くるみの驚きの栄養成分~健康や美容効果&デメリットについても解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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お菓子やパンに用いられ、豊かな風味と食感を与えてくれる「くるみ」。そのまま食べてもクッキーとして食べても美味しいですよね。
幅広く使われているくるみですが、このようなことは聞いたことがありませんか?
「身体にいいからダイエット効果がある。」
「カロリーが高いから太りやすい。」
果たしてどちらが正しいのでしょうか。結論から言いますと、どちらも正しいです。くるみには健康によい栄養素や成分がたっぷりと含まれますが、食べ過ぎると太る恐れも。
そこで当記事では、くるみに含まれる主な栄養素の解説をします。
くるみを食べることのメリット・デメリットも紹介していきますのでぜひ最後までお読みください。
目次
くるみの栄養素と効能
くるみには多価不飽和脂肪酸という体によい脂質をはじめとして、たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルと多くの栄養素が詰まっています。
では、それぞれの栄養素がどのようなはたらきをしているのでしょうか。さっそく見ていきましょう。
体内で作ることのできない脂質「不飽和脂肪酸」
くるみには、多価不飽和脂肪酸であるn-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸がたっぷり含まれています。これらは身体の中では作ることができず、食事からの摂取が必要なため必須脂肪酸ともいわれています。
多価不飽和脂肪酸は発育、血管収縮、免疫機能の維持に重要です。不足すると皮膚炎をはじめとして様々な疾病にかかりやすくなります。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準によると、n-3系脂肪酸の1日摂取量目安は30~40代の女性で1.6g、30~40代の男性は2gです。n-6系脂肪酸の目安量は30~40代の女性で8.0g、30~40代の男性は10gです。
そしてくるみ100gあたりに含まれている脂肪酸は以下の通りになります。
こうして見るとくるみに含まれている多価不飽和脂肪酸は非常に多いことが分かりますね。
よくスーパーなどで見かけるくるみは、1パック100g前後です。4分の1を食べるだけで、30~40代の目安量分の必須脂肪酸が摂れることになります。
筋肉や髪の毛を作るたんぱく質
たんぱく質といえば、肉や魚、豆類に多いイメージがありますよね。実はくるみにもたんぱく質は含まれていることをご存じでしょうか?
肉や魚には劣りますが、意外にもくるみは枝豆よりも多くのたんぱく質を含んでいるとわかります。
枝豆と違って100gのくるみを一度に食べることはあまりないので一概にいえませんが、くるみはたんぱく質を含む食材であるといえるでしょう。
ちなみにたんぱく質の働きは、エネルギー源となるほか、臓器やホルモン、筋肉、毛髪などをつくることです。
生活習慣病予防に食物繊維
食物繊維は健康によい栄養素で、くるみにも豊富に含まれています。
お通じの改善効果や、血糖値やコレステロールの上昇を抑えて、生活習慣病の発症予防する効果が期待できます。
また、食物繊維は昨今の食生活において不足しやすい成分です。くるみを間食に取り入れることで、食物繊維を補給するとよいですね。
血管や皮膚を健康にしてくれるビタミンE
ビタミンEは、抗酸化作用が強く、血管や皮膚を健康に保ちます。
ビタミンEは通常の食事をしていれば、欠乏や過剰を起こしにくいです。とはいえ、私たちの体にとって必要な栄養素ですので、不足しないよう適度に摂取していきたいものです。
(※)ここでいう通常の食事とは、過度な食事制限や、サプリメントに頼る食事をしていないという意味
妊婦さんにも重要なビタミンB群
ビタミンB群は糖質やたんぱく質、脂質の代謝を助ける重要な栄養素です。ビタミンB群と呼ばれるビタミンは8種類あります。その中でくるみに多いとされているのは、葉酸、ビタミンB1、B6です。
とくに葉酸はDNAの合成に必要であり、妊婦さんがとくに注意して摂取するべき栄養素といわれています。また、ビタミンB1は疲労回復効果、ビタミンB6は皮膚や髪の毛の再生を助けてくれる栄養素です。
骨や味覚に関わるミネラル類
ミネラル類は体の調子を整える栄養素のことで、無機質とも呼ばれます。ミネラルは体の中でつくられないので、食事を通して取り込まなければなりません。
ちなみにくるみに豊富なミネラルはマグネシウムや亜鉛です。マグネシウムは骨を形成する成分のひとつです。他にも神経の機能、筋肉の収縮、体温や血圧を調整する手助けをします。
亜鉛は細胞や体液、酵素の中に存在していて、糖質やたんぱく質、脂質の代謝や免疫に関わる成分です。欠乏すると味覚障害が起こる恐れもあります。
くるみのカロリーは高い?
