするとよいでしょう。
まとめ
栄養ドリンクに含まれる成分には、以下の効果が期待できます。
ビタミンB群:効率よいエネルギー作りの手助け
カフェイン:疲労を感じにくくし、目を覚ます
また、栄養ドリンクには指定医薬部外品と医薬品のものがあります。指定医薬部外品は「疲れを予防したいとき」、医薬品は「効き目をしっかり実感したいとき」などの使い分けがオススメです。
ちなみに、具体的な効果の持続時間はわかっていませんが、カフェインの効果は約4時間とされているので、目安にするとよいでしょう。そして飲む量は1日1本まで、15歳以下は服用しないなど、用法用量を守って上手に活用しましょう。
それでは、当記事の情報があなたの健康に役立てば幸いです。
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参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット 一般用医薬品のリスク区分
J-Stage 運動時の疲労および運動後の疲労回復に対するタウリン摂取の効果 長時間運動における疲労とタウリンの可能性 経口タウリン摂取がヒトの筋力に及ぼす影響
食品安全員会 食品中のカフェイン
カフェイン コーヒーと茶の機能性と新たな展望,化学と生物(2021) Vol. 59, No. 4