【医師監修】一目でわかる血糖測定器の種類~比較表を用い徹底解説~
当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。
執筆はライター下田 篤男(管理薬剤師・薬局経営コンサルタント)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください
「患者さんに血糖測定器を使ってほしいけど、どんな機種がいいのだろう」
このように、血糖測定器の機種が多く、選ぶための判断基準に困ったことはありませんか?
最新の血糖測定器は「血糖を測る」だけでなく、さまざまな機能を有しています。
ここでは、そのような血糖測定器についてご紹介するとともに、スマートフォンとの連携などの便利機能についても触れていきます。
目次
血糖自己測定(SMBG)とは?
血糖自己測定(SMBG、Self Monitoring Blood Glucose)とは、自分で血糖値を測定することです。患者さんが病院やクリニックに来院したときに血糖値を測定するだけでなく、日常生活の中でも測定することで、良好な血糖コントロールを目指していくことができます。
その際に使用するのが血糖測定器です。専用の穿刺器具で指先から血液を採取し、血糖値を測定する機器が主流でしたが、最近では指先穿刺なしでも血糖値を測定できる機器も登場しています。
さまざまな血糖測定器
日本においては、ロシュDCジャパン(株)、(株)三和化学研究所、LifeScan Japan(株)、テルモ(株)、アボットジャパン合同会社、アークレイマーケティング(株)などの会社が血糖測定器を販売しています。
穿刺が必要なタイプ
指先に針を刺して血液を採取し、血糖測定器で血糖値を測定します。機器ごとに必要な血液の量が異なります。痛みが気になる場合は少ない血液量で測定できるものを選ぶとよいでしょう。
また、機器によって表示のサイズが大きく見やすいデザインのものや、保存できるデータ量、スマートフォンとの連動などさまざまな特徴があります。
穿刺が必要な血糖測定器の比較一覧
BluetoothかNFCの機能を有しているモデルで、かつシンクヘルスアプリと連携が可能な機器の中で主だったものをピックアップしました。その他にもシンクヘルスアプリとの連携が可能な機器がありますので、こちらの機器連携一覧をご覧ください。
【必要検体量】や【接続方法】の箇所を主に参考され、ご自身の医療機関に合致するものをお選びいただければと思います。
今後このようなデジタルの活用はどんどん進むでしょうし、クリニックや病院で、患者さんが診療の前に血糖ノートに急いで測定値を転写する姿を見なくなる日が来るかもしれません。
また、患者さんは医療従事者に「自分は治療に対してよく頑張っている」と思われたいものですよね。数値を少しよく書いてしまうことも、もしかしたらあるかもしれません。
デジタルを活用することで、正確な測定値と測定時刻を医療従事者が把握することができます。治療方針やアドバイスが正確な数値からなされることとなり、結果としてよい糖尿病治療につながるのではないでしょうか。
穿刺を必要としないタイプ(CGM、isCGM)
基本的に指先穿刺を必要としない血糖測定器も登場しています。
血糖トレンドを自動的に持続測定するCGM(Continuous Glucose Monitoring、持続グルコースモニタリング)やisCGM(intermittently scanned CGM、間歇スキャン式持続グルコースモニタリング)というものがあります。
これらの血糖測定器は、センサーを装着している間、連続して測定できるため、測定時に毎回指先穿刺する必要はありません。専用のリーダーをセンサーにかざすだけで、直近8時間のグルコース値を継続的に測定することが可能です。
CGMやisCGMについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
血糖モニタリングはシンクヘルスで
CGMやisCGMでスキャンしたデータは、弊社の提供するシンクヘルスアプリを用いると食事写真や食品栄養素、運動、服薬情報などの療養データと同時画面で閲覧できます。
血糖測定器の選び方
多くの種類があることを紹介してきましたが、どのように血糖測定器を選択したらよいのでしょうか?
