【管理栄養士監修】脂肪肝と診断されたら「食べてはいけないもの」ってある?

当記事を監修した専門家:管理栄養士 大熊麻未、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください)
「肝心要(かんじんかなめ)」。
これはとくに重要な事柄の表現に使われる言葉ですが、肝臓が体内で最大の臓器であり、とても大切な役割を担っていることからきています。
さて肝臓に脂肪が溜まった状態の病気を脂肪肝といいますが、当記事では食生活を通じた脂肪肝の改善方法を解説します。
後半にオススメ食品についても紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
脂肪肝の解消には食生活の改善が効果的!
脂肪肝の主な原因は過食とお酒の飲みすぎですので、食生活の改善はとても重要です(その他に薬剤が原因で発症するものなどもあります)。
脂肪肝の解消には、摂取カロリーと消費カロリーのバランスがポイントになります。その理由は、過食や飲みすぎで摂取カロリーが多すぎたり運動不足で消費カロリーが少ないと、余ったエネルギーは中性脂肪となって肝臓に蓄えられてしまうからです。
さて、肝臓についた脂肪には「付きやすく取りやすい」特徴があります。つまり食生活の改善を早く始めるとその分効果も早く現れるというワケです。一方で再発した脂肪肝は重症化しやすいので悪しき食習慣とはキッパリ決別しましょう。
関連記事:脂肪肝とは〜原因・症状・改善方法をシンプルに解説〜
脂肪肝の人が「食べてはいけないもの」はあるのか
結論から言いますと、脂肪肝の人が食べてはいけない食品は一般的にはありません。
とはいえ、アルコールが原因で脂肪肝になった人は1日も早く禁酒に踏み切ることが大切です。
つづいて、脂肪肝の人にオススメできない食品を挙げます。
・肉の脂身
・揚げ物
これらの食品は糖質や脂質を多く含むものです。肝臓の負担となるだけでなく、中性脂肪の蓄積にも繋がりますので控えめにしてくださいね。
参考記事:【管理栄養士解説】脂質異常症の食事で気を付けたいポイント~脂質代謝改善に期待できるレシピ紹介~
脂質異常症になったら食べてはいけないものってあるの?~コンビニ食の活用方法の解説付き~
肝臓に悪い食べ物ランキング~ご自身の食事を見直してみましょう~
糖質・脂質制限は効果的?
糖質・脂質制限食は効果が見られることが多いです。
なぜなら食べ過ぎが原因で脂肪肝になった人にとって、摂取カロリーを抑えると肝臓の負担を減らすことにつながるからです。たとえばごはんを大盛りから少なめに変えたり、調理法を「揚げ」から「茹で」に変えるなどの工夫は簡単にできるため積極的に行いましょう。
しかし極端な糖質・脂質制限は心的ストレスになったり栄養バランスが崩れたりするため、オススメできません。
バナナは要注意
バナナは健康的というイメージが定着し、食事の代わりにバナナだけを食べる人もいます。
しかしバナナには他の果物よりもショ糖を多く含みます。ショ糖は肝臓で代謝されてエネルギー源になる成分ですが、使われないと中性脂肪として蓄えられることに。
よってバナナにはほかの果物よりもショ糖が多いことから、脂肪肝を引き起こしやすいと言えるでしょう。
けれどもバナナには体にとって大切な栄養素が豊富に含まれているため、まったく食べなくする必要はなく、1日1本程度であれば安心して食べて大丈夫です。
脂肪肝解消に効果的な食品
代表的な食品は以下になりますので参考にしてください。
・納豆:肝臓で脂肪の代謝を高めて、脂肪の蓄積を抑える
・ヨーグルト:良質なたんぱく質(ホエイ)が含まれているため肝臓の保護に役立つ
関連記事:脂質異常症と診断されたらヨーグルトは食べていいの?~検査値ごとに詳しく解説~
お酒は飲んでもいいのか
アルコールが原因で脂肪肝になった人だけでなく、過食が原因の人についても1日も早い禁酒をオススメします。
その理由は、アルコールの影響で中性脂肪の合成が促進されるからです。
アルコールは肝臓で分解されますが、アルコールが体内にあると肝臓は他の栄養素よりもアルコールの分解を優先しておこないます。そうすると一緒に食べたものがエネルギーに変換されずに中性脂肪となって蓄積されてしまいます。
それゆえ、脂肪肝の方は禁酒をして肝臓をいたわってあげてくださいね。
肝臓に悪い飲み物
糖質を多く含む、清涼飲料水や加糖の缶コーヒーは控えるようにしましょう。
とくにペットボトルに入って売られている「フレーバーが付いた水」は、無色透明であることから糖質が含まれていないと思われがちです。しかし実際には糖質が含まれているものも多いため、水のようにゴクゴクと飲んでしまうと、気づかないうちに糖質を摂取することになってしまいます。
また仕事中など、眠気防止のために缶コーヒーを飲む場合はブラック(無糖)を選ぶようにしましょう。
関連記事:お茶は脂質異常症を予防・改善できるの?〜オススメのお茶も紹介〜
【重要】脂肪肝を放置することが危険な理由
脂肪肝は内臓の周囲に脂肪がついている内臓脂肪とは異なり、本来脂肪がたまるはずのない臓器の中に脂肪がたまっている状態で、体にとっては異常事態です(内臓脂肪とは別もの)。
肝臓は大きな余力を持った臓器なため、負担がかかり続けてもすぐにオーバーヒートすることはありません。
ゆえに肝臓に脂肪が蓄積した状態の脂肪肝となっても自覚症状はないのです(いわゆるドロドロ血になるため血行不良となり、疲れやすくなったり肩こりなどの症状が出る人もいます)。
そのため脂肪肝と診断されたにもかかわらず、対応を先送りにしてしまう人も多いのが現実です。しかし肝臓は、異常事態になってもわたしたちの体のために24時間働き続けてくれています。
さて肝臓の主な役割は、
①食事から摂った栄養素を分解・吸収してエネルギーに換える(エネルギーの貯蔵庫でもある)
②消化液である胆汁を作る
③有害物質の解毒・排泄
④免疫機能を調整する
などがあります。
③や④から、肝臓は生体防御の最前線で活躍している臓器だとわかります。
そしhて肝臓が関わっている体内の働きは500以上もあることから、いかに肝臓が重要な臓器かが理解できます。
以上のことから、脂肪肝と指摘を受けたら解消に向けて早めに動き出しましょう。
関連記事:脂質異常症と言われたら~日常生活の改善点や食事の摂り方までサクッと解説~
まとめ
以上、脂肪肝の人が食べてはいけないものについて解説しました。
肝臓についた脂肪は内臓脂肪よりも落としやすいので、よい食習慣を早く身につけることが大切だとわかりましたね。
それでは、当記事があなたの健康づくりに役立てば幸いです。
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参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット 脂肪肝
一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 脂肪肝は内臓脂肪よりも深刻? 脂肪肝が筋肉のインスリン抵抗性を引き起こす
J-STAGE 内臓脂肪と異所性脂肪
J-STAGE 酢酸の生理機能性
健康長寿ネット レシチン・コリンの硬化と摂取量