6時間睡眠では不十分?~理想の睡眠時間や睡眠不足による影響も解説~

当記事の執筆は、臨床心理士・公認心理師 石倉美希が担当しました。
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普段の睡眠時間はどれくらいでしょうか?日本人の大人のうち、「6時間以下しか寝ていない人」は約4割もいるそうです。
「6時間睡眠で足りるのかな?」「寝不足だとどんな影響があるのかな?」など、睡眠に関して知っておきたいポイントをまとめました。
睡眠の質を上げるヒントもご紹介していますので、どうぞ最後までお付き合いください。
目次
6時間睡眠は短いのか
一般的に成人に推奨される睡眠時間は6~8時間とされています。この基準に照らし合わせると、6時間睡眠はやや短いものの、推奨される範囲内といえます。
しかし、必要な睡眠時間は個人差が大きく、さまざまな要因によって変化するのです。
たとえば
・体質
・日中の活動量
・季節
などが、必要な睡眠時間に影響を与える可能性があります。
「6時間は寝れば十分」と一概にはいえないのがポイントです。
最適な睡眠時間には個人差がある
とても短い睡眠で平気な人は「ショートスリーパー」と呼ばれますが、実際にそういう体質の人はごく少数です。「短時間の睡眠で足りている」と感じている方も、気づかないうちに集中力や注意力が低下しているかもしれません。
睡眠時間が十分に足りているかどうかは、日中の眠気の有無が1つのサインとなります。
また、睡眠時間が十分に確保されていても、睡眠の質が低下しているために、「朝起きたばかりなのに疲れている」という場合もあります。
睡眠時間にこだわりすぎず、睡眠によってしっかり休めているかという視点も大切にしていきましょう。
寝不足による影響
十分な睡眠がとれていないと、心身の両面にさまざまな影響が生じるといわれています。
生活習慣病のリスクが高まる
寝不足が続くと、糖尿病や高血圧、心疾患などの生活習慣病にかかりやすくなることが分かっています。
ある研究では、睡眠不足の状態が2日続いた結果、食欲を抑えるレプチンというホルモンが減少し、食欲を高めるグレリンというホルモンの分泌が増えたと報告しています。
さらに、食欲増進だけでなく、糖の代謝も悪くなります。普段と同じ食事をしていたとしても、血糖値も上がりやすくなるのです。
また、睡眠時間が6時間未満の人は、7時間以上8時間未満の人に比べて、心筋梗塞や狭心症のリスクが約5倍になるという報告もあります。
健康で長生きをする秘訣としても、睡眠は重要な要素なのです。
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メンタル不調が生じやすくなる
睡眠不足は体だけでなく、心の健康にも悪い影響を与えます。
睡眠によって休養できた感覚が低い人ほど、気分の落ち込みが生じやすくなるだけでなく、不安感やイライラも強まりやすいといわれているのです。
また、メンタル不調を持つ人の多くが睡眠の不調を持っているとされています。しかし、メンタル不調の結果として睡眠の問題が起きているのではなく、睡眠に関する問題がメンタル不調の発生に影響している可能性があるといわれています(※)。
「なんだか気持ちが不安定かも」と感じたときは、まず睡眠を見直してみることから始めてみましょう。
(※)志村他(2023). 生活習慣と睡眠の問題が精神的不調に与える 影響についての縦断的分析 精神神経学雑誌 125(1). 27-41.
寝だめってできるの?
休日にたくさん寝ても、平日の寝不足を完全に取り戻すことはできません。
睡眠をためておくことはできないのです。一時的に疲労は回復するものの、デメリットもあるのです。
たとえば、平日と休日で起床時間に大きな差があると、体内時計が混乱して海外旅行をしたときのような時差ボケの状態になると指摘されています。
その状態で休み明けに仕事をしようとすると、眠気が強まったり、集中力が低下する可能性が高いでしょう。
寝だめよりも、毎日の睡眠リズムを整えることが大切です。
理想的な睡眠とは

理想的な睡眠は「何時間寝たか」だけでなく、「ぐっすり眠れて休めたかどうか」も大事なポイントです。
睡眠時間
成人の場合、6~8時間が適正な睡眠時間であるとされています。しかし、個人差も大きいため、9~10時間程度でも適正な時間の範疇にあるという見解もあります。
自分に合った睡眠時間を確認する方法として、まずは起床時間を固定してみましょう。起床時間が一定の状態から、起床時のすっきり感や日中の眠気を確認しながら、入眠時間を早めたりして調整してみると、最適な睡眠時間が把握できますよ。
また、65歳以上の高齢世代は、睡眠時間が長くなりすぎないように注意する必要があります。8時間以上、床にいることは避けるようにしましょう。
年齢を重ねると、活動量が減る他、生理的にも必要な睡眠時間は短くなるのですが、それを知らずに「たくさん眠らないと」と考え、頑張って寝ようとしてしまう場合があります。
あまり眠くないのに、横になっている時間が長いと、睡眠の効率が悪くなり、昼寝で取り戻そうとしてさらに眠れなくなったりと悪循環が起きることも。
睡眠時間はあくまで目安としてとらえ、極端に短くならないのを意識しましょう。
睡眠休養感
朝起きたときに、「ぐっすり眠れた」と感じられたり、目覚めがすっきりしている感覚を睡眠休養感といいます。
起床時に疲労感があったり、昼間に強い眠気を感じている場合には、睡眠の質が悪い状態である可能性があります。
睡眠休養感が低いのは、睡眠時無呼吸症候群や更年期といった疾患が隠れている場合もあります。睡眠の不調が続く場合には、医療機関で一度相談してみるのも大切です。
また、睡眠時間の短さが心身の健康リスクを高めるのと同様に、睡眠休養感が低いことも、肥満・糖尿病・高血圧・心疾患・うつ病などのリスクを高めるとされています。
睡眠休養感を高めるには、ストレスや食習慣、運動習慣、嗜好品の摂り方など、生活全体を見直すのが大切です。
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質の高い睡眠を取るための工夫

