シンクヘルス株式会社(東京都千代田区、代表取締役 野本祐司)の開発・運営する糖尿病の管理アプリ「シンクヘルス」を用いた京都府立医科大学 大学院医学研究科 内分泌・代謝内科学大野 友倫子先生、濵口 真英講師、福井 道明教授らの研究グループの臨床研究において、PHRの有効性を示す結果が示唆され、論文に掲載されたことをお知らせいたします。
※:PHRとはPersonal Health Recordの略で個人の医療・介護・健康データのこと
目的
糖尿病の治療において、生活習慣の改善や血糖値のモニタリングなどの自己管理を行うことが重要とされています。近年、糖尿病をはじめとする慢性疾患における自己管理促進において、Personal Health Record(以下PHR)が注目されています。弊社の提供するPHRアプリ「シンクヘルス」では間歇スキャン式持続血糖測定器(以下isCGM)や様々な血糖自己測定器と連携し、容易に日々の血糖値を記録・管理できることに加え、食事や運動などの生活習慣を管理し、振り返ることができます。本研究では、PHRアプリ「シンクヘルス」を用いてPHRが糖尿病治療および自己管理に与える影響について調査しました。
対象
インスリン及びisCGMを処方されている糖尿病を持つ方のうち、PHRアプリ「シンクヘルス」を利用して治療を受けた21名と対照群42名を対象に後ろ向きコホート研究を実施しました。PHRアプリの使用開始から6カ月間のHbA1c、Time in Range(以下TIR)、Time Above Range(以下TAR)、体重といった指標の変化を評価しました。
結果
対象者のうち、PHRを使用した21名でTIRが有意に増加し(TIRの変化量 17.2% vs. 1.90%、p = 0.020)、HbA1c値が大きく低下しました(HbA1cの変化量 −0.83% vs. −0.22%、p = 0.023)。また、TARの有意な減少も観察されました(TARの変化量 −17.6% vs. −1.63%、p = 0.017)。体重については有意な変化は見られませんでした(体重変化量 −0.51 kg vs. −1.60 kg、p = 0.578)。
本研究により、PHRは自己管理の向上と血糖マネジメントの改善を通して糖尿病治療を支援する可能性を示唆しました。
今後の展望
今回、PHRは糖尿病治療において自己管理促進に寄与することが明らかになりました。本研究は、PHRの長期的影響と多様な糖尿病を持つ方を対象にさらなる研究の必要性を示唆しています。
研究成果の公表
本研究成果は2024年11月27日に国際専門誌「Diabetology as part of the Special Issue Feature Papers」誌に掲載されました。
論文タイトル: Impact of Personal Health Records on Diabetes Management: A Propensity Score Matching Study
著者:Yuriko Ono,Hiroshi Okada,Noriyuki Kitagawa,Saori Majima,Takuro Okamura,Takafumi Senmaru,Emi Ushigome,Naoko Nakanishi,Masahide Hamaguchi,andMichiaki Fukui