基本的な考え方としては患者さんと医療機関の双方のメリットと利便性で選ぶとスムーズに選択できます。
毎回の穿刺による痛みが気になる方は
血糖測定は毎日、指先に針を刺し血液をとる必要があります。そのため、痛みが気になる方は血液を最小量で測定できる血糖測定器を選ぶのも手です。
また、穿刺そのものがストレスという方には、CGMやisCGMの血糖測定器がおすすめです。
CGMは補正のために1日数回の血糖測定が必要となりますが、isCGMでは血糖測定の必要がありません。どちらにしてもこれまでより穿刺回数を減少することが可能であり、、こうしたセンサー装着タイプの血糖測定器を選ぶとよいのではないでしょうか。
血糖値の記録が続かない、データ入力の手間を省きたい方は
現在流通している多くの機種に、データ転送機能が実装されています。患者さんの日々の記録の手間を減らすだけでなく医療従事者の利便性も高いのが、この機能を有している血糖測定器です。
BluetoothやNFCといったデータ転送機能を標準装備している血糖測定器を使用すると、測定データをスマートフォンに転送することが可能になります。
また、アプリによってはそのデータを医療従事者と共有できます。患者さんは日々手書きや手入力での記録の手間が省けるだけでなく、医療従事者も簡単により正確な血糖記録を医療機関で確認することができます。
インスリンや低血糖の危険性のある経口血糖降下薬を使用している方は
インスリンやSU薬やグリニド薬などを使用している患者さんは低血糖リスクを有します。特に1型糖尿病の方や膵性糖尿病、高齢患者などは低血糖リスクが高く、無自覚低血糖も多くなります。
これまでのSMBGでは測定時のみの血糖値を反映するのみであったため、夜間低血糖や無自覚低血糖の発見は困難でしたが、CGMやisCGMの使用によりそれが可能となります。また頻回な血糖測定が可能となるため急激な血糖低下を発見しやすくなり、低血糖予防に繋げることができます。
スマートフォンアプリ「シンクヘルス」に転送できる機能がついている測定器は?
シンクヘルスは業界最多の連携機器数のあるスマートフォンアプリです。現在、シンクヘルスアプリと連携できるBluetoothやNFCの機能がついている血糖測定器は13種類です。こちらを利用することによって、患者さんは血糖値をスマートフォンにデータ保存して閲覧・管理できるだけでなく、医療機関側でも正確な数値・測定時間を把握することが可能です。
※機器連携一覧はこちら
また、アプリ上ではCGMのデータを連携して確認できます。アプリ内で記録した食事や運動などの記録と照らし合わせCGMのデータを見れるため、患者さんが自身の血糖トレンドと生活習慣の関係を振り返ることができます。シンクヘルスアプリとCGMの連携についての詳細資料はこちらからダウンロードいただけます。
※現在、CGMデータは医療機関様向けプラットフォームの画面上での閲覧はできません。
転送方法は簡単
簡単にデータが転送でき負担軽減できるのも血糖測定器選択のポイントです。毎日ノートに記録するのと、スマートフォン転送で一気にデータを転送できるのとでは、どちらが利便性が高いでしょうか?
すでにご存知の通り、スマートフォン転送ですね。
一例をYoutubeに記載していますので、ぜひご覧になってください。
血糖測定の保険適用について
血糖値を下げる注射薬(インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬)を使用中の方や、妊娠糖尿病の一部の方には、公的医療保険が適用されています。
『血糖自己測定器加算』という診療報酬です。血糖測定のためのセンサー、針、穿刺具などの消耗品や、測定器の費用を含んでおり、基本的には1カ月に1回のみ算定可能です。
注射製剤で糖尿病を治療されている場合、『在宅自己注射指導管理料』が算定され、妊婦の方は『在宅妊娠糖尿病患者指導管理料』が算定されます。ただし、isCGMはGLP-1受容体作動薬の注射のみの方には保険適応になりません。
まとめ
血糖測定器はさまざまな種類が販売されていますが、患者さん・医療機関双方の利便性が合致するものを選ぶとよいです。また新しい機種にはデータ転送機能がついていますので、積極的に利用してみるとよいでしょう。
なお、弊社の運営している「シンクヘルスプラットフォーム」は、患者さんが弊社のアプリ内で入力した血糖のデータを、医療機関側でもリアルタイムに閲覧できます。クリニック・病院においては無料で使用可能ですので、詳しくはこちらからご確認ください。
参考文献
アボットジャパンホームページ
国立国際医療研究センターホームページ