クリニック開業支援企業について徹底解説!おすすめ企業も紹介!
執筆はライター下田 篤男(管理薬剤師・薬局経営コンサルタント)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください。
「クリニック開業を考えてるんだけど、何から手をつければよいのか・・・」
「コンサル以外に頼めるところはあるのかな」
このように、開業したいと考えていても、何から始めてよいかわからないし、どこに頼めばいいかもわからないという先生も多いのではないでしょうか。
クリニックの開業支援は専門のコンサルティング会社だけでなく、医療機器メーカー、医薬品卸、調剤薬局などが行っています。
そこで今回は、実際にクリニック開業支援を行う企業について解説していきます。開業したいと考えている先生はもちろん、今は考えていないという先生もぜひ参考にしてください。
目次
クリニック開業支援について
医師としての目標の一つに「クリニック開業」を設定しておられる先生も多いでしょう。
ただし、クリニック開業のためにやらなければならないことは多岐にわたります。
参考記事:クリニック開業準備に必要な期間と知っておくべきこととは
参考記事にもあるように、開業準備には多くの準備が必要となり勤務医を継続しながら独力で行うのは現実的とはいえません。
そこで頼りになるのが、クリニック開業支援企業です。
まずは、クリニック開業支援について解説します。
クリニック開業支援とは
クリニック開業支援とは、医師が新たにクリニックを開業する際に必要なサポートを提供するサービスです。
物件選びや資金調達、設備の選定から、スタッフの採用やマーケティング戦略まで、クリニック開業では、多くの準備が必要になります。
これだけの準備を日々の診察業務で多忙な先生がこなすのは現実的とはいえません。
クリニック開業支援を活用することで、先生は現職場での診療活動に軸足をおきながら、理想とする医療環境を実現することが可能となるのです。
また、クリニックの経営に主眼を置いた専門的な知識が必要になる場面もあり、経営に知見のある専門家に相談することもプラスになるでしょう。
クリニック開業支援企業ができること
クリニック開業支援には、多様な企業が参画しています。開業支援を専門的にサポートしているコンサルティング会社だけでなく、医療機器メーカーや調剤薬局などの医療系企業も開業支援事業を行っています。
それぞれの企業の特色は後述するとして、まずはクリニック開業支援企業ができる主なことは以下の通りです。
・物件紹介
・継承案件紹介
・診療研調査
・収支計画の立案
・金融機関からの融資交渉
・設計、建築サポート
・行政手続き代行
物件紹介
クリニックを開業するためには、土地、建物などの物件が必要です。
クリニック開業を目標と定めた際に、希望の場所がある場合はまず開業支援企業に相談します。
希望に沿った物件があれば紹介してくれますし、なければ希望を伝えることで、別の物件を紹介してくれるでしょう。
継承案件紹介
クリニックの開業は新規開業だけではありません。既存のクリニックを譲り受け、新たなクリニックとして開業する「継承開業」という開業方法もあります。
クリニック開業支援企業に相談することで、継承開業の候補先を紹介してもらうことができます。継承開業について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
参考記事:クリニック継承開業の流れとは?メリット、デメリットも解説
診療圏調査
候補となる物件が定まったら、次は診療圏調査を開業支援企業に依頼します。
診療圏調査とは、クリニック開業を計画する際に、開業予定地の周辺環境について詳細に分析し、どれだけの患者が見込めるかを推計することです。
調査では、想定患者数だけでなく、さまざまな情報も合わせて収集しなければなりません。
例えば、地域住民の年齢層や男女比といった人口統計的データも精査し、どのような患者層をターゲットにするかを検討します。
さらに、周辺に存在する他の医療機関との競合についても調べます。競合する診療科のクリニックがすでに存在する場合は、開業の是非も含めて再検討すべきでしょう。
また、地域の人口動態やライフスタイル、経済状況などの特性も把握することで、より現実的な患者数の見込みを立て、事業計画に役立てることができます。
このように、診療圏調査はクリニック開業の成否を左右する重要なステップといえます。
収支計画の立案
