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糖尿病の人は熱中症にご注意!~正しい対処法や水分補給法を覚えましょう~

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糖尿病の人は熱中症にご注意!~正しい対処法や水分補給法を覚えましょう~

当記事の執筆は、管理栄養士  松原知香が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

新緑深まる5月。この季節はまだ暑さに慣れておらず、実は熱中症へ警戒が必要な時期なのです。総務省の発表によると、2022年5月~9月までに熱中症で救急搬送された方は全国で7万を超え、救急隊の人員数を大幅に上回りました。

さらに、糖尿病の方は血糖値や薬の影響で熱中症になりやすいといわれており、糖尿病ではない人より注意が必要です。

一方で、熱中症対策に良いとされるスポーツドリンクや経口補水液も、糖分が多いため「血糖値が上がってしまうかも」という恐怖から、飲んでよいのか迷ってしまいますよね。

そこで今回は、糖尿病の人が熱中症になりやすい原因をひも解き、熱中症に気づく簡単な方法や水分補給法についてご紹介します。

ぜひ最後までご覧ください。

糖尿病の人が熱中症を起こしやすい原因

糖尿病の人が熱中症を起こしやすい原因

そもそも熱中症とは、高温多湿な環境下に長時間いることで体の水分や塩分のバランスが崩れ、汗が出なくなったり体温調節ができなくなったりして発症する障害の総称です。

糖尿病の方が熱中症になりやすい要因は複数ありますが、今回は

・自律神経障害
・血糖降下薬

 

この2点にフォーカスして解説します。

自律神経障害により汗が出にくい

自律神経障害により汗が出にくい

糖尿病などにより高血糖状態が続くと、合併症の一つとして自律神経障害などが見られます。

自律神経障害がおこると、汗によって体温調節をする自律神経がスムーズに機能しなくなります。汗の量が調節できなくなり汗が出にくくなると、体内に熱がこもったままうまく放出できず、体温を下げられなくなるのです。このような状態が続き、体温が上昇しつづけると熱中症になってしまいます。

薬による副作用

薬による副作用

糖尿病治療薬の一つである「SGLT2阻害薬」には、副作用として尿量が増えるため脱水症状になりやすいことがあげられます。この薬は腎臓に働きかけて、血液中で余った糖を尿として体の外に出すことで血糖値を下げます。

糖を尿と一緒に出す際、通常よりも尿の量が多くなり体の水分が減るため、脱水症をおこす可能性があるのです。

脱水状態になると汗が出にくくなり、体温をさげられないため熱中症になってしまいます。

参考記事:糖尿病の薬「SGLT2阻害薬」とは 〜種類・注意点・ダイエット効果を解説〜

熱中症になるとどうなるのか

熱中症は症状の重症度によって3つの段階にわけられます。

熱中症になるとどうなるのか
※熱中症環境省保健マニュアル2022を参照

ちなみに、熱中症とよく似た「熱射病」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。熱射病は熱中症の1つで、熱中症の重症度Ⅲのような状態を指します。非常に危険な状態なので、該当する症状がみられた場合は迅速な救急搬送が求められます。

熱中症は、症状が重くなると命に関わるため、初期の症状で食い止めることが大切です。少しでも体の異変を感じたら、涼しいところに移動し、衣服を緩めて体を休めましょう。

首元や脇、太ももの付け根など大きな血管が通っている場所を保冷材や濡れタオルで冷やし、ゆっくり水分補給をすることもお忘れなく。

熱中症の症状がすすんでいる場合でも、慌てず重症度にあった対処法をとりましょう。

脱水症に早く気づくことが大事

熱中症の症状を進行させないためには、脱水症に気づくことが大切です。

脱水症は、大量に汗をかいて体の水分とミネラルのバランスが崩れた状態です。熱中症になったところに脱水症も併発すると、より熱中症の症状が進行してしまいます。

早期に発見することが、症状の進行を食い止めるカギとなります。

【簡単】脱水症の見つけ方

じつは、脱水症を簡単に見つける方法はいくつかあります。

今回は、実践しやすい2つの方法をご紹介します。

①経口補水液を飲んでおいしいと感じる

体へ水分が吸収しやすい比率で、水とミネラル、糖分が入っている経口補水液は、脱水症ではないと塩味を強く感じます。スポーツドリンクと比べると、飲みにくいと感じる方も多いでしょう。

