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血圧手帳の無料配布終了とデジタル化

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執筆はライター下田 篤男(管理薬剤師・薬局経営コンサルタント)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

 

「血圧手帳を今まで無料でくれていた製薬会社さんが発行をやめてしまった」

「患者さんが無料で簡単に血圧を記録できるものがほしい」

 

このように、医療機関で無料配布できる血圧手帳が少なくなってきていることに悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

 

従来は製薬会社が無料配布していた血圧手帳ですが、配布を終了したり、有料化するメーカーが増えてきました。

 

そこで今回は、今後の血圧管理の動向について解説していきます。

 

血圧手帳に頼らない血圧管理のデジタル化についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

血圧手帳の無料配布はなぜ減っているのか

高血圧の方は、普段からの血圧管理が重要です。

この血圧管理で役に立つのが血圧手帳です。

 

血圧手帳は自宅の血圧計で測った血圧を記録できるため、血圧管理の必要な方や高血圧の治療に携わる医療機関にとっては重宝するアイテムといえます。

 

高血圧は、喫煙と並んで、日本人の生活習慣病死亡に最も大きく影響する要因です。

厚生労働省によれば、今なお20歳以上の国民のおよそ二人に一人は高血圧です。

 

では、なぜ血圧手帳の無料配布が減ってきているのでしょうか。

血圧手帳はメーカーのプロモーションの一環だった

もともと降圧剤は多くの製薬メーカーで主力商品でした。

 

メーカー各社は、降圧剤のプロモーション活動の一環として、オリジナルの血圧手帳を医療機関や調剤薬局に無償提供していました。

 

そのため、以前は多くの製薬メーカーで血圧手帳が発行されていました。

降圧剤はジェネリック医薬品が主流になっている

現在、多くの降圧剤は特許期間が過ぎ、ジェネリック医薬品に切り替わっています。

ジェネリックメーカーは少しでも医薬品の製造コストをさげるため、血圧手帳のようなプロモーションは行わないところが多いです。

 

また、特許期間のきれた先発の降圧剤メーカーは、自社製品が売れるわけでもないので血圧手帳の無償提供をやめていきました。

その結果、現在でも血圧手帳を無償提供しているメーカーはわずかになっています。

血圧手帳に頼らない血圧管理とは

高血圧方の数は年々増えており、血圧手帳のような血圧管理に役立つツールの需要は高まる一方です。

 

ところが、先発品の特許切れや国のジェネリック推進政策の影響もあり、血圧手帳の無償提供はなくなりつつあります。

 

有料化した血圧手帳を導入するという方法もありますが、医療機関や患者さんにとって負担になってしまいます。

 

ここでおすすめしたいのが、「血圧手帳に頼らない血圧管理」です。

血圧のデジタル管理という選択肢

血圧手帳では、血圧計で測った数値を自身で手書きにて記載する必要があります。

そのため、記載するのを忘れてしまったり、転記する際に誤って記載してしまう場合もあります。

 

また、血圧測定するたびに手帳に記載しなければならず、面倒に思ってしまい、血圧管理に対するモチベーションが低下してしまうこともあるでしょう。

 

そこで現在注目されている手法が血圧管理のデジタル化です。

 

血圧計と連動したアプリや、血圧計そのものにデータを保存することで、血圧手帳のようにわざわざ記載しなくても血圧管理ができます。

血圧管理をデジタル化するメリット

血圧管理をデジタル化することで次のようなメリットが考えられます。

・無料の血圧管理アプリが多く、血圧管理を継続できる

・血圧をデジタル管理することで、誤記載や記載漏れなどのミスを防ぐことができる

血圧手帳に記載する煩わしさから解放されるので、血圧管理のモチベーションが高まる

今後、血圧手帳の無償提供がなくなっていくことを考えると、血圧管理のデジタル化を進めていくことを検討すべきではないでしょうか。

PHR導入で日常の血圧管理が可能

血圧管理のデジタル化を進めるのであれば、PHRの導入がおすすめです。

  

PHR(Personal Health Record、生涯型電子カルテ)は、個人の健康・医療に関する情報を一元的に統合管理したデータです。

  

多くのPHRアプリで血圧記録ができるため、血圧手帳の代わりとして活用することができます。

  

PHRアプリを血圧管理の必要な方に入れてもらい、医療機関側でアプリに対応するPHRプラットフォームを導入することで、血圧管理のデジタル化をスムーズに進めることができます。

  

総務省や厚生労働省でも、血圧などのバイタルデータをデジタル管理するため、PHRの医療機関への導入を推奨しているのです。

医療機関側でも血圧状態を把握できる

医療機関側でも対応するPHRプラットフォームを導入していれば、血圧管理が必要な方の血圧データを把握することができます。

 

患者さんがアプリで記録した血圧データをリアルタイムで閲覧できるため、高血圧や低血圧を起こしている患者さんに迅速に対応できるでしょう。

 

また、PHRアプリによっては各種血圧計とデータを同期できるため、より正確な数値を記録することができます。

 

定期診察でもより正確な血圧状態を把握できるため、内服薬の調整などよりフレキシブルに対応することが可能となります。

血圧管理にとどまらず、自己の健康管理につながる

PHRアプリが記録できるのは血圧計だけではありません。

 

高血圧の治療では、食事や運動の指導も行うことが多いです。

PHRアプリには、食事や運動などの生活習慣の記録も可能なものもあります。

 

また、様々なメーカーの血糖測定器やインスリンコネクテッドデバイス、体重計とアプリ等を介してデータを同期できます。

 

服薬管理やお薬リマインダーなどの機能を持つアプリもあるため、慢性疾患を持つ方の診察に有効です。

高血圧などの慢性疾患に特化したPHR「シンクヘルス」

弊社では患者さん向け自己管理アプリ「シンクヘルス」とそのデータを治療に活用できるクラウドサービス「シンクヘルスプラットフォーム」を提供しています。

 

血圧や血糖値、食事、運動、服薬など治療に必要なデータをスマホ一つで簡単に記録できるのです。

 

また、様々な血圧計や血糖自己測定器、体重計、そしてインスリンコネクテッドデバイスとデータを同期できます。

 

医療機関向け「シンクヘルスプラットフォーム」で患者さんがアプリで記録した血圧データや血糖測定データ、体重推移、食事内容などが確認できるので、遠隔診療や対面の診察、栄養指導などでご活用ください。

 

詳しくは、こちらをご覧ください。

 

最後に、血圧管理に「シンクヘルス」を導入した事例を紹介します。

参考記事:シンクヘルスは高血圧患者さんにも有用です
ゆり内科クリニック 新妻ゆり子先生

まとめ

今回は、無料配布がなくなりつつある血圧手帳と、血圧管理でのPHR活用について解説しました。

 

降圧剤の主力がジェネリック医薬品が移行する中で、メーカーのプロモーションの一環だった血圧手帳の役割は終了しつつあります。

 

血圧管理は今後デジタル管理へと移行していくでしょう。

 

PHRを活用することで、血圧だけでなく色々な医療情報を医療機関で把握することができるようになります。

参考文献:

厚生労働省e-ヘルスネット「高血圧」

総務省資料「総務省のPHRに関する取組(PHRの役割として生活習慣病予防の一環として血圧管理が規定されている)

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