収支計画の立案はクリニック開業支援において非常に重要なプロセスです。まず、初期投資の見積もりを立てる必要があります。
これには土地・建物の購入もしくは賃料、医療機器・備品の購入費、設計・工事費、各種許認可申請費用、広告・PR費用、初期運転資金などが含まれます。
続いて行うのが収支分析です。診療科目や診療体制を検討し、診療圏調査から導き出した患者数と平均単価を加味した分析を行います。
一方で、経常費用の見積もりも重要です。人件費、地代家賃、光熱水費、医療材料費、医療機器の保守・修繕費、事務用品費、広告宣伝費、保険料、租税公課など、クリニックの運営にかかるさまざまな費用を詳細に算出します。
これらの収支見積もりをもとに、キャッシュフローを算出し、必要な運転資金を把握します。赤字が出ないよう、適切な人員配置や経費抑制策を検討するとともに、初期投資の回収見込みを立てるのです。
また、患者数、単価、費用の変動に対する収支への影響を分析しておくことも重要です。最悪シナリオを想定し、リスク対策を立てることで、より現実的な計画を立てることができます。
最後に、資金調達計画を作成し、自己資金と外部資金の割合を検討します。金融機関からの借入が必要となる場合には、詳細な事業計画書が必要です。
このように、収支計画の立案は、開業を希望する先生の理想を現実にお取り込む大切な作業です。無理にない収支計画を提案できるかどうかがクリニック開業支援企業の腕の見せどころといえるでしょう。
金融機関からの融資交渉
クリニック開業支援企業は、策定した事業計画書をもとに、金融機関への融資交渉もサポートします。
先生自身が金融機関と直接融資の交渉をするのは、必ずしも最適な選択肢とはいえません。金融機関との交渉においては経験が重要です。
一方で、コンサルタントなどの専門家であれば、融資の交渉に長けており、確実な交渉力を持っています。また開業支援企業はこれまでも多くのクリニックを開業に導いており、金融機関との付き合いも深いです。
融資の勘所をよく理解しているため、医師単独での交渉に比べて、融資が通る確率が格段に高くなるといえるでしょう。
また、専門家に交渉を任せることで、先生はクリニック開業の準備に専念できるというメリットもあります。融資の条件交渉から書類作成まで、開業支援企業がサポートしてくれるので、医師の負担を大幅に軽減することができます。
したがって、クリニック開業における融資の交渉は、経験豊富な開業支援企業に一任するのが賢明です。
専門家の力を借りることで、スムーズな資金調達が期待できるでしょう。
設計・建築サポート
クリニック開業支援企業は、クリニック建物の設計・建築について、きめ細かいアドバイスを提供してくれます。
まず、クリニックの立地条件や診療科目、想定する患者数などを詳細に把握したうえで、同規模のクリニックの設計図などを参考に、最適な間取りや動線を提案してくれます。
さらに、医療現場の実情を熟知した経験豊富な設計士や建築業者を紹介し、見積もり比較や契約条件の交渉、工事の進捗管理や品質チェック、予算管理など、建築工事全般をサポートしてくれるでしょう。
無理のない計画立案と着実な施工管理により、開業時のリスクを最小限に抑えることができるのです。
このように、クリニック開業における設計・建築の面では、開業支援企業の専門家が細やかなサポートを行うことで、最適な環境づくりを実現できます。これが、クリニックの成功につながる大きな要因となるのです。
行政手続き代行
クリニックを開業するには、保健所に「診療所開設届」を提出する必要があります。
また、保険診療を行う場合は、厚生局への「保険医療機関指定申請」も行わなければなりません。
クリニック開業支援企業はこれらの行政手続きもサポートしてくれます。
各種公費申請、消防関連の申請なども開業支援企業にサポートを依頼することで、円滑な開業手続きが可能となるでしょう。
クリニック開業支援企業の特徴
ここまでは、クリニック開業支援企業の支援内容について説明してきました。
ここからは、実際にクリニック開業支援事業を行う企業を業種別に解説します。
それぞれの特徴について深堀りしていますので、自分に合った開業支援企業を検討してみてください。
コンサルティング系
コンサルティング系開業支援企業は、医療機関の開業や経営をサポートする専門家です。通常、有料で提供されるこのサービスは、医師がクリニックをスムーズに運営できるよう、さまざまな支援を提供します。
