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糖尿病とシックデイ〜医療機関の抱える課題と解決策とは?~

執筆はライター下田 篤男(管理薬剤師・薬局経営コンサルタント)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

 

「患者さんがシックデイ時にきちんと対応できるかが不安だ」
「シックデイに対して医療機関側からアプローチできる方法はないだろうか」

糖尿病を持つ方の治療を行う医療機関では、シックデイ時の対処に不安を覚える先生も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、シックデイ時における医療機関の抱える課題とその解決策について解説します。

PHRを活用する解決策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

糖尿病のシックデイルールとは

糖尿病を持つ方は、ウイルスなどに対する抵抗力が落ちていることが多く、様々な感染症にかかりやすいといわれています。

 

患者さんがこれらの感染症に罹患したり、病気にかかったりすることで、発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などの症状を起こし体調が悪化した状態(シックデイ)になると、血糖マネジメントが難しくなるのです。

 

シックデイ時の対応策として、通常以下のような対応策(シックデイルール)を医療機関から糖尿病の方へ指導します。

・安静と保温につとめること

・水分・炭水化物の摂取につとめること

・インスリン注射を行っている場合は、自己判断での中断は避けること

・内服薬を医師の指示に従い調整すること

・SMBGをこまめに行い、血糖状態の把握につとめること

シックデイルールの課題とは

シックデイルールは患者さんが守るべきルールで、血糖マネジメントを安定化させることが目標となります。

ただ、このシックデイルールが的確に運用されているかどうかは、患者さんの主体性に委ねられているのが実情です。

医療機関では、患者さんがシックデイルールを理解できているかを把握することが難しいのです。

 

ここからは、シックデイ時に医療機関が抱える課題について解説していきます。

課題①内服薬やインスリンの調整等判断に困ることがある

シックデイ時は内服薬やインスリンの調整が難しくなり判断に困ります。

 

患者さんの体調が崩れ食事が摂れなくなる場合もあり、摂取できる食事量によって中止したり、減量したりする薬剤は変わるためです。

 

もちろん、医療機関側としては、普段の診察で患者さんにシックデイ時に中止したり減量する薬剤についてしっかりと指導しているはずです。

 

ただし、診察時に医師から指導を受けた時は理解できていても、実際にシックデイになった時に、患者さんがどの薬剤をどのくらい減らすのかを正確に判断することは難しいのではないでしょうか。

課題②血糖値の変動状態の把握が困難

シックデイ時の血糖値の変動を、医療機関側は把握しておくことが重要です。

 

シックデイ時はインスリン抵抗性の増大や、食事摂取量の低下で血糖値が乱高下しやすくなり、血糖マネジメントが難しくなるからです。

 

そのため、シックデイルールでも定められている通り、こまめにSMBGを行うなどで自身の血糖状態を把握しておくことが推奨されています。

 

医療機関でもシックデイ時は特にこまめにSMBGを行うように指導しますが、実際に患者さんが実施しているかどうかを把握することは難しいのが実情です。

課題③緊急時の対応

シックデイ時は血糖値が乱高下するだけではありません。

 

高血糖と脱水症状が持続することで、ケトアシドーシスや乳酸アシドーシスのリスクも増大するため、緊急時の対応が必要となります。

 

このような場合は、速やかに医師の判断のもとでの対応が望ましいです。

しかし、シックデイ時に患者さんが実際に来院して診察を受けることは難しいでしょう。

 

電話等で指示する場合、血糖値の変動状態の把握や食事量などの把握も難しくなるため、医療機関側としても的確な判断をすることが難しくなります。

課題④診察時のフィードバックが不十分

シックデイ後の医療機関から患者さんへのフィードバックが不十分になってしまうことも課題です。

 

シックデイになった後、医療機関側は、糖尿病の方からシックデイ時の対応や血糖変動状態等を診察時に聞き取り、フィードバックを行います。

 

このフィードバックでは、シックデイルールの再確認や対策の再指導などを行います。

 

