卵は栄養バランス完璧な最強食材なの?~効能から効果的な食べ方まで解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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日本では古来から滋養強壮食品として重宝されてきた卵。
世界各国で食されているだけあって、和洋中どの調理方法においても美味しく食べられる万能食材です。
さて、卵はしばしば「最強の完全栄養食品」と言われます。それは、卵の栄養バランスが非常に優れているからです。
では、卵にはどのような栄養素が含まれているのでしょうか。
今回は、卵の栄養成分と効能効果の解説をはじめ、お手軽レシピのご紹介もしていきます。
それでは参りましょう。
目次
卵の栄養成分と効能
体の構成に必要なタンパク質
タンパク質は人間の体を作っている大切な成分です。
筋肉だけでなく骨や爪も主成分はタンパク質ですので、毎日摂り続ける必要があります。
市販の卵1個(Mサイズ・正味50g)に含まれるタンパク質は、なんと6.1gです。
参考までに、タンパク質の多いイメージがある木綿豆腐は3.5g(50gあたり)です。このように比較してみると、卵に含まれるタンパク質がいかに多いかおわかりいただけると思います。
身体維持に必要な脂質
脂質は摂り過ぎると肥満など健康を損ねることになりますが、人間にとって必要な栄養素です。
ちなみに卵に含まれる脂質はほとんど卵黄の中にあり、卵黄の約30%が脂質です。
なお、卵の脂質の中にはレシチンというリン脂質の一種が含まれています。リン脂質は人間の細胞膜(※)を構成する主な成分で、生命維持や脳機能などに深く関わっています。
また、リン脂質は動脈硬化や高血圧症の予防効果が期待されています。
※私たちの体を構成する細胞を包む膜のこと
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卵には脂質が多いって本当?
卵に含まれる脂質は多いのか、他の食品と比べてみましょう。
生卵…………………10.2g
牛肉(肩ロース)…37.4g
豚肉(肩ロース)…19.2g
鶏肉(もも)………14.2g
このように、卵の脂質は決して多くないとわかりますね。
卵黄には脂質が含まれているから…と、食べるのを避けてきた方も今日からは是非食べてくださいね!
美容や疲労に効果のあるビタミン
卵には脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの両方が含まれています。
脂溶性ビタミンとしては抗酸化作用のあるビタミンAやビタミンEによる、肌のシミやシワなどを予防する効果が期待できます。
また、卵には水溶性ビタミンであるビタミンB群も多く、疲労回復や皮膚を健康に保ってくれるのです。
身体活動をサポートするミネラル
卵には様々なミネラルが含まれていますが、中でもカルシウムや鉄分など、日本人に不足しがちな栄養成分が多い食品です。
身体活動をサポートするミネラルは、サプリメントなどの栄養補助食品からも摂取できますが、できることなら普段の食事から摂りたいですね。
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卵は最強?「完全栄養食品」と言われる理由
一般的に「完全栄養食品」とは、「厚生労働省が策定した『日本人の食事摂取基準』で定められた栄養素を過不足なく摂れるもの」と言われています(定義はありません)。
卵の構成成分を見ると、人に必要な栄養素が満遍なく含まれているため、世間では「卵は最強の完全栄養食品」と呼ばれることも。
完全栄養食品と呼ばれるもう1つの理由として、卵には良質なタンパク質が含まれていることも挙げられています。卵に含まれるタンパク質は、牛肉や牛乳よりも体に吸収されやすいことが分かっています。
また市販の〈完全栄養食品〉という名称が入った商品に共通してる点、それは手軽に食べられることです。
その観点で見ても、特に(ゆで卵)はスーパーやコンビニで簡単に手に入れられ手軽に食べられる食品です。
こうやって見てみると、卵には「完全栄養食品」と言えるだけの理由がバッチリそろっていますね!
卵だけでは足りない栄養もある
残念ながら、卵は全ての栄養素を摂れるほどパーフェクトな食材ではありません。
なぜなら、卵には食物繊維とビタミンCは含まれていないからです。これらの栄養成分は体にとって非常に重要なので、食事の際は野菜や果物を一緒に摂ることで補いましょう。
卵以外の完全栄養食品と呼べる食品
栄養価が高い食品は他にもたくさんあります。
しかし、卵ほど簡単に手に入れ食べられる食品は少ないでしょう。つまり、もっとも身近にある完全栄養食品はやっぱり卵というわけです。
生卵とゆで卵の栄養価に違いはあるの?
生卵もゆで卵も、栄養価の面からは大きな差がありません。
ゆで卵にすることで熱に弱い栄養成分はわずかに減りますが、ほとんど変わりません。ですので、お好みの食べ方で召し上がってくださいね。
ゆで卵を多く食べると筋力アップできる?