コンサルティング系の開業支援企業は、特定の外部業者(例:卸業者や建築会社)との利害関係を持たないため、クライアントに対して公正で中立的なアドバイスが可能です。
このため、医師は客観的な視点でクリニックの立ち上げや運営を計画することができます。
このサービスを利用する際には、担当コンサルタントのスキルや経験が非常に重要です。コンサルタントによって能力には差があるため、過去の成功事例や業界経験をもとに、適切な担当者を選ぶことが大切です。信頼できるコンサルタントを選ぶことで、クリニックの持続的な成長と安定した経営をサポートする頼れるパートナーとなるでしょう。
株式会社ケアマックス
株式会社ケアマックスは、医療経営に特化したコンサルティング会社です。東京、千葉、埼玉、神奈川、そして群馬、静岡、茨城の一部地域でクリニック開業支援を提供しています。
20年以上の開業支援経験と300件以上の新規開業を支援してきた実績があり、豊富な経験と信頼性のあるデータにもとづいた的確なアドバイスには定評があります。
料金体系もわかりやすく、開業までのコンサルティング費用は200万円(税別)です。また、開業後もスムーズに運営できるよう、スタッフの研修計画作成もサポートしてくれるので安心です。
株式会社日本医業総研
株式会社日本医業総研は、クリニック開業支援に特化したコンサルティング会社です。開業支援だけでなく、開業後の経営を高精度でシミュレーションし、クリニックの成功に向けた具体的で効果的なプランを策定してくれます。
また、詳細な診療圏調査に定評があり、地域の将来像を予測することで、マーケティング戦略を練り上げてくれます。
総合メディカル株式会社
総合メディカル株式会社は、1978年に設立された企業で、これまでに4,000を超える医院の開業を支援してきた豊富な経験を持っています。もし地方で医院の開業を考えている方がいらっしゃる場合でも、総合メディカルは全国に広がる細やかな営業ネットワークを駆使して、日本全国どこからでも開業のサポートをお願いすることができるのです。
さらに、DtoDサービスに登録すると、開業後もさまざまな形でフォローを受けることができます。このサービスでは、医院スタッフの教育プログラムや、患者さんからの顧客アンケートの実施といった幅広いサポートが用意されており、開業した後も安心して医院の運営を続けていくことができるでしょう。
医療総研株式会社
医療総研株式会社は、病院や診療所といった医療関連施設に特化した経営コンサルティングを提供している専門的な会社です。この会社には、医療機関の経営に関する資格を持つ中小企業診断士が所属しており、経営に関するあらゆる側面からしっかりとサポートしてくれます。
開業支援をお願いする際は、まず依頼者である医師と開業プランナーがお互いの考えをしっかり共有するための打ち合わせを行います。
先生が理想とする医院のイメージやビジョンを伝えることで、これまで蓄積してきた豊富な経験と知識を活かして、その理想を実現するための具体的で実行可能な開業プランを提示するのです。
このようにして、先生が抱く理想を具体的な形にするお手伝いをしてくれるのです。
医療機器メーカー系
医療機器メーカーにもクリニック開業支援事業を行うところがあります。
具体的なサポート内容として、一般的な開業支援事業に加え、必要な医療機器を選定し、導入する手配をします。
メーカー側は、自社の技術力を生かして、診療の効率を高める最新の医療設備を設置できるため、クリニックの業務をより円滑に進めることが可能です。
結果として、クリニックは最新の医療機器を適正価格で導入でき、その後の安定した経営が期待できます。
日本光電
日本光電は、70年以上にわたる歴史を持つ老舗の医療機器メーカーです。この長年の経験と専門的な知識をもとに、クリニック開業支援事業を提供しています。日本光電の特徴は、単に医療機器を販売するだけではなく、医療施設の運営やサービスの質を向上させるための包括的な支援を行う点にあります。
フクダ電子
フクダ電子は、医療機器の製造・販売を通して診療所・クリニックなどの地域に密着した医療機能の強化を目指し、質の高い医療環境を提供することを使命としている会社です。
クリニック開業支援事業も手がけており、開業地の選定から資金の調達、さらに開院に至るまでのさまざまな手続きを、専任のコンサルタントがしっかりとサポートしてくれます。
開院後も安心できるサポート体制が整っています。クリニックの現地担当者が定期的に訪問し、運営や経営に関するさまざまな相談に乗り、効果的な戦略を提案してくれるので、クリニック運営の強い味方となるでしょう。