しかし、脱水症になりかけると味の感じ方が弱くなり、飲みにくいと感じていた方もおいしく飲めるのです。

水分補給をしながら脱水症かどうかを確かめられるため、手軽でオススメですよ。

なお、経口補水液は疾患のない成人で1日500~1000mlまでが望ましいといわれています。

糖尿病などで食事指導を受けている方は、かかりつけ医や管理栄養士に相談の上で飲用しましょう。

②手の甲の皮膚をつまむ

【簡単】脱水症の見つけ方

脱水症になると皮膚の張りが弱くなり、つまんだ皮膚が元の状態に戻るまで時間がかかってしまうのです。

やり方は、以下の通りです。

①手の甲の皮膚をつまみ上げて離す。
②手を離してから元の状態にもどるまで2秒以上かかった場合は、脱水症を疑う。

いつでもどこでもできる方法なので、ぜひ覚えて実践してみてくださいね。

なお、環境省の熱中症予防情報サイトでは地域ごとに「暑さ指数(WBGT)」を示し、熱中症予防の啓蒙を行っています。熱中症に対する危険度を色別にして毎日更新しているので、お住いの地域の暑さがどれくらい危険なのか、日々チェックするとよいでしょう。

糖尿病の人はスポーツドリンクを飲んでいいの?

糖尿病の人はスポーツドリンクを飲んでいいの?

糖尿病の方が、熱中症予防にスポーツドリンクを飲むことはオススメできません。

なぜなら、熱中症予防に飲む方も多いスポーツドリンクは、砂糖が多く含まれており血糖値を急激に上昇させてしまうからです。

そもそもスポーツドリンクの目的は、水分補給よりもエネルギーやミネラルの補給にあります。飲み過ぎた場合、エネルギーの摂り過ぎとなるので注意しましょう。

また、人工甘味料を活用しカロリーや糖質を抑えたスポーツドリンクも販売されていますが、飲み続けることでより強い甘みを求めるようになり、結果として血糖コントロールへ悪影響があるとされています。

糖尿病の方が水分補給をする際は、水かお茶をこまめに飲むとよいでしょう。

参考記事:人工甘味料は血糖値を上げないって本当?~デメリットも解説~

糖尿病がなくてもスポーツドリンクの飲み過ぎは要注意

糖尿病ではない人でもスポーツドリンクなど糖質が多い飲み物を日常的に飲んでいると、急性の糖尿病をひきおこす可能性があります(ペットボトル症候群またはソフトドリンクケトーシスという)。

糖尿病の方は水やお茶、そうではない方もスポーツドリンクは汗をかいたときだけなど、限定的に使用するよう心がけましょう。

まとめ

糖尿病の方は、高血糖による自律神経障害や薬の副作用により熱中症になりやすいといわれています。

加えて、一般的な熱中症対策に使うスポーツドリンクは、砂糖が多く含まれていることから、糖尿病の方が熱中症予防に使うと血糖コントロールに影響が出てしまいます。

糖尿病の方が水分補給する際は、水かお茶がオススメです。

また、熱中症は3段階に分かれており、初期に適切な対応をすると悪化を防げます。

熱中症と合わせて脱水症も注意が必要のため、経口補水液や皮膚の張りをチェックして脱水症の予防にも努めるとよいですね。

それでは、こまめな水分補給を心がけて暑い日々を乗り切りましょう。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。

血糖値分析

【参考文献】
総務省消防庁 令和4年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況
厚生労働省 e-ヘルスネット 糖尿病神経障害  嗜好飲料(アルコール飲料を除く)
厚生労働省 熱中症[安全衛生キーワード]
環境省 熱中症環境保健マニュアル 2022 熱中症予防情報サイト
農林水産省 熱中症対策には、水よりスポーツドリンクを飲むとよいと聞いたのですがどうしてですか。また、経口補水液との違いも教えてください。:農林水産省

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