結論から申し上げますと、残念ながら今のところは、筋力アップと卵の個数に言及した研究結果はありません。
しかし、卵は筋トレに励む方々から絶大な信頼を集めているという事実もあります。
とくに卵の白身にはタンパク質が多く脂質が少ないので、積極的に白身のみを召し上がっている方も多いのではないでしょうか。とはいえ体の代謝の面から見ますと、必ずしもタンパク質の摂取量に比例して筋肉が増えるわけではありません。
実際に、筋力アップを目的としてタンパク質を意識的に多く摂取している方は、糖質と脂質を極端に控えているケースも。
ところが体は、糖質の摂取量が足りていないと、タンパク質を分解してエネルギー源として使います。つまり、タンパク質が本来の機能として働けなくなります。
そのうえ、使われなかったタンパク質は、脂肪として蓄えられることもあるのです。卵は、安価な上に良質なタンパク質が手軽に摂れる食品ではありますが適量摂取を心がけましょう。
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烏骨鶏(うこっけい)やうずらの卵の栄養価
わたしたちがいつも食べているのは鶏卵です。
一方で鶏卵と高級で有名な烏骨鶏の卵や、中華丼に入っているうずらの卵などとの違いは大きさだけでしょうか?ということで栄養価を下の表で確認していきましょう。
カロリー(kcal) | たんぱく質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) | |
鶏卵 | 142 | 12.2 | 10.2 | 0.4 |
烏骨鶏卵 | 154 | 12.0 | 13.0 | 0.4 |
うずらの卵 | 157 | 12.6 | 13.1 | 0.3 |
鶏卵と比べると、烏骨鶏卵とうずらの卵には脂質が多く含まれていることが分かります。
最近は手軽にタンパク質を摂取する目的で、間食にうずらの卵の水煮を食べる方が増えているようです。しかし表に示した通り、脂質が多いので食べすぎには注意しましょう。
卵+αで効果的な食べ方に
先ほど卵には食物繊維やビタミンCが含まれていないとお伝えしました。つまり、この2つを多く含む食材と卵を掛け合わせることで、本当の意味での「完全栄養食」になるのです。
では、どんな食材をくみあわせたらよいでしょうか。
食物繊維とビタミンC、それぞれを多く含み、かつ卵に合う食材をご紹介します。
食物繊維を多く含む食材 | ビタミンCを多く含む食材 |
きのこ類 ひじき 根菜類 | 芽キャベツ ブロッコリー ゴーヤ ほうれん草 |
【簡単】卵を使ったお手軽レシピをご紹介
卵に不足している食物繊維とビタミンCを一緒に摂れるレシピです!
【スクランブルエッグサンド(1人前)】
・卵 1個
・塩&胡椒 少々
・マヨネーズ 適量
・胚芽入りパン 1個
・バター 適量
・トマト(スライス) 1枚
・レタス 1枚
【作り方】
①卵を溶いて、塩・胡椒で味をつける
②マヨネーズを油代わりに使い、スクランブルエッグを作る
③トマトはスライスし、レタスは食べやすい大きさにちぎる
④トーストしたマフィンにバターを塗って、2と3をはさんで出来上がり
【ポイント】
マヨネーズを使うことで、卵がフワフワに仕上がります。
また、コショウを効かせると、塩味が薄くても美味しく食べられますよ。
まとめ
以上、卵の栄養と効能効果を解説しました。
卵には、人に必要な栄養素が満遍なく含まれていることから、完全栄養食品と言われています。
さらに、卵の栄養は
・食物繊維とビタミンCは含まれていないため、他の食品で補う必要がある
以上のような特徴があることもわかりました。
また、ゆで卵をたくさん食べた分だけ筋肉が増えるわけではないので、筋肉を増やした方は卵だけではなくご飯や肉、魚、野菜類などさまざまな食材を取り入れる工夫をしましょう。
卵はそのまま食べても良し、煮ても焼いても炒めても良しの食品です。その変幻自在な特長を活かし、毎日の食卓に登場させてあげてくださいね。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や体重、運動や食事の記録がカンタンにできます。日々の血糖コントロールにてぜひ活用してみてくださいね。
参考文献
厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版
厚生労働省 e-ヘルスネット リン脂質
女子栄養大学 栄養学科 実践栄養栄養学科 卵は食べ過ぎても大丈夫?
文部科学省 食品成分データベース
健康長寿ネット レシチン・コリンの効果と摂取量 三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量 ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量
日本卵業協会 タマゴと健康