医薬品卸系
医薬品卸企業では、クリニックの開業を支援する多様なサービスを提供しています。単に医薬品を供給するだけでなく、開業準備から長期的な運営支援まで、幅広くサポートしてくれるのが特徴です。
開業支援を行う医薬品卸企業は、クリニック開業後の医薬品供給を優先的に取得できるため、無料でのコンサルティングを行ってくれることも開業を目指す医師にとってはメリットといえます。
株式会社メディセオ
株式会社メディセオは、1898年に創業した歴史ある大企業で、現在では17社のグループ会社を持つ規模となっています。
日本全国に約140の拠点を展開し、10万件以上の医療機関に対して商品や情報を供給しています。この広範なネットワークを活用し、クリニック開業支援事業も積極的に展開しているのです。
クリニックの開業を支援する専属のスタッフが多数在籍しており、これから医院の開業を考える方々にとって、大変頼りになる存在です。これらのスタッフが、それぞれのニーズに合ったトータルコーディネートを提供することで、開業をスムーズに進めることができます。
メディセオは、単なる開業コンサルティングを行うだけでなく、医院の新築や改築、税理士や会計士の見直し、そして清掃や警備の手配といった多岐にわたるコンシェルジュサービスを提供しています。
これにより、開業後のさまざまな運営面でもサポートを受けることが可能です。
オンラインでの医院開業相談も可能となっているため、忙しい先生でも気軽に相談を始められるのが大きな魅力です。
アルフレッサホールディングス株式会社
アルフレッサホールディングス株式会社は、医薬品や医療材料の供給を中心に展開する企業で、クリニック開業支援事業も展開しています。
アルフレッサのクリニック開業支援事業では、まず開業を目指す先生に対して、綿密なヒアリングを行い、個々のニーズや要望を把握します。そしてニーズや要望にもとづいた開業プランを策定するのです。
このプランには、物件選びや資金計画、必要な設備の選定など、開業に必要なさまざまな要素が含まれています。
アルフレッサは開業後の運営面でもサポートを提供しています。これには、効率的な運営のためのアドバイスや、患者の集患につながるマーケティング戦略の提案などが含まれており、必要に応じて専門家を紹介することも可能です。
株式会社スズケン
株式会社スズケンは、80年以上にわたり医療から介護まで幅広い分野で事業を手がけてきた企業グループです。
その豊富な経験と実績を活かして、クリニックの開業を総合的にサポートしてくれます。
医薬品や医療機器だけでなく、必要な備品の選定など、開業準備に欠かせない多くのプロセスをきめ細かくサポートしてくれるため、安心して開業に向けた準備を進めることができるでしょう。
さらに、スズケンは、患者さんが心地よく利用できる環境づくりにも力を入れています。病院やクリニックで患者さんに好まれるアメニティの提案や、患者さんとスタッフの両方に配慮した機能的な設計を実現するためのアドバイスを提供してくれるのです。
また、人材面でも手厚い支援があり、クリニックのスタッフ採用活動や教育までをサポートする体制を整えています。
東邦薬品株式会社
東邦薬品株式会社は、1948年に設立された医薬品卸売業者としての長い歴史を持ち、クリニック開業支援など多角的な事業を展開しています。
開業支援の分野においては、医師の希望や意向をしっかりとヒアリングし、それらを最大限に尊重しながら、開業の初期段階から実際の開業に至るまでを全面的にサポートしてくれます。
さらに、クリニックの集患対策や経営の効率化を図るためのアドバイスなど、開業後も継続的にサポートしてくれるのも魅力です。
東邦薬品の医薬品営業担当者が定期的にクリニックを訪問し、さまざまな相談や課題に対する解決策を提案してくれるので、クリニック側にとって心強い存在となるでしょう。
調剤薬局系
調剤薬局チェーンの開業支援は、地域密着型のクリニック開業と非常に相性が良い点が特徴です。クリニック開業を全般的にサポートするだけでなく、医療モールの開発や集客力のあるドラッグストアに併設した開業提案も行っています。この併設モデルを利用することで、地域に根付いたドラッグストアの影響力を活用し、クリニックの早期認知度を高めることが可能なのです。
日本調剤株式会社
日本調剤株式会社は大手調剤薬局チェーンで、クリニック開業支援事業を、積極的に展開しています。クリニックの開業支援だけでなく、医療モールの開発にも取り組んでいるのが特徴です。