睡眠時間を確保しにくい方ほど、質の高い睡眠を目指してみましょう。ご自身が無理なく取り入れられることから試してみてくださいね。
睡眠環境を整える
寝室は暗くて静か、そして快適な温度であるのが大切です。
人間はわずかな光でも睡眠の効率が下がることが分かっています。光は体内時計をリセットさせ、睡眠と覚醒のリズムを整える役割がありますので、昼はしっかりと光を浴び、夜はできるだけ暗くするのが大切です。
睡眠の質を高めたい方は寝室にスマホを持ち込むのは避けた方がよいでしょう。
また、寝ている間も、聴覚は脳へ信号を送り続けています。騒音があると、目が覚めやすくなり、深い睡眠が減ってしまうのです。寝室の窓にカーテンをかけ、窓から少し離れた位置で寝るなど、調整してみましょう。
室温については、特に夏は注意が必要です。室温が上がると、睡眠時間や睡眠効率に影響があるといわれています。エアコンをうまく使って、室温を一定に保つのがオススメです。
運動習慣をつくる
睡眠の主な役割の1つは、体力の回復です。日中にしっかり体を動かした方が、寝つきをよくし、睡眠時間も質も向上します。
息が弾んで汗をかく程度のウォーキングや筋力トレーニングが推奨されていますが、日頃運動習慣がない人は、ケガのリスクもありますので、無理のない軽い運動から始めましょう。
また、運動をすると体は興奮状態になり、体の深部体温が上昇します。この深部体温が下がる作用は、睡眠にもよい影響を及ぼします。ただし、寝る直前まで運動していると、逆に眠りにくくなってしまう可能性も。
寝る2~4時間までに運動を終えられるとベストです。
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嗜好品はほどほどに
カフェイン、アルコール、たばこなどの嗜好品は「心のリラックスに必要」と考える方も多いでしょう。
しかし、いずれも量やタイミングに気を付けないと、睡眠に悪影響を及ぼす場合があります。
カフェイン
カフェインは覚醒作用があり、寝つきを悪くしたり、夜中に目が醒めやすくなるなど、睡眠の質に影響するリスクもあります。一日の摂取量の目安を守るだけでなく、カフェインが体内に残る時間を考慮して、夕方以降はカフェインの摂取を控えるとよいでしょう。
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アルコール
お酒を飲むと眠くなるという方も多いと思います。アルコールは一時的に寝つきをよくする作用がありますが、睡眠の後半に質がどんどん悪化し、夜中に覚醒しやすくなるといわれています。
晩酌は控えめに、寝酒は避けるようにしましょう。
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喫煙
たばこに含まれているニコチンは、覚醒作用があり、寝つきが悪くなるだけでなく、睡眠の質を低下させます。喫煙してからしばらくはニコチンが体内に残っているので、夕方に喫煙した影響が、寝る前まで残ってしまうこともあるのです。
また、寝る前に吸わなければ問題ないわけではなく、習慣的に喫煙する人は非喫煙者に比べて睡眠に関する不調を抱えている人が多いといわれています。質の高い睡眠を目指すには、禁煙が近道といえますね。
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まとめ
6時間睡眠は、一般的には適正な睡眠時間であるものの、年齢・体質・活動量・季節などを考慮すると、必ずしも十分とは限りません。
理想的な睡眠には、時間だけでなく睡眠休養感が得られ、質が高いことも重要です。
睡眠時間が少ない、睡眠休養感が低い状態は、心身の不調にもつながります。
睡眠の質を高めるには
・運動習慣をつくる
・カフェイン、アルコール、たばこなどの嗜好品を控える
など、生活習慣を整えていくのが大切です。
「もっと寝たいけど忙しい…」と毎日お疲れのことでしょう。
本記事が無理なく、自分に合った睡眠のスタイルを探すヒントになると幸いです。
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参考文献
厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド 2023
国立長寿医療研究センター 睡眠と健康の関係について
志村他(2023). 生活習慣と睡眠の問題が精神的不調に与える 影響についての縦断的分析 精神神経学雑誌 125(1). 27-41.