くるみのカロリーは100gあたり713kcalもあります。個人差はあるものの、これは成人における1日のエネルギー必要量の約3分の1に相当します。
実は100g(1パック相当量)のくるみはぺろりと食べられる量です。「もうひとつ、もうひとつ」と手を伸ばしているうちに、気づけばカロリーを摂り過ぎている可能性も。
参考記事:ダイエット中におやつはOK?〜選び方・おすすめレシピ・ランキングを一挙公開~
食べ過ぎによるデメリット
先ほど解説したように、くるみはカロリーのとても高い食材です。ですので、いくら健康によい多価不飽和脂肪酸が含まれているとはいえ、食べすぎると体重増加につながります。
また、体重増加以外にもう一つ気を付けなければならない点があります。それは、ナッツ類は消化しにくいということです。ちなみにナッツ類に限らず、脂質の多い食品は消化不良を起こしやすいことを覚えておくとよいでしょう。
食べすぎを防ぐためには、くるみをあらかじめ食べる分だけ小皿などに取り出しておくのがオススメです。
さらに、商品によっては塩やバターなどで味付けされたものもあります。脂質や塩分の摂り過ぎにつながりやすいので、食べる量に注意が必要です。
毎日くるみを食べると美容に良いのか
一つかみ程度であれば、くるみを毎日食べることは美容によいといえます。
とくに女性に嬉しい美容効果について、どのようにくるみが関わっているのか解説していきましょう。
まず、ビタミンEはシミやシワの予防に効果が期待できます。
さらに、くるみは吹き出物が気になる方にもおすすめできる食材です。なぜなら、くるみには吹き出物の原因となる糖質や、飽和脂肪酸が少ないのに併せて、吹き出物予防に効果的な栄養素や成分が豊富だからです。
以下のような栄養素や成分が美容に役立っています。
・ビタミンB6、亜鉛、多価不飽和脂肪酸:皮膚の健康を保つ
・食物繊維:便秘を改善する
ただし先ほど申し上げた通り、食べ過ぎは体重増加や消化不良を起こす原因となりますので、気を付けましょう。
男性に嬉しい健康効果があるって本当?
くるみには男性に嬉しい健康効果があります。
実は、最近の研究でくるみを食べると男性の生殖機能を改善させるのではないか、といわれています。あくまで研究段階ですが、動きや形状など、精子の質が改善されるとのことです。
くるみの新たな可能性に期待ですね。
【番外編】くるみは生で食べられる?
最後に、スーパーなどで売っているくるみは生のものなのか、火を通したものなのかご存じでしょうか。
実は、多くの市販のくるみが既に炒って火を通したものです。炒ると香ばしくなり、食感もカリッとするため、火を通したくるみの方がよく売られています。
一方で生のくるみもおいしくいただくことができます。生のくるみは馴染みがないかもしれませんが、製菓用のくるみは生であることが多いので、手軽に手に入ります。
同じくるみでも生と炒ったものでは食感や味がかなり違ってくるので、ぜひ実際に食べ比べてみてくださいね。
まとめ
当記事についてまとめると、
・くるみは多価不飽和脂肪酸が非常に多いのが特徴
・たんぱく質、食物繊維、ビタミンE、ビタミンB群、ミネラルなど様々な栄養素や成分を含む
・カロリーが高く消化に悪いため、食べすぎには注意する必要がある
・美容や男性にうれしい効果も
となります。それでは当記事が参考になり、あなたの生活のお役に立てれば幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
・文部科学省 食品成分データベース
・カリフォルニアくるみ協会 くるみの栄養価 くるみのロースト・保存
新たな研究でくるみの摂取により精子の質が改善する可能性が示唆
・大幸薬品株式会社 軟便・下痢の原因
・厚生労働省 e-ヘルスネット
・公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
・日本放送協会 健康と美容に良いオメガ3 脂肪酸の効果・効率よく摂取する方法とは
・厚生労働省 日本人の食事摂取基準 2020年版
・東京化学同人, 池田彩子ら「 基礎栄養学」
・OXFORD,Felicity Savage King, etc.「NUTRITION for Developing Countries」