クリニックの開業に関する初期のイメージづくりから実際の開業、さらには開業後の運営に至るまで、豊富な実績を持つコンサルタントがきめ細やかにサポートする点にあります。これには、市場調査から立地選定、内装設計、人材採用、クリニックのブランディングといった多様なサポートが含まれます。
また、クリニックの隣接地や開発する医療モールに自社の日本調剤薬局を設置することで、医療機関との緊密な連携が可能となるのです。
日本調剤の開業支援の特徴は、医薬品の供給が安定化するだけでなく、モール内の他のクリニックと連携した集患対策なども可能になることです。
このようなサービスを提供する背景には、日本調剤が医療モールのパイオニアとして40年以上の経験を持っていることがあります。
その長年の専門性と実績を活かし、医療環境全体の質の向上に貢献し続けているのです。
株式会社コスモス薬品
株式会社コスモス薬品は、特に集客力に優れたドラッグストア併設型のクリニックの設計と運営を提案することができる企業です。
ドラッグストア併設型クリニックは、買い物に訪れる多くの人々との自然な接点を生むことができ、地域の患者にとって利用しやすい環境を提供します。その結果、クリニックの認知度も向上し、スムーズに地域医療の拠点として機能することが期待できるのです。
さらに、コスモス薬品の最大の魅力は、その顧客満足度の高さに裏打ちされた接遇教育にあります。
同社は、13年連続で顧客満足度No.1を獲得しており、その優れた接客教育プログラムが評価されています。これにより、医療業界での経験がないスタッフを採用した場合でも、短期間で質の高い接遇が期待できるのです。患者満足度の向上につながり、クリニック全体の評価や信頼性の向上につながるでしょう。
不動産会社・建設会社系
設計事務所や不動産企業、ハウスメーカーが提供する開業支援サービスは、クリニックの建設を通して、開業までをスムーズに進めるための総合的なサポートを提供します。
建設スケジュールを詳細に計画し、各ステップで必要な事項を明確にすることで、医師やクリニックオーナーはプロジェクト全体の進捗を把握できるのです。
具体的には、土地選びや施設のデザイン、建築許可の取得手続きなど、多岐にわたるサポートを提供します。さらに、建設のタイムラインを効率的に管理し、開業までのスケジュールをきちんと守れるよう進行管理を行います。
三井ホーム株式会社
三井ホーム株式会社は、多くのクリニック施工実績があり、開業支援ノウハウも十分なハウスメーカーです。
「ドクターズレントハウス」という賃貸方式を提供しており、少ない初期費用でクリニックを開業できるシステムを実現しています。
この仕組みでは、土地のオーナーが土地と建物を用意し、その場所で医師が開業できるため、一般的な「ビル内診療所」と同じくらいの低コストで、独立した「戸建て診療所」を開業することができます。
「ドクターズレントハウス」では、賃貸契約でありながら、診療スペースの設計自由度が高く、医師の好みや要望に応じたデザインで開業することができるのが大きな特徴です。また、良好な立地条件でクリニックを開設することができるため、地域の医療ニーズに応えやすい環境が整っているといえるでしょう。
積水ハウス株式会社
積水ハウス株式会社は、毎年100棟以上の医院を設計・建築している実績を誇り、その豊かな経験と高いプロデュース能力を活かして、患者が快適に過ごせる理想的な医院づくりを手がけています。戸建ての医院からビルのテナントまで、さまざまな形態に柔軟に対応してくれるでしょう。
多くの医院建築で培ったノウハウを活かし、スタッフや患者の動線を考慮したゾーニングを行うなど、スムーズで安全な動線設計を提案してくれます。
医院建築にとどまらず、事業計画の策定から適切な土地の選定、さらには開業後の運営サポートに至るまで、一貫した支援を行っています。こうした包括的なサポートを通じて、医院開業を目指す先生にとって、信頼できる心強いパートナーといえるでしょう。
大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社は、これまでに7,000件以上の医療施設の建築を手がけてきた豊富な実績を持つ企業で、クリニックの開業支援においても専門チームが担当してくれます。
クリニックの設計・建築においては、患者がリラックスできる快適な空間の提供を重視しつつ、診療に必要な機能性をしっかりと持たせたデザインを実現します。
