長崎県立大学・医療法人緑風会みどりクリニックによる、シンクヘルスを活用して実施した2型糖尿病に関する共同研究成果が国際専門誌「Diabetology」に掲載されました。
※シンクヘルス株式会社は、本研究におけるデータ抽出・提供などの技術的支援を行いました。
Ⅰ.目的
本研究は、2型糖尿病患者におけるPersonal Health Record(シンクヘルス)の活用が、長期的な血糖コントロールおよび体重変化に与える影響を評価するとともに、HbA1cの変化に関連する要因を特定することを目的として実施されました。
Ⅱ.対象
2022年4月から2024年6月までの期間に、糖尿病専門クリニック(みどりクリニック)に通院した2型糖尿病患者154名が対象です。継続的にシンクヘルスを使用した「PHR群」(76名)と、シンクヘルスを使用しなかった「対照群」(78名)に分類し、開始時、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月時点の臨床データを収集して比較解析を行いました。
Ⅲ.結果
- 長期的な血糖値の改善:
PHR利用群は早期から有意なHbA1cの低下が見られ、12ヶ月間にわたり対照群と比較して有意な改善を維持しました。12ヶ月時点におけるHbA1cの変化量は、利用群が-0.6% ± 1.2%であったのに対し、対照群は-0.1% ± 0.6%であり、両群間で統計学的に有意な差が認められました(p = 0.005)。 - 有意な体重減少効果:
PHR利用群は早期から有意な体重減少が見られ、12ヶ月間にわたり対照群と比較して有意な減少を維持しました(利用群:-2.8 ± 3.8 kg vs 対照群:-0.5 ± 3.3 kg; p < 0.001)。 - 栄養指導との相乗効果:
多変量解析の結果、シンクヘルスによる自己管理に加え、管理栄養士による「3ヶ月あたりの栄養指導の頻度」が、血糖値(HbA1c)改善に関連する独立した有意な因子として特定されました(β = -0.322, p = 0.012)。
Ⅳ.今後の展望
本研究は単施設における後ろ向き観察研究であり、対象者の背景や栄養指導の介入内容が標準化されていないなどの制限があります。そのため、今後はより多くの患者を対象とした多施設共同による前向き臨床研究や、年齢層別の層別解析、さらには標準化された栄養指導プログラムを用いた検証を行うことで、シンクヘルスをはじめとするPHRを活用した糖尿病管理の有効性をさらに明確にすることが期待されます。
Ⅴ.研究成果の公表
- 掲載誌:Diabetology 2026, 7(9), 173
- 論文タイトル:Impact of Personal Health Record Use on HbA1c Improvement in People with Type 2 Diabetes
- 著者:Isaki Hanamura, Norio Abiru, Toshifumi Sakamoto, Akie Moriuchi, Nobuko Sera
- DOI:https://doi.org/10.3390/diabetology7090173
なお、本研究において、シンクヘルス株式会社はPHRシステムの提供およびPHRデータの抽出・提供等の技術的支援を行いました。
また、 本研究に関して開示・申告すべき著者らの利益相反(COI)はありません。