ただし、シックデイ時の糖尿病の方の記憶が曖昧だったり、血糖測定の記録がしっかりできていなかったりすることで、フィードバックが不十分になってしまうのです。

PHRはシックデイ時の解決策にも応用できる

シックデイ時における医療機関側の課題は、患者さんにシックデイルールの遵守を依存することになるため、適切な対応が取れない場合があるということではないでしょうか。

 

PHRを導入することで、シックデイ時に、正確なデータをもとに最適な介入ができるようになります。

解決策①双方向のコミュニケーションで判断をアシストできる

PHRアプリを患者さんにいれてもらい、医療機関側でアプリに対応するPHRプラットフォームを導入することで、双方向のコミュニケーションが可能となります。

 

アプリ上でメッセージのやり取りが可能となるため、シックデイ時の対応でもオンタイムで患者さんとのやり取りが可能となるのです。

 

またPHRアプリによっては食事写真なども共有できるため、よりきめ細やかな指示を医療機関側から発信することも可能となります。

解決策②医療機関側でも血糖値のモニタリングが可能

PHRアプリによっては様々なメーカーの血糖測定器やインスリンコネクテッドデバイスの測定データを閲覧することができ、医療機関側でも血糖値のモニタリングが可能となります。

 

加えて、血糖測定器やその他のデバイスとも連携できるためシックデイ時で体調がよくない時でも簡単に記録が継続できるのです。

 

シックデイ時に内服薬やインスリンの減量や休止の判断をするためにも、PHRで正確な血糖変動状態を把握することは、医療機関側にとっては有効な解決策となります。

解決策③オンライン診療でも活用できる

シックデイ時に患者さんの来院を促すことは、なかなか難しいのです。

 

このような時は、テレビ電話を介したオンライン診療を実施する先生もいらっしゃるでしょう。

オンライン診療時にPHRで糖尿病の方の血糖状態や健康状態、食事摂取状態などのデータを知ることができれば、より正確な診断を行うことができます。

解決策④しっかりとしたフィードバックが可能

PHRを導入することで、シックデイ時もメッセージ機能やオンライン診療で患者さんとオンタイムでコミュニケーションをとることができます。

 

またアプリによっては血糖トレンドや摂取した食事の記録も閲覧することができるため、診察時に正確なデータをもとにしたフィードバックが可能となります。

 

またシックデイになってしまった時もスムーズな対応が期待できるのではないでしょうか。

シックデイに限らず糖尿病などの慢性疾患に特化したPHR「シンクヘルス」

弊社では患者さん向け自己管理PHRアプリ「シンクヘルス」とそのデータを治療に活用できるクラウドサービス「シンクヘルスプラットフォーム」を提供しています。

 

シンクヘルスは記録が簡単でシンプルな操作性が好評です。

 

なんとアプリ利用者の大半が60代以上で、70代、80歳以上の利用者様も多くいらっしゃいますので、高齢者の方にも扱いやすいと評判です。

 

また、血糖自己測定器との連携数が業界最多である上、様々な血圧計や体重計、そしてインスリンコネクテッドデバイスとデータを同期できます。

アプリはCGMのデータも同期できるため、様々な疾患・治療法の患者さんにご利用いただけます。

 

メッセージ機能も実装されているので、シックデイ時の対応にも活用できるのです。

 

医療機関向け「シンクヘルスプラットフォーム」で患者さんがアプリで記録したデータが確認できるので、遠隔診療や対面の診察、栄養指導などでご活用ください。

 

詳しくは、こちらをご覧ください。

 

また、シンクヘルスを実際に糖尿病治療に活用している導入事例を紹介しますので、参考にしてください。

 

導入事例:チーム医療による糖尿病療養支援に活用しています 岡山済生会総合病院 内科・糖尿病センター 副センター長 利根淳仁先生

まとめ

シックデイ時の対応は、糖尿病の方の自主性に委ねられることが多く、医療機関側は介入しづらいことが課題でした。

 

医療機関側でPHRを導入することで、糖尿病を持つ方の血糖トレンドを知ることができ、メッセージ機能なども活用することで、積極的にシックデイ時の対応に介入できるようになります。

 

参考文献:国立研究開発法人国立国際医療研究センター糖尿病情報センターHP「シックデイ」

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