また、住宅としても落ち着ける空間を兼ね備えた設計を目指し、医療の場であっても安心してくつろげる環境を実現するのです。
アフターサポートも充実しており、保証や定期的な点検を行うプログラムを提供しているほか、将来的にリフォームをしたい場合や建て替えを検討する際にも対応できる体制を整えています。
このように、大和ハウス工業は、医療施設の開業からその後の運営、維持管理に至るまで、一貫して手厚いサポートを提供し、医療従事者が安心して医療を提供できるようバックアップしています。
クリニック開業支援企業を選ぶポイントとは
ここまで、有力なクリニック開業支援企業を紹介してきました。各社いろいろな特徴がありましたが、開業支援を依頼するうえで大切になるポイントを紹介します。
希望する地域に紹介できる物件を持っているか
まず、自分が開業を希望する地域で候補物件を紹介できるかどうかは重要です。
独立開業を志向する先生の多くは、自らの理想とする医療を実現したい地域があるはずです。
その地域に強い開業支援企業を選択するという方法もあるでしょう。
丁寧な診療圏調査をしているか
開業候補地のポテンシャルを判断するためには、診療圏調査が非常に重要です。この診療圏調査を丁寧に行う企業は信頼できます。
診療圏調査は想定患者数を調べるだけでは不十分です。競合する医院の数を確認する必要があります。例えば、近くに内科がある場合、同じ内科を開院すると患者の取り合いになるかもしれません。
しかし、その医院の人気がなかったり、医師が高齢で後継者がいない場合には参入のチャンスがあるかもしれません。競合医院の詳細まで把握することが大切です。
また、開業を考えている地域の特性も理解しておきましょう。近隣に駅や商業施設がある場合、集客力が高く、患者数が増える可能性があります。さらに、大規模な開発計画やマンション建設計画がある地域では、将来の患者数増加が期待できます。
開業支援を手がけたクリニックの患者満足度は高いか
開業支援企業を選択するうえで、重要なのが開業支援のその後です。開業後、患者数が伸び悩んでいたり、患者満足度が高くないようなクリニックは将来的に成長が止まってしまう可能性があります。
開業支援だけでなく、開業後のフォローアップも重視している企業であれば、安心してクリニック経営のサポートを任せることができるでしょう。
デジタルソリューションの活用で患者満足度を高める
クリニックを開業し、その後も安定した経営を行うためには、患者さんのリピート率を高める必要があります。リピート率を高めるためには、患者満足度を高めなければなりません。
患者満足度を高めるために有効なのが、デジタルソリューションの活用です。
例えば、クリニックのHPを充実させ、WEB予約システムを稼働させたり、待ち時間を表示させるなどで、患者さんの利便性を高めることで、患者満足度を高めることができます。
その他に、シンクヘルスなどのPHR(Personal Health Record)の活用も患者満足度を高める施策の一つです。
診察前や診察時に、PHRにより記録された血糖値や血圧などのデータを確認することで、聞き取り時間を削減し、診療時間を短縮できます。
さらに定期的なデータ確認も可能となり、より効果的な治療を行うことにもつながるでしょう。
また、栄養指導や療養指導時に食事写真を含めた食事記録や運動記録を確認しながら、患者さんの日々の生活に寄り添ったアドバイスができます。PHRのデータを他の医療従事者と共有することで、医療チーム全体で一貫したひとりひとりに合わせたきめ細やかな医療サービスの提供することもできます。
実際にPHRを導入することで、患者さんの治療に役立てている事例を紹介します。
参考記事:デジタル活用で患者さんの体験価値向上とクリニックの経営効率向上を実現~メッセージ機能活用のコツとは~ うるうクリニック港南台 院長 長田潤先生
まとめ
今回はクリニック開業支援企業について解説しました。開業を希望する医師にとって開業支援企業は重要なパートナーです。開業物件の選定や診療圏調査、収支計画の立案から資金調達のサポート、クリニックの設計、建設まで開業準備のほとんど全てをサポートしてくれるため、医師は落ち着いて開業準備をすることができます。
コンサルティング企業だけでなく、医薬品卸や調剤薬局など多様な開業支援企業がありますので、ぞれぞれの特徴を理解し、自身の理想にあった企業を選ぶようにしましょう。
参考文献:
関東信越厚生局HP「保険医療機関・保険薬局の指定等に関する申請・届出」